新卒採用コストを最適化しよう|一人当たりの平均とは?

採用活動には様々なコストが発生するため、企業の経営や採用状況に合わせて常にコストの最適化に取り組む必要があります。
特に、近年は人材獲得競争の激化や採用手法の多様化により、新卒採用のコストは増加傾向にあり、限られた予算の中で最大限の効果を発揮するために、採用コストの最適化に真摯に取り組む姿勢が一層求められるようになりました。

そこで今回は、採用支援事業に8年間従事してきた筆者が、新卒採用にかかるコストの内訳やコストパフォーマンスの考え方、新卒採用のコストパフォーマンスを高めるための具体的な方法などを解説します。

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新卒採用にかかる一般的なコスト

新卒採用にかかるコストは、大きく内部コストと外部コストに分けられます

これらのコストを詳細に把握することで、どの部分にどれだけの費用がかかっているのかが明確になり、採用コストの最適化に向けた具体的な対策を講じられるようになるでしょう。

内部コスト

内部コストとは、企業内部で発生するコストのことを指します。
主な項目は以下の通りであり、採用活動の規模や期間、採用人数などによって大きく変動します。

コスト項目 説明
採用担当者の人件費 採用活動に携わる人事担当者や現場社員の人件費を指します。
面接時の交通費や宿泊費
※企業負担の場合
遠方に住む応募者に対して、面接時の交通費や宿泊費を企業が負担する場合に発生する費用。
内定者研修や懇親会の費用 内定者に対して実施する研修や懇親会などの費用。
内定者の交通費や引っ越しの費用 入社にあたり、内定者の交通費や引っ越し費用を企業が負担する場合に発生する費用。

上記内部コストを適切に管理し、無駄な支出を抑えることが、採用コストの最適化につながります。

外部コスト

外部コストとは、外部のサービスや媒体を利用する際に発生するコストのことを指し、採用活動にかかる全体のコストを把握するためには、外部コストも明確にする必要があります。
外部コストの主な項目は、以下の通りです。

コスト項目 説明
求人広告掲載費 求人媒体(Webサイト、求人情報誌など)への掲載費用。媒体の種類、掲載期間、広告の露出度などによって費用が変動します。
人材紹介会社への紹介料(成功報酬) 人材紹介会社から紹介を受けた応募者が入社に至った場合に支払う報酬。一般的に理論年収の20%〜35%程度を人材紹介会社に支払います。
採用管理システム(ATS)利用料 応募者管理や選考プロセス管理、採用データ分析などを効率化するためのシステム利用料。月額課金制や従量課金制など、利用するシステムによって料金形態が異なります。
スカウト媒体利用料 企業側から候補者に直接アプローチ(スカウト)するための媒体利用料。ダイレクトリクルーティングサービスなどが該当します。
Web面接ツール利用料 オンライン面接を実施するためのツール利用料。ビデオ会議システムや専用のWeb面接ツールなどが該当します。
企業説明会・面接会場の会場費 企業説明会や面接などで使用する会場のレンタル費用。
規模や立地、設備などによって費用が変動します。
採用サイト・動画・パンフレット制作費 企業の魅力を伝えるための採用サイトや動画、パンフレットなどの制作費用。デザインやコンテンツ制作、撮影、印刷などにかかる費用が含まれます。
採用イベント・合同説明会出展費 採用イベントや合同企業説明会などへの出展費用。
ブース出展料や資料作成費、人件費などが含まれます。
適性検査・筆記試験等の費用 応募者の能力や性格などをデータで評価するための適性検査や筆記試験等の実施費用。
その他採用代行サービス利用料 採用業務の一部または全部を外部の業者に委託する際にかかる費用。応募者対応や書類選考代行、面接代行など、委託する業務内容や範囲によって費用が変動します。

