【セミナーレポート】グローバル企業ランスタッドのエンジニア採用責任者が語る!カジュアル面談の実践方法とは

Casual interview_Randstad

近年、優秀な人材の獲得に向けてダイレクトリクルーティングを導入する企業が増え、選考過程においてカジュアル面談が取り入れられています。

多くの企業が優秀人材にアプローチする中、自社の欲しい人材を採用するには、候補者を惹きつけ、応募意欲を高めるステップが必要です。

一方で、カジュアル面談を導入しても選考につながらない、カジュアル面談にどのように取り組んだらよいかわからないなど、苦戦している企業も多く存在します。

そこで今回、株式会社ゲオホールディングスで採用に取り組み、現在はランスタッド株式会社のエンジニア採用責任者である北永様、Sansan株式会社橋本様、弊社代表の中島の3名で、
カジュアル面談の基礎知識から実践方法、具体的な成功・失敗談についてお話しするウェビナーを開催しました。

本記事では、セミナーの内容をダイジェストでお届けします。

Casual Interview Strategy Manual

カジュアル面談
攻略マニュアルはこちら

登壇者紹介

橋本 剛

sansan_hashimoto

Sansan株式会社 Eight事業部 Eight Career Design部 マネージャー

新卒でカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社に入社し、Tポイント提携営業やデータベースマーケティング事業に従事。2019年にSansan入社。『Eight Career Design』 立ち上げ期にセールス面を中心に携わる。現在はマーケティング部門の責任者として事業を推進している。

中島 大志

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株式会社VOLLECT 代表取締役CEO

パーソルキャリア株式会社にて人材紹介事業に従事し、退職後に起業。ダイレクトリクルーティングの可能性を感じ、株式会社VOLLECTを創業。
約5年間ダイレクトリクルーティングの支援に尽力し、支援社数は累計500社超。

北永 邦久

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ランスタッド株式会社 randstad technologies ITソリューションサービス事業部 リクルーティングマネージャー

中途で株式会社ゲオホールディングスに入社し、 主に採用担当としてグループ会社の中途採用 (バックオフィス・エンジニアなど) に従事。
今年7月より、ランスタッド株式会社 randstad technologies ITソリューションサービス事業部 リクルーティングマネージャーとして入社。新規事業 「randstad technologies」 という日本で本格的にSIerを立ち上げ、事業部の採用責任者としてエンジニア採用を担当。

Sansan株式会社 イントロダクション

labor market

労働市場は、そう遠くない2030年に644万人の人手不足が予想されています。そんな中で、転職市場は就労者全体のわずか4.7%と人材獲得競争は激化しています。
特にIT人材は2030年に最大79万人が不足するとされ、現在でも報酬水準が2000万円を超えることもあるなど各社採用に苦戦しています。

attack from waiting

そのため、今後は、人材紹介や求人広告などの「待ち」の採用ではなく、企業から候補者にアプローチする「攻め」の採用を行わないと、優秀な人材に出会うことすらも難しい状況になることでしょう。
また、転職顕在層だけでは足りず、現場で活躍する転職潜在層にアプローチすることが重要になってきます。

Casual interview background

通常の採用では、志望動機を聞き候補者を見極めるところから始められる一方、企業からスカウト等でアプローチする「攻め」の採用では、自社や募集ポジションを深く知らない候補者が多数存在するため、見極めの前に自社の魅力を知ってもらう必要があります。
そこで役立つのが今回のテーマであるカジュアル面談です。

株式会社VOLLECT カジュアル面談攻略方法

Purpose of the casual interview

カジュアル面談の目的は、正式に応募してもらうことです。
選考に進むか迷っている候補者を惹きつけて、正式に応募してもらうのです。

特に大企業だと、基本的に応募が来るのが当たり前なので、見極めばかしてている面接官が多いでしょう。
ダイレクトリクルーティングの場合、見極めではなく、アトラクトすることの重要性を会社全体で認識してもらうことが大切です。

