採用コストとは?相場から削減方法まで読むだけで分かる完全ガイド

採用

事業拡大に伴って採用活動に注力しているものの、採用にコストをかけすぎている気がして悩んでいませんか。他の企業がどのくらいのコストをかけて採用しているのかわからず、自社の採用費用が適正なのか判断に迷うこともあるでしょう。

実際のところ、採用コストは企業規模や業界によって大きく異なりますが、平均的な相場を把握することで自社の状況を客観視できます。また、適切な方法により採用コストを抑えながら、質の高い人材を獲得することも可能です。

本記事では、採用コストの基本的な考え方から平均相場、具体的な計算方法、効果的な削減方法まで包括的にお伝えします。採用活動の最適化を図り、コストパフォーマンスの高い人材獲得を実現していきましょう。

採用コストとは?

採用コストとは、企業が新しい人材を採用する際に発生する全ての費用のことです。求人広告費や人材紹介手数料などの外部コストと、人事担当者の人件費や面接時間などの内部コストに分類されます。適切な把握と管理により、採用活動の効率化とROI向上が可能になります。

多くの企業では外部コストのみを採用費用として捉えがちですが、実際には内部コストが採用活動全体の大部分を占めています。全体像を正確に把握することで、真の採用効率を測定し、改善すべきポイントを特定できるでしょう。

内部コスト

社内リソースにかかる費用で、人事担当者や面接官の人件費、面接会場費、選考資料作成費、内定者研修費などが含まれます。見えにくいコストですが採用活動全体の60-70%を占めることが多く、プロセス効率化により大幅な削減が期待できる重要な管理項目です。

内部コストの算出には、関係者の時給に作業時間を掛け合わせる方法が一般的です。例えば、人事担当者(時給3,000円)が10時間の選考業務を行った場合、30,000円の内部コストが発生します。面接官の時間も同様に計算することで、採用活動の真のコストが見えてきます。

外部コスト

外部業者に支払う直接的な費用で、求人サイト掲載料、人材紹介手数料、採用イベント参加費、外部会場費などが該当します。金額が明確で管理しやすい一方、媒体選択や交渉により費用対効果の改善余地が大きい項目です。全採用コストの30-40%程度を占めます。

外部コストは支払先や金額が明確なため、どの媒体や手法にどれくらいの費用をかけているかを把握しやすくなっています。定期的に費用対効果を分析し、効果の低い媒体や手法は見直すことで、大幅なコスト削減を実現できる可能性があります。

採用コストの平均相場は?

採用コストの相場を把握することで、自社の採用費用が適正な水準にあるかを判断できます。新卒採用と中途採用では大きく異なるため、それぞれの特徴を確認していきましょう。

新卒1人に対する平均採用コスト

新卒採用の場合、1人当たりの平均採用コストは56.8万円となっています。新卒採用は説明会や選考の回数が多く、長期間にわたる採用活動が必要なため、中途採用と比較してコストが高くなる傾向があります。

新卒採用では、大学訪問やインターンシップ、複数回の面接など、候補者との接触機会が多いことも高コストの要因です。一方で、まとまった人数を採用できるため、スケールメリットを活かした効率化も可能になります。

参考:マイナビ 2024年卒 企業新卒内定状況調査

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中途1人に対する平均採用コスト

中途採用の場合、1人当たりの平均採用コストは31.2万円となっています。年間採用費用の平均は650.6万円で、平均採用人数は20.8人という調査結果が出ています。新卒採用と比較すると個別対応が中心となり、採用プロセスが短期間で完結することが多いため、1人当たりのコストは抑えられています。

中途採用では即戦力を求める傾向が強く、スピード重視の選考が行われることが一般的です。ただし、専門スキルを持つ人材や管理職クラスの採用では、人材紹介会社への手数料が高額になるケースもあります。

参考:中途採用状況調査 2025年版(2024年実績)

採用コストを抑えるための具体的な方法

採用コストの削減には様々なアプローチがあります。外部コストの見直しから内部プロセスの効率化まで、効果的な方法を組み合わせることで大幅なコスト削減ができます。

求人広告・媒体費の見直し

掲載する求人サイトや媒体の選択を見直して、ターゲット層にリーチしやすい媒体に絞り込みます。過去の応募データを分析して、費用対効果の低い媒体は削減しましょう。自社採用サイトを充実させたり、SNSを活用したりして、無料または低コストで集客力を向上させる戦略的なアプローチが大切です。

媒体選択では、業界特化型の求人サイトや地域密着型のサービスなど、ターゲットを絞った媒体の方が効率的な場合があります。広く浅くアプローチするよりも、質の高い候補者が集まる媒体を選ぶことで、結果的にコストパフォーマンスが向上します。

人材紹介依存からの脱却

高額な人材紹介手数料への依存を減らして、ダイレクトリクルーティングや自社経由の応募を増やすことが効果的です。LinkedInなどのビジネスSNSを活用したスカウト活動、業界イベントでの直接アプローチ、社員の人脈活用などで、中長期的な採用コスト削減ができます。

