一人当たりの中途採用コストはいくら?コストを削減する方法も紹介
企業が採用活動を行うには、一定のコストがかかります。
多くの採用担当者の方は「できるだけ採用コストを抑えて優秀な人材を確保したい」と思われているのではないでしょうか?
そこで本記事では、採用コストの概要や中途採用コスト削減方法、中途採用手法などを解説します。
中途採用のコスト削減をしたい採用担当の方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
中途採用コストの現状とは?
中途採用には、一体どの程度のコストがかかるのでしょうか?
本章では、雇用形態別、企業規模別、求人広告サイトでの中途採用コストに加え、派遣社員を中途採用する場合の中途採用コストを紹介します。
雇用形態別 1人あたりの採用コスト(新卒・中途・アルバイト)
下記の表は、新卒、中途、アルバイトの雇用形態別に算出した2019年度の採用単価です。
1人当たりの採用コストは、新卒で93.6万円、中途で103.3万円、アルバイトで6.4万円でした。
雇用形態 | 1人あたりの平均採用コスト |
新卒採用 | 93.6万円 ※1 |
中途採用 | 103.3万円 ※1 |
アルバイト採用 | 6.4万円 ※2 |
※1,000円未満切り捨て
出典:※1:「就職白書2020.pdf」|株式会社リクルート
※2:「採用活動に関する最新調査データについて.pdf」|株式会社マイナビ
3つの中で、中途採用が最も高額となっています。これは、今までの経験や資格を重視し、市場になかなかいない優秀な人材を求める傾向があるからです。
新卒採用は中途採用より約10万円低いです。中途採用が経験重視なのに対し、新卒採用は未経験者かつ一度に複数採用するため、このような数値になっています。
アルバイト採用は1人あたりの採用単価は安価なものの、飲食店や小売業などのサービス業では採用人数は総じて多くなります。そのため、アルバイト採用の採用コストが中途や新卒採用よりも多くかかる場合もあります。
企業規模別の中途採用コスト
下記の表は、2023年の企業規模別の中途採用予算、実績をまとめたものです。
従業員数 | 中途採用予算 | 中途採用実績 |
50人以下 | 109.1万円 | 86.7万円 |
51~300人 | 350.5万円 | 299.0万円 |
301~1000人 | 593.8万円 | 550.4万円 |
1001人以上 | 1638.9万円 | 1290.5万円 |
※1,000円未満切り捨て
出典:中途採用状況調査2024年版(2023年実績)|株式会社マイナビ
企業規模が大きくなればなるほど採用予算、実績ともに高くなっています。
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求人広告の中途採用コスト
下記の表は、2023年の企業規模別の求人広告に対し組んだ予算と実績です。ここで言う求人広告とは、転職サイト、折込求人紙、新聞の求人欄、フリーペーパー等を指します。
301~1000人規模の企業のみ、実績が予算より上回っています。
従業員数 | 求人広告の中途採用予算 | 求人広告の中途採用実績 |
50人以下 | 34.3万円 | 30.3万円 |
51~300人 | 90.2万円 | 72.1万円 |
301~1000人 | 117.6万円 | 127.9万円 |
1001人以上 | 296.0万円 | 263.5万円 |
※1,000円未満切り捨て
出典:中途採用状況調査2024年版(2023年実績)|株式会社マイナビ
また、2023年の採用者1人あたりの求人広告費は、38.5万円でした。
従業員数別に見ると下記です。
従業員数 | 1人当たりの求人広告費 |
50人以下 | 21.4万円 |
51~300人 | 40.4万円 |
301~1000人 | 35.9万円 |
1001人以上 | 44.6万円 |
※1,000円未満切り捨て
出典:中途採用状況調査2024年版(2023年実績)|株式会社マイナビ
ダイレクトリクルーティングの中途採用コスト
下記の表は、2023年の企業規模別のダイレクトリクルーティングに対して組んだ予算と実績です。
従業員数 | ダイレクトリクルーティングの中途採用予算 | ダイレクトリクルーティングの中途採用実績 |
50人以下 | 36.8万円 | 62.9万円 |
51~300人 | 99.4万円 | 97.4万円 |
301~1000人 | 198.9万円 | 142.8万円 |
1001人以上 | 336.4万円 | 258.1万円 |
※1,000円未満切り捨て
出典:中途採用状況調査2024年版(2023年実績)|株式会社マイナビ
50人以下の企業規模では実績が予算を上回っていますが、そのほかの企業規模では実績が予算を下回り、効率的な採用ができたことが伺えます。
ダイレクトリクルーティングでは、従来の人材紹介より1人あたりの採用コストを抑えられる傾向にあります。
例えば、ダイレクトリクルーティングプラットフォームである「OpenWork」なら、どんなに高年収な人材を採用しても中途人材は一律成功報酬80万円です。人材紹介の場合、例えば年収500万円の人材を30%の紹介手数料で採用した場合、150万円かかりますので、かなりコストを抑えることができます。
また、同じくスカウトサービスである「リクルートダイレクトスカウト」は、1年目完全成果報酬で、理論年収の15%しかかかりません。
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中途採用コストの推移
中途採用コストは増加傾向にあります。
第1章のデータ出典である「就職白書2020」によれば、2018年の中途採用コストは83万円、2019年は103.3万円で、20万円程度増加しています。
今後も少子化などの影響で日本の労働市場は人手不足となり、有効求人倍率が上がるにつれ採用コストも上がる可能性は高いでしょう。
しかし、「就職白書2022」※1によると、コロナ禍により急速に広がった採用活動のWeb化が費用削減につながった企業は66.4%に達しています。
これは、コスト上では大きな変革でしょう。
ただし、Webでの採用活動は対面よりもコミュニケーションが取りにくい、人柄がよくわからないなどの課題もあります。そのため、コロナの規制が緩和されてからは、面接や転職フェアなどの説明会開催を対面実施に戻す企業も多く存在します。
有効求人倍率の上昇による採用難と、対面でのコミュニケーションに戻す現象により、今後も採用コストは右肩上がりになると予想されます。
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採用コストの考え方とは?
