DX人材の採用は難しい?DX人材の必要性や採用成功事例について

採用

DX人材の採用は、多くの企業が直面する課題です。

高度なITスキルを持った人材は引く手あまたで、採用競争は激化していますが、優秀なDX人材の確保は、企業の成長に不可欠です。

本記事では、DX人材の採用が難しい理由、そして採用を成功させるためのポイントや事例を解説します

DX人材とは

DX人材

厚生労働省とIPAにより、DXを推進する主な人材として「ビジネスアーキテクト」「データサイエンティスト」「サイバーセキュリティ」「ソフトウェアエンジニア」「デザイナー」の5つの人材類型が定義されています。

そして、人材類型をさらに詳細に区分し、「UI/UXデザイナー」「バックエンドエンジニア」などのロール設定がされています。

人材類型 ロール
ビジネスアーキテクト  新規事業開発、既存事業の高度化、社内業務の高度化・効率化
デザイナー サービスデザイナー、UX/UIデザイナー、グラフィックデザイナー
データサイエンティスト データビジネスストラテジスト、
データサイエンスプロフェッショナル、データエンジニア
ソフトウェアエンジニア フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニア、
クラウドエンジニア/SRE、フィジカルコンピューティングエンジニア
サイバーセキュリティ サイバーセキュリティマネージャー、
サイバーセキュリティエンジニア

参照元:厚生労働省・IPA(2024年7月)「デジタルスキル標準 ver.1.2」

DX人材はなぜ必要なのか

企業の成長に欠かせないDX人材ですが、具体的になぜ必要なのか解説します。

業務効率や生産性の向上につながるため

RPAやAI技術などを導入し、ビジネスプロセスのデジタル化を実現することで、業務効率が向上します。

そして、従業員は長時間労働からの解放や、コア業務に集中できるようになり、生産性も高まります。

企業の競争力を高めるため

DXの推進により、新規事業や新製品の開発を促進し、企業の競争力を高めることが可能です。

近年は、急速に進化しているAI技術を活用した新たなビジネスモデルの開発が注目されています。

グローバル市場にアクセスしやすくなるため

DXの推進によりデジタル化が進むことで、世界中の潜在顧客にアクセスし、商品やサービスを提供することが可能になります。

インターネットの普及により、海外の潜在顧客にも簡単にサービスや商品の魅力を伝え、購入してもらえるようになりました。

日本国内の潜在顧客だけを対象にしていた場合と比べて、商品の購入者が増え、売上の向上が期待できるでしょう。

古いシステムのブラックボックス化や複雑化を防ぐため

DX推進の必要性が強調される理由の一つに、「2025年の崖」と呼ばれる問題があります。

この問題が生じる主な原因は、日本企業が使用しているシステムのブラックボックス化や複雑化です。

もしDXを推進せず、古いシステムを放置したままにすると、生産性の低下や維持コストの増加が避けられません

さらに、システムの保守管理を担う人材の引退などにより、システムがブラックボックス化するリスクも高まります。

これらの「2025年の崖」のリスクを回避するためにも、DX推進が必要とされる理由は非常に大きいと言えます。

働き方改革を推進するため

働き方改革を進めるためにも、DX推進の必要性は非常に高まっています。

DX推進の過程でデータやコミュニケーションのデジタル化が進むことで、通勤時間がなくなり、場所にとらわれない働き方が可能になります

さらに、これまで人間が担当していた業務をITの力で自動化することで、労働時間の削減も実現します。

DX推進を進めることで業務の効率化が可能となり、場所や時間に縛られない柔軟な働き方が実現し、働き方改革へとつながるのです。

BCP対策になるため

DX推進の必要性が高い理由の一つとして、BCP(事業継続計画)の充実が期待できる点が挙げられます。

BCPとは、”Business Continuity Plan”の略で、地震や台風、洪水などの災害発生時や緊急事態においても、重要な業務を継続するために策定される計画です。

データをクラウドに保管する体制が整っていれば、災害や火災が発生してもデータは失われません

DX推進によりBCPが充実すると、場所や状況に関わらず業務を継続できるようになります。

DX人材の採用が難しい理由とは?