人材紹介会社の活用は確実性が高い反面、手数料が年収の20-35%と高額になりがちです。自社でのダイレクトリクルーティング能力を高めることで、人材紹介への依存度を下げながら優秀な人材を獲得できるようになります。

面接・選考プロセスの見直し

面接回数を最適化したり、オンライン面接を活用したり、選考フローを簡素化したりして時間とコストを削減します。AI面接やスキル測定ツールを導入して初期スクリーニングを効率化できます。同時に候補者体験の向上も図って、内定辞退率を下げることで実質的なコスト削減効果も狙える総合的な改善策です。

選考プロセスの見直しでは、各段階での目的をはっきりさせて、重複する評価項目を整理することが大切です。面接官のスケジュール調整コストや会議室使用料なども含めて総合的に最適化を図りましょう。

内定者フォローとオンボーディング強化

内定辞退率を下げるための丁寧なフォローと、入社後の早期退職を防ぐオンボーディング体制を作ることも大切な施策です。内定者懇親会、メンター制度、段階的な業務導入で、採用投資を無駄にしない仕組みを作ります。長期的な採用ROI向上に直結する大切な施策として位置づけましょう。

内定辞退や早期退職は、採用にかけた投資が無駄になるだけでなく、また採用活動を行う必要があるため、実質的な採用コストを大幅に押し上げます。丁寧なフォローと受け入れ体制を整えることで、採用成功率を上げることができます。

リファラル制度の活性化

社員による人材紹介制度を活性化して、質の高い候補者を低コストで獲得する仕組みを作ります。紹介報奨金の設定、制度の周知徹底、紹介しやすい環境づくりで、社員の積極的な参加を促しましょう。信頼関係に基づく採用のため、定着率向上と採用コスト削減の両方を実現できる効果的な手法です。

リファラル採用は紹介者と被紹介者の関係性により、企業文化とのマッチング度が高くなる傾向があります。適切なインセンティブ設計と制度運用で、継続的な人材獲得チャネルとして機能させることができます。

採用管理システム(ATS)の導入

Applicant Tracking Systemを導入することで、応募者情報の一元管理、選考プロセスの自動化、データ分析の高度化ができます。人事担当者の業務効率化、重複作業の削減、採用データの可視化で、長期的な採用コスト削減と品質向上の両立ができる投資です。

ATSを導入することで、選考状況の管理や候補者とのコミュニケーションが効率化され、人事担当者の工数を大幅に削減できます。また、蓄積されたデータを分析することで、採用活動の改善点を見つけて、継続的な最適化を図ることができます。

採用ブランディングの強化

企業の魅力を効果的に発信して、自然な応募増加を促進する戦略です。社員インタビューや職場紹介コンテンツの充実、SNSでの情報発信、採用サイトのリニューアルなどで、求職者からの認知度と好感度を上げます。結果的に採用単価の削減と優秀人材の獲得につながります。

採用ブランディングは短期的な効果は見えにくいものの、中長期的には大きな成果をもたらします。企業の魅力が広く認知されることで、自然応募の増加や質の高い候補者を獲得できるようになります。

採用コストと投資対効果の考え方

採用は単なるコストではなく、将来の売上や生産性向上への投資として捉える視点が大切です。採用した人材が生み出す価値と採用にかけた費用を比べて、ROIを測定しましょう。短期的なコスト削減だけでなく、長期的な人材価値の最大化を目指すことが重要です。

採用ROIの計算では、新入社員が生み出す売上や利益、業務効率化による効果などを数値化して、採用コストと比較します。優秀な人材を採用することで企業全体のパフォーマンスが向上すれば、採用コストを上回る価値を創出できるでしょう。

また、採用した人材の定着率や昇進率、エンゲージメントレベルなども含めて総合的に評価することで、本当の採用成功を測定できます。コスト削減と品質向上のバランスを取りながら、戦略的な採用活動を進めていくことが大切です。

まとめ

採用コストは内部コストと外部コストに分けて考えることで、全体像を把握して効果的な削減策を立てることができます。新卒採用で56.8万円、中途採用で31.2万円という平均相場を参考に、自社の採用費用を客観視することから始めましょう。

求人媒体の見直し、人材紹介依存からの脱却、選考プロセスの効率化、リファラル制度の活用など、いろいろなアプローチでコスト削減ができます。同時に、採用ブランディングやオンボーディング強化で、質の高い人材の獲得と定着を図ることが大切です。

採用を投資として捉えて、長期的なROIを重視することで、単なるコスト削減を超えた価値創造ができます。適切な採用コスト管理で、企業の持続的な成長を支える人材獲得を実現していきましょう。

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投稿者プロフィール

大久保 さやか
大久保 さやか
SIerにて中途エンジニア採用を経験。また、リファラル採用支援サービスを提供する企業での従事経験もあり、リファラル採用領域の知見を持つ。