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新卒採用コストの現状と課題

本章では、新卒採用コストの現状や新卒採用コストが増加している要因、新卒採用における課題の3点について解説します。

新卒採用コストの現状

リクルート 就職みらい研究所調べ「就職白書2020」によると、19年度の新卒採用(20年卒)における一人あたりの平均採用単価は93.6万円であり、18年度の平均採用コスト71.5万円より増加しています。

今後も新卒採用市場の採用競争は激化の一途を辿ることが予想されることから、新卒採用コストもさらに増大するでしょう。

参考:リクルート 就職みらい研究所「就職白書2020」

新卒採用コストが増加している要因

新卒採用コストが増加している背景には、次の2つの要因があると考えられます。

候補者の絶対数減少に伴う、採用競争が激化しているから

少子高齢化の影響により、新卒採用の対象となる候補者数は減少傾向にあります。企業間の人材獲得競争が激化するに伴って、採用コストも増加の一途を辿っています。

優秀な人材と早期から接触するために採用活動を早期化する企業もありますが、採用活動の早期化は、学生の囲い込みにつながる一方で、採用活動期間の長期化を招き、人件費やその他の内部コストが増加する要因となるでしょう。

複数のチャネルを利用することがスタンダードになってきたから

新卒採用では、従来の求人メディアへの掲載だけでなく、ダイレクトリクルーティングやソーシャルリクルーティングなど、複数のチャネルを利用するケースが通例になりつつあります。複数のチャネルを利用すると、情報発信の機会や候補者との接点機会を増やせる一方で、チャネルごとに利用費が発生することになります。複数のチャネルを利用する際は、各採用チャネルの費用対効果を十分に検討する必要があるでしょう。

このように、新卒採用コストが増加している背景には複数の要因があり、優秀な人材を確保するために従来よりも多くの費用を投入せざるを得ない場合もあります。
また各要因は相互に関連しており、複合的に作用して採用コストを押し上げています。特に中小企業にとって採用コストの増大は大きな負担になる懸念があり、採用活動の効率化とコスト削減が喫緊の課題になっている企業も散見されます。

新卒採用における課題

新卒採用における課題として、ミスマッチ発生による早期離職が挙げられます。採用に多大なコストをかけても、早期離職に至ってしまうと、採用に費やしたコストが無駄になってしまいます。そのため、ミスマッチを防ぎ、定着率を高めることが、採用コストの最適化において重要な課題と言えるでしょう。

なお、ミスマッチが発生する背景には、次のような要因があると考えられます。

・企業と学生間の情報提供不足や認識のズレ
・入社後のキャリアパスの不明確さ
・企業文化や社風が合っていない
・学生が働くイメージを持てていない
・労働環境が事前説明と異なる
・学歴や面接時の印象ばかりを重視している など

企業は、採用活動を通じて、企業の魅力や仕事内容、キャリアパスなどを正確に伝え、学生の企業理解を促す取り組みが必要になるでしょう。また、入社後のフォローアップ体制を整えるなど新卒社員の早期離職を防ぐ施策も不可欠です。

早期離職を防ぐことは、採用コストの削減だけでなく、企業全体の生産性向上にもつながります。新卒採用は、将来への投資という視点を持つことが重要であり、長期的な視点で人材育成に取り組む姿勢が求められることを理解しておきましょう。

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新卒採用におけるコストパフォーマンスの考え方

本章では、新卒採用におけるコストパフォーマンスの具体的な考え方を3つ紹介します。

新卒採用コストに対するリターンの評価

1つ目の新卒採用におけるコストパフォーマンスの考え方として、新卒採用コストに対するリターンの評価が挙げられます。
新卒採用コストに対するリターンを考慮する場合、長期的な視点を持つことがポイントです。特に新卒社員は、入社後すぐに企業に貢献するとは限りません。育成期間を経て、徐々に企業に貢献するようになるため、長期的な視点でリターンを評価しましょう。

具体的には、入社後の研修期間やOJT期間、配属後のパフォーマンスなどを長期的に追跡し、採用コストに見合うリターンが得られているかを評価します。また、新卒社員の成長が企業の業績にどのように貢献しているかを定量的に評価することも重要です。例えば、新卒社員が担当したプロジェクトの売上や新卒社員が開発した製品の市場シェアなどを評価することで、採用コストに対するリターンが明確になるでしょう。

