通年採用は難しいが不可能ではない|成功へのポイントを解説
採用競争の激化を背景に、通年で採用を実施する企業が増えつつあります。
しかし、通年で採用活動を行う場合、採用コストや採用工数が膨らみ、採用活動の負担が増大する懸念も考えられるでしょう。
そこで本記事では、採用支援に8年間従事してきた筆者が、通年採用成功へのポイントを紹介すると共に、通年採用のメリットやデメリット、新卒採用と中途採用の違いを紹介します。
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目次
通年採用の実態
「通年採用」とは、採用活動の期間を定めず、年間を通じて応募の受付や選考を実施する採用活動のことを指します。
特に新卒採用では、学生の動向や経団連の定めるスケジュールに合わせて採用活動を実施するケースが一般的でした。
しかし、部活動や研究活動に励む学生との接触機会の創出や、グローバル化に合わせた留学生・帰国子女の採用強化などを背景に、採用活動期間を限定せず通年で採用活動に取り組む企業が増えてきました。
また売り手市場が続く中途採用においても、優秀な人材をいつでも採用できるようにと、常に採用門戸を開けておく企業が増加している様子が伺えます。
通年採用を実施する企業の割合
株式会社リクルートの研究機関・就職みらい研究所が発表した「就職白書2022」及び「就職白書2024」を比較すると、
次年度の新卒採用で通年採用の実施を予定している企業は25.5%(2022年度)⇒31.9%(2024年度)*と増加傾向にあります。
通年採用を実施する企業は、2年で6.4ポイントも伸びています。新卒採用の早期化・長期化などの変化もあり、今後も通年採用の導入はより一層広がっていくと考えられるでしょう。
*引用:株式会社リクルートの研究機関・就職みらい研究所「就職白書2022」、株式会社リクルートの研究機関・就職みらい研究所「就職白書2024」
また中途採用においても、採用難易度が高いIT系人材を中心に、募集期間を定めず、常に人材の応募を受け付ける体制を整える企業が増加すると予想されます。
通年採用のメリット
続いて、通年採用のメリットを紹介します。
多様な人材と出会える
通年採用のメリットとして、一括採用のように期間を限定した採用では出会えない人材と出会える点が挙げられます。
前述の通り、部活動に励む学生や研究に専念する理系学生は、企業が一括採用を実施するタイミングと同時期に就職活動に専念できないケースも考えられます。通年採用を実施し、エントリーできるタイミングを複数回設けることで、部活動に励む学生や研究に専念する学生との接触チャンスを増やせるでしょう。
また留学生や帰国子女、既卒など、従来の採用活動期間ではエントリーのタイミングが合わなかった候補者からの応募も期待できます。
このように一括採用と比較して多様な人材との出会いを期待できる点は、通年採用ならではの利点と言えるでしょう。
自社のタイミングで採用活動を実施できる
通年採用を実施することで、より自社のタイミングに合わせた採用活動を実現しやすくなります。
自社の採用目標や事業戦略に合わせて採用スケジュールを組み、必要なタイミングに合わせて募集をかけられるようになるでしょう。
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数合わせの内定出しをする必要性がなくなる
通年採用は、採用活動の期間が定められていないため、数合わせの内定を出す必要が減ります。内定に見合った候補者にだけ、内定を伝えれば良く、内定者の質を高められるでしょう。
また採用活動期間内に急いで選考を終わらせる必要もないため、候補者1人ひとりと丁寧なコミュニケーションを図りながら、志望度を醸成することもできます。結果的にミスマッチの防止につながり、早期退職のリスクも低減されるでしょう。
さらに通年採用を実施していれば、内定辞退が発生した場合にも即座に母集団の中から内定候補者を補完できます。
通年採用の難しい点とは|デメリットはある?