企業のDX推進を阻む最大の壁、それは人材不足です。

DX人材は、高度なITスキルに加え、ビジネス感覚や変化への適応力など、求められる能力は多岐にわたるため、採用は容易ではありません。なぜDX人材の採用はこれほど難しいのか、その原因を深堀りしていきます。

高度なスキルセットが要求されるため

DX人材には、デジタル技術やデータ活用によって企業の課題を解決する高度なスキルセットが要求されます。
さらに、コミュニケーション能力、変化への適応力、新たに登場する技術へのキャッチアップなどのパーソナルスキルも兼ね備えていなければなりません

これらのスキルをバランス良く備えている人材は、非常に稀です。

急速な技術の進歩に対応できる必要があるため

IT技術の進歩は目覚ましく、新しい技術やツールの登場が非常に早いため、一度習得した知識やスキルが短期間で陳腐化してしまうことがあります。

また、AI、IoT、クラウド、ビッグデータなど、様々な技術を組み合わせた新たなソリューションが求められるケースが増えています。

最新の複数の技術を、高度に組み合わせることができる人材は非常に少ないです。

また、企業が求める人材要件も日々進化し、新たな技術を使える人材を求めるとなると、いつまで経ってもDX人材を追い求めることになります。

希少な存在であり市場に出回っていないため

DX人材は稀有な存在であり、その中で転職を考えているDX人材はごくわずかです。

さらに、DX人材はフリーランスなど企業に属さない働き方をしているケースも多く、転職市場になかなか出回りません

DX人材採用の市場動向について

企業のデジタル変革(DX)が加速する中、IT・デジタルスキルを持った人材の重要性はますます高まっています。従来から、ITに関する専門知識や経験を持つ人材は企業にとって貴重な存在でした。

そして、近年は生成AIをはじめとする新たなテクノロジーの台頭によって、DX人材の需要はさらに拡大の一途を辿っています。
dodaの調査レポートによると、2024年6月の転職求人倍率 1位はエンジニア(IT・通信)で11.06倍でした。2位の専門職(コンサル・金融)が6.78倍のため、IT・通信領域のエンジニア需要が非常に高いことがわかります。

DX人材の採用のポイント

DX人材の採用を成功させるための具体的なポイントを解説します。

他社が採用していないターゲットを見つける

DX人材はどの企業も求めており、今転職活動をしているDX人材は特に競争率が高いです。

そこで、「いますぐの転職は考えていないが、良い企業があれば検討する」といった転職潜在層にも幅を広げましょう

転職潜在層にアプローチできる手法として、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用があります。

また、DX人材はSNSを駆使している割合も多く、採用市場に出る前にSNSでアプローチしたり、面談後にSNSで繋がり定期的に連絡をとることも大切です。

選ぶのではなく、選ばれるための選考フローの構築

DX人材の採用においては、従来の選考フローにとらわれず、候補者に選ばれるような選考フローを構築することが重要です。

そのためには、候補者の意向に合わせて選考プロセスを柔軟に調整する必要があります。

例えば、CXプラットフォーム「KARTE」を運営するプレイド社では、候補者が話してみたい社員がいれば、カジュアル面談や会食をセットする、候補者が転職活動を急いでいる場合、1日に複数人とお会いいただくなど、候補者に1人1人に合わせた選考フローを設定しています。(参考:PRO SCOUT導入事例

このような選ばれるための選考フローを設計するファーストステップとして、下記図のように候補者意向を確認し続ける必要があります。

DX人材は別枠の給与レンジを設定する

経済産業省の資料によると、先端IT非従事者より、先端IT従事者のほうが高収入であることがわかります。

先端IT従事者の年収で最も割合が多いのは1,000~1,500万円未満(15.2%)でした。回答の10%以上を占める年収としては、600~700万円未満(13.6%)、800~900万円未満(10.8%)、700~800万円未満(10.8%)が続きます。