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新卒採用に関するKPI(採用率・定着率)の設定方法

KPI(Key Performance Indicator)とは、目標達成度を評価するための重要な指標であり、新卒採用におけるコストパフォーマンスを考える上で参考にすることができます。
KPIを設定する際は、測定可能な数値を設定し、目標達成度を客観的に評価することが大切です。また、定めたKPIの実現に取り組む際は、目標達成の期限も設定しましょう。KPI達成の期限を定めておくことで、計画的に活動を推進できるようになります。

また、KPIは定期的に見直し、必要に応じて適宜修正しましょう。市場の変化や企業の状況に合わせてKPIを調整することで、常に最適な目標が設定された状態となるでしょう。

最終目標(KGI)の明確化

KPIを設定する際は、まず最終目標(KGI:Key Goal Indicator)を明確にしましょう。
KGIは、企業の経営戦略に基づいて設定されるべき目標であり、採用活動の方向性を定める重要な要素となります。
KGIを明確にすることで、採用活動の目的や方向性が明確になり、KPIの項目や数値も定まるでしょう。

プロセスごとの指標設定

最終目標を達成するために、プロセスごとの指標を設定します。
新卒採用においては、応募者数や書類選考通過率、面接通過率、内定承諾率、入社後の定着率などの指標が例として挙げられます。

プロセスごとに指標を設定することで、採用活動の進捗状況を可視化できるようになり、ボトルネックになっているプロセスを早期に発見できる体制が整います。例えば、応募者数が少ない場合は、求人情報の見直しや広報活動の強化などの対策を講じる必要があると考えられるでしょう。また、内定承諾率が低い場合は、内定者フォローの強化や待遇の見直しなどの対策が必要になると推察されます。
このように、採用コストの最適化に迅速かつ的確に取り組める体制が整うでしょう。

現状分析と目標値の設定

続いて、現状を分析し、具体的な数値目標を設定します。
その際、過去のデータを参考にするのも1つの方法です。過去データを現状と照らし合わせて分析することで、現時点の採用活動の課題や過去の成功要因が明確化するでしょう。

分析で導き出された数値と採用目標から採用率や定着率などのKPIを設定しましょう。

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新卒採用コストを最適化するには

本章では、新卒採用コストを最適化するためのポイントを紹介します。
ここで紹介する施策は、単に採用コスト削減に寄与するだけでなく、採用活動の質を高め、企業と学生間のミスマッチを防ぐ効果も期待できます。
どのような施策に取り組むべきか、ぜひ目を通してみてください。

現在かかっているコストの内訳を把握する

まずは、現在かかっているコスト内訳の把握に努めましょう。内部コストと外部コストをそれぞれ洗い出し、どの部分にどれだけのコストを費やしているのかを明確にします。コストの内訳を把握することで、無駄なコストを洗い出し、具体的なコスト削減策を検討できるようになるでしょう。

例えば、求人メディアへの掲載費用に対して費用対効果が見合っていない場合は、他の媒体への切り替えやダイレクトリクルーティングなどの攻めの採用手法の導入を検討できるようになります。
また、採用管理システムの導入費用が高すぎる場合は、自社の採用規模に合ったシステムに切り替えることで外部コストを抑えられるでしょう。

攻めの採用メインに切り替える

ダイレクトリクルーティングなどの攻めの採用手法をメインに据えるのも、新卒採用コストの最適化を図る1つの方法です。

求人広告は、多くの企業で導入されている採用手法ですが、企業自ら学生に対してアプローチできないため、掲載費だけがかかって終わるケースも少なくありません。
その点、ダイレクトリクルーティングなどの攻めの手法は、求める人材に対して企業自らアプローチできるため、認知度やブランド力の低い企業でも学生の興味・関心を喚起できる可能性が高まります。