一方で通年採用には、次のようなリスクも考えられます。
以下に紹介するリスクを理解しておくことが、通年採用成功のカギにもなるでしょう。
採用担当者の負担が増大する
通年採用は、採用期間を限定しないため、その分応募時期が分散します。
それぞれの応募者に対する個別の対応が増えることから、採用担当者の負担も自然と増大してしまうでしょう。
採用コストが増加する
通年採用は一括採用と比較して採用活動に取り組む期間が長くなります。
求人広告を掲載する期間が長くなったり、説明会を実施する回数が増えたりもするでしょう。さらに採用活動に関わる人員も増やさざる得ない状況が発生する可能性も想定されます。
このように通年採用は、採用活動にかかるコストが増加する傾向が見られるため、導入の際は採用課題に見合ったコストパフォーマンスを得られるのか検討する必要があるでしょう。
志望度の見極めの重要性
通年採用は、一括採用を実施する企業の採用活動が終わった後も継続的に募集を募ることになります。そのため、一括採用で内定を獲得できなかった学生が応募してくる場合もあるでしょう。
「仕方なく」といった動機で応募する学生も少なからずいる可能性もあり、志望度をしっかり醸成・見極めできなければ内定が多発する懸念も考えられます。
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入社に関わる工数が増える
中途採用で通年採用をする場合、入社時期がバラバラになるため、入社時研修を都度実施しなければなりません。
場合によっては、教育や育成にかかる工数が増し、現場の教育や採用担当者の負担が増加してしまう可能性も考えられます。
通年採用を成功させるポイント
通年採用を成功させるためには、前述のデメリットを理解した上でさらに、次に紹介するポイントを押さえることが大切です。
様々な採用手法を組み合わせ、効果的な採用戦略を策定する
通年採用は、採用活動にかける期間が長くなるため、必要になる人員やコストが増大してしまうこともあります。少しでも人員や予算などのリソースを削減するためには、効果的な採用戦略の策定が欠かせません。
複数の採用手法を組み合わせたり、オウンドメディア運用を通じて自社の魅力を多角的に発信したりと、候補者へのアプローチを工夫してみましょう。効果的な採用戦略を策定しておくことで、応募数の目減りを防ぐこともできます。
募集職種によって使い分ける
また入社時期を限定する、募集職種によって通年採用と一括採用を使い分ける戦略も検討してみましょう。
募集・選考自体は通年で行い、入社時期だけを限定することで通年採用のメリットを活かしつつ、受け入れや教育にかかる負担を軽減できるでしょう。
募集職種によっては、一括採用を継続するのも1つです。職種によって応募・選考スタイルを使い分けることで、通年採用と一括採用の双方の利点を活かせるでしょう。
学生・転職者との接点の強化に注力する
通年採用は、採用強化に努めるべきタイミングを見逃しやすくなります。求める人材を適切なタイミングで採用するためにも、学生・転職者との接点の強化に努めましょう。
学生・転職者との接点機会を持つためには、まず学生・転職者の動向を把握することが不可欠です。各求人情報サイトの担当者から学生・転職者の動向データを共有してもらう、昨年度の応募者データを振り返るなど、データを分析することで、学生の動きが活性化するタイミングや転職希望者からのエントリーが増えるようなアプローチ方法が見えてくるでしょう。
通年採用に合った採用プロセスを確立する
通年採用の導入にあたっては、これまでとは違う応募者との接点が生まれることもあります。そのため、新たな採用プロセスの立案を検討すべき可能性も起こり得ます。
例えば、日本国外に滞在する留学中の学生や帰国子女に対してはオンライン完結型の選考を実施するのも1つです。
また内定者フォローを強化する採用プロセスの確立も意識しておきましょう。特に通年採用で早期内定を出した内定者に対しては、入社モチベーションが下がらないよう、入社日まで丁寧なフォローを提供できる体制を整えておく必要があります。
通年採用の成功事例
続いて、通年採用の成功事例を紹介します。
ユニリーバ・ジャパン株式会社(Unilever Future Leaders Program 365)
画像引用:ユニリーバ・ジャパン株式会社
ユニリーバ・ジャパン株式会社は、大学1年生〜卒3年以内の方までを対象にした『Unilever Future Leaders Program 365』と呼ばれる通年採用を実施しています。