Overall picture of a casual interview

次は、カジュアル面談の全体像についてご説明させていただきます。

この図は、カジュアル面談時点における、候補者の企業に対する心情を4つにパターン分けしたものです。

この図から最も、知っていただきたいのが、
カジュアル面談を実施する前から正式に応募を決めているのはわずか8%しかいないということです。

残りの92%の人が選考に進んでもらえる可能性を作り上げるのがカジュアル面談です。

この図の、Aの方であれば、転職活動は積極的にしているけど、企業に対する興味があがっていない方を指します。
そういった方に対しては、今受けている他社と比べて、どのあたりが違うのかを伝えることにフォーカスすると、正式応募につながります。

一方で、Cの方であれば、その企業には興味は持っているものの転職しようかを迷っているので、
今後どのようなキャリアを歩んでいきたいのか、今の会社でもやもやするのは何なのか、ということをカジュアル面談の中で、伴奏して見つけてあげるというのが大事でしょう。

この全体像を掴んでいただくだけでも、カジュアル面談の精度は高くなります。

Flow of casual interview

実際に、カジュアル面談の流れを記載しました。イメージとしては、セールス活動と近いです。商談の最初からお客様の課題も聞かずに、「弊社の強みは…」とは始めませんよね。

そこで、まずは候補者の状況を確認し、その状況を踏まえて、うちの会社に入社すればどう解決するのかを提案するというのが全体のフローです。
アイスブレイクでは、「選考要素がない」ということや、面談の主旨を面談の冒頭でしっかりと伝えましょう。

ポジション説明や会社説明は、求人票の内容を読むのではなく、候補者の状況に応じて、必要な部分を深掘りして説明する形が良いです。

そして面談の最後には、必ず本選考に進むのかどうかを意思確認してください。後日また連絡するという感じではなく、その場で次回の面接を設定するぐらいの勢いで行いましょう。
また、その後の選考中に、他社状況を確認できる間柄になっておくというのも重要です。本選考の攻略方法などを教えてあげると、候補者にとっては味方感が出るので、心を開いて話してくれるでしょう。

おおよその時間配分も記載しておりますので、ご参考にしてください。

最後に、カジュアル面談に関して、よく質問いただくことについて、説明します。

Q.職務経歴書や履歴書はどのタイミングで候補者から提出してもらうべきでしょうか?

A :カジュアル面談実施前に依頼をすると、候補者にとっての面談に参加するハードルが一気に上がるので、カジュアル面談を通じて「選考に進みたい」と候補者から意向が取れたタイミングで、応募書類の提出を依頼するのがベストです。

Q.職務経歴書や履歴書がないとカジュアル面談で何を聞いたら良いのか分かりません。どうすれば良いでしょうか?

A:正式に応募してもらうために、候補者が抱えている課題や希望を自社であれば叶えられることを伝えるのがカジュアル面談です。
「どこでどんな仕事をしてきたか」ではなく、候補者が仕事をする上で叶えたいことや課題に思っていることをヒアリングするのが良いと思います。
レジュメは後でいくらでも貰えるので、もっと候補者の内面を知る場として活用するのがおすすめです。

Q.カジュアル面談を実施した候補者をお見送りにする場合は、どうすれば良いでしょうか?

A:これは一番よくある質問ですね。基本的には、カジュアル面談は候補者を見極めする場ではないので出来れば避けて欲しいのですが、
候補者の言動などでお見送りにしたいという場合もあると思います。
その場合は、面談の終わりに「本選考に進んでいただけるのであれば書類選考に進めさせていただきますとお伝えし、書類選考NGにする企業が多いですが、私もその方法で問題ないかと思います。

パネルディスカッション

ranstad recruit

Q.ダイレクトリクルーティング導入の背景を教えてください

北永様:人材紹介では採用人数を満たすことができなかったからです。
ゲオホールディングスに勤めていた頃、DXを推進する必要がありました。コンサルティングファームの人材を採用すべく人材紹介を利用していましたが、思うようにご紹介の件数が上がらなかったため、ダイレクトリクルーティングに力を入れることにしました。

Q.カジュアル面談を導入した背景を教えてください

北永様:入社後のギャップをなくしたいからです。実際に入社してから「違った」となると企業側も候補者側もお互いに不幸になってしまいます。カジュアル面談は、求人票に書かれていない内容を隠すことなく説明するために行っています。

Q.エージェントと比べてダイレクトリクルーティングの良いところはどこでしょうか?

