採用代行は違法?許可申請の基準やフリーランスへの業務委託で注意すべきことも解説

採用

採用代行サービスは公に認められているものであり、基本的には利用したからといって違法となることはありません。
しかし、それは厚生労働省の定めに則っている場合の話です。

そこで、本記事では採用代行が違法となる基準や、許可の申請手順、フリーランスに委託するときの注意点などを紹介します。

採用代行とは

採用代行とは、企業が採用活動を外部の専門業者に委託するサービスのことを指します。

英語では「Recruitment Process Outsourcing(RPO)」と呼ばれます。

採用代行を上手く活用すれば、採用にかかるコストや労力を削減できます。

また、採用代行業者の専門的な知識を活用し、効果的な採用を行うことができます。

採用代行は「委託募集(法第36条)」に区分される

厚生労働省職業安定局発行の募集・求人業務取扱要領では、採用代行サービスは「委託募集(法第36条)」に区分されています。

“委託募集とは、労働者を雇用しようとする者が、その被用者以外の者をして労働者の募集に従事させる形態で行われる労働者募集を言う。
被用者以外の者に報酬を与えて労働者の募集に従事させようとするときは厚生労働大臣の許可を得ること、被用者以外の者に報酬を与えることなく労働者の募集に従事させようとするときは厚生労働大臣に届け出ることが必要である。”

引用:厚生労働省

採用代行は無許可だと違法になる場合も

採用代行サービスを利用する際は、採用業務を委託する企業と、採用業務の委託を受ける企業の双方が、厚生労働大臣や都道府県労働局長の定める許可基準を満たし、さらに認可を取得する必要があります

反対に、採用業務を委託する企業と採用業務の委託を受ける企業のどちらか、あるいは両方が厚生労働大臣や都道府県労働局長が定める許可基準を満たしていないケースや、そもそも許可を得ていない場合は違法となるケースがあります。

許可が不要なケースも

業務によっては、委託する企業側の許可が不要な場合があります。

例えば、人員募集や選考を自社のリソースで対応し、応募者対応や適性検査等の事務手続の実施のみを外部に委託した場合は、委託募集とみなされず厚生労働大臣の許可も不要になります。

また、書類選考や面接に関しても、自社側で採用基準を設けた上で、一部の事務のみを委託した場合は、委託募集には該当しません。

ただ、委託業務の範囲や内容によっては許可の要否の線引きが難しいケースがあります。自社が委託する業務が「委託募集」に当てはまるかどうか不安な場合は、行政に問い合わせましょう

許可を受けていない事業所・個人事業主に採用業務を依頼した場合は、依頼主も同じ罰則に問われる可能性があります。

そのため、思わぬトラブルに発展しないためにも、許可の確認が取れない事業所や個人事業主には安易に採用代行を依頼しないようにしましょう。

採用代行の許可申請と必要書類

委託募集をする時の申請方法と必要書類は次の通りです。

【STEP1】必要書類・資料を用意する

採用業務を委託する予定の企業は、次の書類・資料を用意しましょう。

・厚生労働省発行「委託募集許可等申請書(様式第3号)」
・上記許可の内容を証明する帳簿や資料

▶︎委託募集関係様式のダウンロードはこちらから可能です

なお、下記のいずれかの条件に該当する場合は、都道府県労働局長ではなく厚生労働大臣の許可が必要です。

・一つの都道府県からの募集人員が30人以上の場合
・募集人員総数が100人以上の場合

【STEP2】書類・資料を提出し、許可を申請する

書類や資料の準備が整ったら都道府県労働局長と厚生労働大臣(条件に該当する場合のみ)に期日までに書類・資料を提出しましょう。
各提出期日は、下記の通りです。

・都道府県労働局長:募集開始月の14日前まで
・厚生労働大臣:募集開始月の21日前まで
参照元:委託募集について
募集主は、様式第3号「委託募集許可等申請書」を、厚生労働大臣の許可等に係るものについては募集を開始する月の21日前までに、正本1部及び写し1部を、都道府県労働局長の許可等に係るものについては募集を開始する月の14日前までに正本1部及び写し1部を都道府県労働局長に提出しなければなりません。

 申請後は、委託募集の許可基準に基づき審査が行われます。

なおこれらの申請手続きは、採用代行サービスを提供する業者が、委託を希望する企業に代わり、対応することも認められています。

有料職業紹介の許可を取っていない事業者に採用代行を依頼するのは違法?