2次選考合格から2年間、最終選考を受けられる権利を所有できる他、一度受けた内定は2年間有効になるというもの。
さらに入社タイミングは4月もしくは10月の2つの時期から選択できます。
株式会社カヤック
画像引用:株式会社カヤック
「いちゲー採用」「エゴサーチ採用」などユニークな採用を実施する株式会社カヤックでは、新卒採用を通年で実施しています。
新卒採用の対象者は、限定されておらず、入社時期も要望を汲んでくれるとのこと。
募集職種は、企画、デザイナー、エンジニアの3職種であり、選考では「自分なりの視点で面白さを見つけて、面白がれること」「つくることが好き」という2つの素養を重視しています。
ソフトバンク株式会社(ユニバーサル採用)
画像引用:ソフトバンク株式会社
ソフトバンク株式会社は、「挑戦する意欲ある方には広く門戸を開き、自由な時期に自己の意思で活動を行えるようにしたい」という思いのもと、2015年から新卒採用で「ユニバーサル採用」と呼ばれる通年採用の実施を開始しました。
対象者は、入社時30歳未満の新卒・既卒・就業者と定めており、転職希望者も対象になります。なお、“挑戦する意欲ある方には広く門戸を開く”と謳うだけあり、選考ではポテンシャルを最重視しています。
新卒採用・中途採用 通年採用戦略の違い
同じ通年採用でも新卒採用と中途採用では、戦略に違いがあります。
ここでは、双方の通年採用の違いについて解説します。
新卒採用における通年採用戦略
通年採用を実施する企業が増えつつあるとは言え、その割合は冒頭でも述べた通り30%前後です。まだ多くの企業は一括採用をメインに新卒採用を実施しています。
そのため、新卒採用で通年採用を実施する場合は、どのような採用課題の改善を求めて通年採用に切り替えるのか明確にしておかなければなりません。また通年採用の中でも自社の課題に合わせて、時期ごとに適切な採用手法を取り入れていく取り組みも不可欠です。
さらに前述の通り、新卒採用の通年採用は、一括採用で内定を得られなかった学生が応募してくる可能性も考えられます。学生1人ひとりとしっかりコミュニケーションを図り、志望度を見極めていく必要もあるでしょう。
中途採用における通年採用戦略
全ての中途採用において通年採用に切り替えた場合、際限なくコストが膨れ上がってしまう恐れがあります。
中途採用では、事業戦略や現場の人手不足のひっ迫度、採用難易度に応じて通年採用か期間を定めた採用か、使い分けるようにしましょう。
また通年採用を実施する際は、応募者数が目減りしないよう、適宜採用手法を切り替えたり、最新の情報発信に努めたり、採用ナビサイトの情報を都度更新したりするなど、メリハリある活動の推進を意識しましょう。
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ダイレクトリクルーティングは通年採用とも相性が良く、中途採用・新卒採用問わず注目されている採用手法です。
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【まとめ】通年採用で優秀な人材と出会うために
通年採用は、採用競争の激化や多様な人材獲得を目標に掲げる企業が増えたことを背景に、新卒採用・中途採用問わず広がりつつあります。まとまった人数を同時期に採用する一括採用と比較して「多様な人材と出会える」「自社のタイミングで採用活動ができる」などのメリットがあります。
しかし一方で「採用担当者の負担が増える」「内定辞退者が増加する恐れがある」などのデメリットもあります。また採用活動にかかるコストが上がる懸念がある点にも注意が必要です。
なお通年採用を導入する際は、ダイレクトリクルーティングなど通年採用と相性の良い手法の併用導入も検討しましょう。さらには必要に応じて採用のプロである採用代行の活用を検討する等、採用成功にコミットした取り組みも不可欠です。
上手く通年採用を取り入れることができれば、自社の採用活動を成功に導く施策になるでしょう。
投稿者プロフィール
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採用系コンサルタントとして企業の採用サポート・採用戦略構築・採用ノウハウの提供を行いながらライターとしても活動中。
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。
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