また、企業と学生それぞれが相互理解を深められるため、ミスマッチの低減にも寄与するでしょう。採用ミスマッチが低減すると、早期離職率が減ったり、入社直後から活躍できたりと新卒採用コストに対するリターンの評価も高まることが期待できます。

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採用のプロセス自体を見直す

選考回数を見直し、フローを最適化することで、無駄な工数を省くことができ、結果的にコストの削減にもつながるでしょう。
例えば、書類選考の基準を見直すことで、面接に進む人数を絞り込めるようになり、面接にかかる時間や人件費を削減することができます。また、オンライン面接を導入することで、面接会場のレンタル費用や学生に支給する交通費などのコストを低減できるでしょう。

内定者へのフォローを強化する

内定者へのフォローを強化することも、新卒採用コストの最適化に寄与します。
内定辞退が発生すると、再度母集団形成から採用活動に取り組まなければならない場合もあり、採用コストが増大します。内定者フォローを強化し、内定辞退や内定承諾後辞退を防ぐことで無駄な採用コストの発生を抑制できるでしょう。
また、内定者フォローは、内定辞退を防ぐだけでなく、入社後の早期離職を防ぐ効果も期待できます。

採用データの分析と改善

新卒採用コストの最適化に取り組む際は、採用活動で得られたデータを分析し、改善点を見つけることも有効です。

内定辞退率が高かった場合は、その原因を分析し、改善策を講じることで、次回以降の採用活動で内定辞退率を低減できるでしょう。また、新卒採用した社員の入社後のパフォーマンスを分析することで、採用するべき人物像をより具体化することもできます。

採用活動は、実行して終わりではありません。新卒採用のコスト最適化を図る上では、採用活動後のデータ分析と改善行動が不可欠です。データ分析を継続的に行い改善に取り組むことで、採用活動の質が向上し、結果的に新卒採用のコストも最適化するでしょう。

新卒採用のコストを最適化するなら「PRO SCOUT」

新卒採用のコスト最適化に取り組む中で、自社だけで全てを対応することに限界を感じる場合もあるでしょう。特に、ダイレクトリクルーティングなどの攻めの採用手法は、ノウハウやリソースが必要となるため、採用コストの最適化に寄与する可能性があると感じながらも導入に躊躇する企業も少なくありません。

新卒採用コストの最適化を目指すにあたっては「PRO SCOUT新卒」の利用をおすすめします。PRO SCOUT新卒は、企業の採用活動を包括的に支援するサービスであり、採用戦略策定からターゲット人材の選定、スカウトメールの作成・送信、内定者フォローまで、採用活動のあらゆるプロセスをサポートし、効率的かつ精度の高い採用活動を実現します。

新卒採用のコスト増大に悩む企業・人事ご担当者様は、ぜひPRO SCOUT新卒の利用をご検討ください。

まとめ

新卒採用は、企業にとって将来への貴重な投資となりますが、闇雲にコストをかけてしまうと企業の事業運営に大きな影響を及ぼす懸念があります。
そのため、新卒採用のコスト最適化は、単なる経費削減ではなく、企業の成長戦略の一環として推進するべき取り組みと言えるでしょう。まずは、現状の採用コストを正確に把握し、無駄なコストを明確にするところから始めてみましょう。

しかし、採用コストの削減や最適化に取り組むためのノウハウやリソースが不足している企業様も多いかと思います。ノウハウやリソース不足に悩む企業様は、PRO SCOUTをはじめとする採用支援サービスを活用するのも1つの方法です。客観的な視点からアドバイスや改善のポイントを提案してくれるでしょう。

ぜひ、本記事を参考に新卒採用コストの最適化に取り組み、より精度やコストパフォーマンスに優れた採用活動を実現させましょう。

投稿者プロフィール

日向 妃香
日向 妃香
採用系コンサルタントとして企業の採用サポート・採用戦略構築・採用ノウハウの提供を行いながらライターとしても活動中。
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。