北永様:エージェントの場合、担当のキャリアアドバイザーと信頼関係を築けていなかったために、他企業に流れてしまうケースが多発していました。内定承諾フェーズでないと候補者と直接やりとりできないのがネックでしたね。

一方ダイレクトリクルーティングでは、カジュアル面談で信頼関係を築き直接候補者の意向をグリップできる点が魅力だと思います。

また、自然と自社にフィットする候補者をスクリーニングできるという点もメリットですね。

面談を通して自社について詳細に知ってもらった上で、応募するかしないかについては、候補者に判断してもらうわけです。
つまり、カジュアル面談を実施することで、自然と自社にあった人材をスクリーニングできるのです。

ranstad recruit2

Q.カジュアル面談で工夫しているポイントを教えていただけますか?

北永様カジュアル面談の基本は、会社の自己紹介だと思っています。候補者が本当に聞きたい内容を聞けるチャンスなので、面接前や入社前にあるストレスや不安を払拭してあげられるようにしています。
あくまで、フラットに「何でも聞いてください」という形で、傾聴に重点を置いています。
他には、大まかな背景から企業の求める人物像を伝えるようにしていますね。候補者をスカウトした理由や事業の背景を話し、解決したい課題を深掘りしながら説明しています。

Q.非エンジニアの方が人事をする際に、エンジニアと役割分担しながらカジュアル面談をすることがあるかと思います。その際に取り組まれていることや進める方法を教えてください。

北永様:エンジニアが初期段階から採用に関わる場合、普段から開発業務に携わっていることから、候補者をかなり限定してしまう傾向にあります。そうすると応募数が上がらないという問題が発生します。
そこでカジュアル面談は非エンジニアの人事が説明するようにしています。

Q.非エンジニア人事だと、現役エンジニアである候補者からの質問に答えるのは大変ではないですか?

北永様:カジュアル面談でよく聞かれる内容は「開発環境について」「開発スケジュール」など決まっています。質問が多い内容については、あらかじめエンジニアに確認しておき、エンジニアから教えてもらったことをそのままお伝えしていますね。
全くわからない内容を質問された場合は、一次面接で聞いていただければ幸いですというようにお話していました。その点は、無理して回答する必要はないと思っています。

Q.リクナビやマイナビのような媒体経由による自然流入の場合でもカジュアル面談から始めたほうがいいのでしょうか?

中島:マイナビやリクナビの利用者は「今すぐ転職したい」と考えている方が多いので、カジュアル面談を挟まなくてもいいと思いますね。カジュアル面談を挟むことで、かえって人事も大変かなと思います。
一方で、転職潜在層向けの媒体を利用している方からコンタクトがあった場合は、カジュアル面談を挟むべきでしょう。転職顕在層メディアか転職潜在層メディアなのかで使い分けるのがいいと思います。

Q.カジュアル面談を行ってきた上で、失敗や成功事例はありますか?

北永様:スカウト経由の方に入社の理由を伺った際に、「カジュアル面談で御社が一番丁寧に説明してくれたから」と言われたことがありました。カジュアル面談で丁寧に接することで、採用成功に繋がり嬉しかったですね。
失敗事例としては、カジュアル面談では指向性が合うと思った方が、現場から見るとスキルを満たしていなかったというケースがありました。その際は、お叱りを受けましたね。

中島:なるほど。カジュアル面談を実施した方が面接官にどのように申し送りしていたのかがポイントになりそうですね。しっかりと申し送りができていれば、トラブルも未然に防げたのかなというように思います。

Q.良い雰囲気でカジュアル面談をするコツを教えてください

中島:そうですね。やはり、選考要素はないとお伝えするだけで、候補者の気持ちも楽になるので大切かなと思います。
弊社のクライアント様は、会社の説明ではなく個人の自己紹介を時間をかけてしているようです。「会社と個人」ではなく、「個人と個人」という関係性になるような意識づくりがされています。自己紹介をしっかりすることで、お互いに話しやすい空気づくりができるのかなと思いますね。

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