なお、「先端IT非従事者」の年収で最も多い回答は500~600万円未満(15.2%)であり、先端IT従事者の年収とは大きな差があることが分かります。

参考:経済産業省「我が国におけるIT人材の動向」

したがって、他のポジションと同様の年収レンジで求人を出しても、DX人材採用はできません。

日系大手企業が給与レンジに沿って800万円で年収提示した人材に対し、給与が青天井の外資企業が1500万円で提示し負けてしまう、といったことも珍しくありません。

DX人材は、通常の年収レンジとは別枠で報酬設定をすべきです。

自由な働き方や福利厚生を整備する

DX人材は引く手数多であり、自由な働き方ができるフリーランスを求める求人も多く存在します。

そんなDX人材に振り向いてもらえるよう、リモートワーク前提の働き方にする、フルフレックスタイム制を取り入れる、PCスペックを選べるようにするなど、制度面でも、DX人材の希望に応える必要があります。

自社でDX人材を育成することは可能か?

DX人材の育成は、企業にとって長期的視点での投資であり、自社に根付いた人材を育成できるという大きなメリットがあります。

しかし、高度なスキルを習得させるためには、相応の教育コストと時間がかかります。

特に、日々進化するDXの潮流に即座に対応するためには、既に高いスキルを持った人材を外部から採用することも、企業にとって不可欠な選択肢と言えるでしょう。

自社で育成するのか、外部から採用するのか、あるいは両方を組み合わせるのかは、企業の状況や目標によって異なります。 それぞれのメリットとデメリットを比較検討し、自社にとって最適な人材確保戦略を立案することが重要です。

自社でDX人材を育成するメリット

既存の人材であれば、自社の取扱商品やサービス、業務フローについて熟知しています。

また、システムの現状を理解していることも、自社人材がDX推進を担当する大きなメリットです。既存システムの使いづらさや効率化を阻害している点を把握していれば、効果的な対策が講じやすくなります。

外部から人材を採用するメリット

外部採用では、既に高度な専門知識やスキルを備えた人材を獲得できます。そのため、育成の手間が省け、短期間で成果を出すことが可能です

自社で育成が難しい、特定のニッチなスキルを持った人材をピンポイントで採用できることもメリットです。

また、外部の環境で培われた最新の知識や経験を組織に持ち込み、新しい視点やアイデアを提供してもらえる可能性もあります。

DX人材の採用成功事例

DX人材の採用で苦労している企業は少なくありません。しかし、成功事例を参考にすれば、自社でも優秀な人材を確保できる可能性は十分にあります。

本章では、DX人材採用で成功した企業の具体的な取り組みや、その背景にある考え方などを詳しく解説します。

パーソルキャリア株式会社様

Persol Career Human Resources

パーソルキャリア株式会社のテクノロジー本部では、エンジニアやITコンサルタント、デザイナー、データアナリストなどの採用を行っています。

同社ではダイレクトリクルーティング支援「PRO SCOUT」を利用し、半期で10名超の採用決定が生まれています。

PRO SCOUTの魅力は、単に高い返信率を追求するだけでなく、選考フェーズの最終段階まで、「採用決定」を見据えた適切なアドバイスが提供される点です。

社内では、スカウト開封率や返信率が高いポジションの取り組みを共有し、ナレッジを横展開することで、社内全体でダイレクトリクルーティングの効果を上げられるようにしているそう。

今後は、カジュアル面談から選考への移行率をさらに高めたり、タレントプール運用を強化し、ダイレクトリクルーティングの決定割合を増やしたいと話しています。

ラクスル株式会社様

ラクスル株式会社は、採用オーナー制を導入し、採用担当、事業部付のHRBP、採用オーナーが協力して柔軟な採用を実現しています。
例えば、候補者が現在選考中のポジションにフィットしない場合でも、新たなポジションを提案することで採用の幅を広げる工夫が行われています。

また、同社には短期的な採用目標に追われるのではなく、中長期的な視点で優秀な人材を確保する考え方があります。

そのため、今すぐの転職を考えていない候補者にも早期からアプローチし、タレントプールの運用を強化することで、事業の成長に必要な人材を長期的に確保する体制を構築しています。

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弊社株式会社VOLLECTでは、アクシスコンサルティング株式会社とともに、DX人材採用パッケージサービス「DX Talent Pool(ディーエックスタレントプール)」を提供しております。

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