有料職業紹介の許可を取っていない事業者に「採用に関する全ての業務」を依頼する場合は、違法とみなされる可能性があります

許可なく有料職業紹介を行った場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が課せられます。

無許可の事業者に依頼した側の罰則は定められていませんが、無許可と知りながら外注した場合は、共犯とみなされ同じ罰則に問われる可能性もあります

サービスを提供する事業主が有料職業紹介の許可を有しているかを必ず確認しておきましょう。

有料職業紹介の許可を取得している採用代行には、700社以上が利用するPRO SCOUTがあります。(許可・受理番号:13-ユ-312244

有料職業紹介とは

有料職業紹介事業とは、営利を目的とするか否かにかかわらず、職業紹介に関し手数料又は報酬等の対価を受けて行う職業紹介事業をいいます。(引用:職業紹介事業の概要

有料職業紹介事業の許可を受けるためには、資産の条件を満たすこと、プライバシーを保護しつつ求職者対応ができる構造の事業所(個室など)を持つこと等が必要です。

有料職業紹介事業を行おうとする事業主は、職業紹介を行う事業所ごとに、必要書類を本店を管轄する都道府県労働局を経由して厚生労働大臣に提出しなければなりません。(引用:厚生労働省大阪労働局 職業紹介事業とは

気になる採用代行サービスが職業紹介事業の届出を出しているかは、こちらのサイトで調べられます。

採用代行サービス提供事業者が個人事業主(フリーランス)に外注するのは違法?

採用代行サービスを提供する事業者が有料職業紹介の許可を有している状態で、採用代行サービスを提供する事業者の監督・管理の下、職業紹介業の一部業務を個人事業主に外注することは許容されています

ただしこの際は、採用代行サービスを提供する事業者と個人事業主との間で適切な契約を交わし、実際の業務の過程でしっかり監督・管理する体制が整えられていることが前提です。

フリーランスに採用を委託するのは違法?

上述の通り、有料職業紹介の許可を取っていない事業者に「採用に関する全ての業務」を依頼する場合は、違法とみなされる可能性があります。

有料職業紹介の許可を得るためには、「資本金500万円程度以上かつ仕切られた面談室の設置」が条件となります。

一定の規模を有している企業であれば指定の条件を満たせる場合が大半かと思いますが、個人事業主(フリーランス)の場合、簡単にクリアできる条件ではありません。

個人事業主(フリーランス)に直接採用代行を依頼する場合は要注意です。

採用代行を選ぶポイント

採用代行業者を選ぶポイントを紹介します。

自社に近い業界や職種の実績があるか

採用代行の実績や専門分野、クライアントの評判などを調査しましょう。

例えば、同じ業界での採用経験が豊富な業者や、自社が力を入れたい採用職種に強みを持つ業者を選ぶことで、求める人材を効率的に確保できる可能性が高まります。

採用代行のサービス紹介サイトに、ロゴや導入事例記事が掲載されていない企業は、実績が少ない可能性があるので注意しましょう。

セキュリティ面で信頼できるか

採用代行企業とは、自社の大切な応募者データを共有することになります。

そのため、応募者の個人情報や企業の内部情報の管理が適切に行われているか確認しましょう

簡単に見極める方法は、ISMSやPマークを始めとした公的認証を受けているかどうかです。

認証を受けていない場合は、情報セキュリティに関する厳格なポリシーを持ち、データ漏洩や不正アクセスのリスクを最小限に抑える対策を講じているかどうかを確認しましょう。

フリーランスの場合は、自分のPCで作業することが多いため、セキュリティは特に確認が必要です。

運用担当者と相性が良いか

商談に出てくるのは営業担当者であることが多いです。

しかし、依頼後にコミュニケーションを取るのは別の担当者になるケースがほとんどです。

そのため、商談時に、実際の採用業務を担当するメンバーと打ち合わせの機会をもらえないか聞いてみましょう。そして、相性が良いか、信頼関係を築けそうかを確認してください。

採用代行なら「PRO SCOUT」

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投稿者プロフィール

中島 大志
中島 大志株式会社VOLLECT CEO
「ダイレクトリクルーティングの教科書」著者。日経トレンディや東洋経済への寄稿も果たす。新卒でパーソルキャリア株式会社にてクライアントに対して採用コンサルティングに従事。その後、外資系コンサル企業の採用支援をする中でダイレクトリクルーティングの魅力に気づき株式会社VOLLECTを創業。スカウト採用支援実績は500社超。