ここまで採用コストの実態をお伝えしてきましたが、そもそも採用コストはどこまでを指すかご存知でしょうか?
採用コストは「外部コスト」と「内部コスト」の2つに分けられます。それぞれ詳しく解説していきます。
外部コスト
外部コストとは、採用活動で社外に支払う費用です。外部コストに分類される費用は主に下記です。
・求人広告費
・人材紹介費
・採用のための会社案内パンフレットなどの採用ツール製作費
・会社説明会などの会場費
・内定者への外部研修費
外部コストは一度に支払う金額が大きいのが特徴です。とくに求人広告費や人材紹介費は高額な費用がかかります。
求人広告費は第一章で紹介した301~1000人規模の企業だと平均127.9万円、人材紹介は400万円かかる結果が出ています。※
近年では求人広告や人材紹介以外にも、ダイレクトリクルーティングなど採用手法が増えているので、コスト削減をしたい場合はほかの採用手法を検討してみても良いでしょう。
※出典:中途採用状況調査2024年版(2023年実績)|株式会社マイナビ
内部コスト
内部コストとは、社内の従業員に対してかかる費用です。内部コストに分類される費用は主に下記です。
・面接官や採用担当者の人件費
・電話対応などのオフィス職員の人件費
・応募者や内定者への交通費
・内定者に送る労働条件通知書などの書類送付費
・内定者懇親会・入社歓迎会などの交際費
・内定者の引越費
内部コストは主に選考や内定者に対しかかる費用です。そのため、採用コストを抑えたい場合は、選考や内定辞退率を下げることが重要です。
選考や内定辞退を防ぐために、採用担当者は候補者と密接なコミュニケーションを図ります。懇親会などを開いたり、連絡を取り続けたりするのです。
内定辞退率が低い採用手法に、リファラル採用やダイレクトリクルーティング、ヘッドハンティングなどがあります。この手法は、転職潜在層にアプローチできるため、いわば一本釣りができるのです。
採用コスト削減検討の際には、このような採用手法も検討することをおすすめします。
費用対効果の重要性
現在の日本の転職市場は売り手市場と言われています。
この採用難を勝ち抜くには、いかにコストを抑え優秀な人材を獲得できるかにかかっています。
優秀な人材を確保するためには、従来の求人広告や人材紹介のみの採用に頼らず、新しい手法を探していくことも必要です。
近年登場した新たな採用手法は、比較的コストのかからないものが多いので、自社にマッチした採用手法を見つけましょう。
新卒と中途の採用コストの違い
新卒採用は、第2章で説明した中途採用と同様、増加傾向にあります。「就職白書2020」によれば、2018年の新卒採用コストは71.5万円、2019年は93.6万円となっています。同調査ではコストが増加している理由として、「採用に携わる人数が増えている」が挙げられています。
内部コストを投じ、内定者を繋ぎとめる施策を打っている企業が新卒を確保できている調査結果もあります。そのため、新卒を採用するためには企業は躊躇せず内部コストをかけていくことが重要だといえます。
また、新卒採用では自社のアピールのため、PR動画やセミナー・説明会の開催などの外部コストをかけることも重要です。
このように、新卒採用では決められた予算内で内部コスト、外部コストに適切な金額をかけることが成功の鍵と言えます。
一方、中途採用は即戦力人材を必要とする企業が多いため、外部コストに重きを置きます。転職市場で希少な人材を探すためには、求人広告であればより多くの人に掲載内容を見てもらわなくてはいけません。求人広告は検索結果上位に表示されるためにはその枠に申し込まなくてはならず、費用は高額です。
また、優秀な人材は理論年収が高いため、人材紹介で採用した場合の採用コストも高くなります。
このように、新卒と中途では一口に採用コストと言っても重きを置くポイントが違うのです。
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中途採用コストを削減する方法
中途採用コストを削減するにはいくつか方法があります。ここでは5つの方法を紹介します。
リファラル採用を行う
自社の社員から知人を紹介してもらい、採用選考を進める採用手法です。紹介された知人を必ず採用するわけではないですが、属性や所有スキルが自社社員と似ているため、採用率は一定担保されるでしょう。
求人広告や人材紹介などの外部コストがかからないため、大幅なコスト削減ができます。
かかるコストとしては、紹介してくれた自社社員に報酬を支給する場合です。リファラル採用支援を行う企業の株式会社MyReferが2018年に公開した調査結果※では、報酬相場は46.9%の企業が1~9万円と求人広告や人材紹介に比べると安価な設定です。
※参照:「リファラル採用の実施状況に関する統計レポート」|株式会社MyRefer(現株式会社Talent X)
無料求人サービスを活用
求人を掲載するにはお金がかかると思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?しかし、無料で求人が掲載できる無料求人サービスがあります。
4つの種類があるので、順番に解説していきます。
求人検索エンジン
求人検索エンジンとは、Web上に公開されたさまざまな求人情報を集めて表示できるプラットフォームです。Web上に公開されたさまざまな求人情報とは、企業のHPや一部の求人サイトを指します。
「Indeed」や「求人ボックス」などが代表的なサービスです。
ユーザー数も多く無料で利用できるので、幅広い層にアピールすることができます。
求人サイト
求人サイトとは、企業が求人情報を掲載して、候補者とのマッチングを図るサイトのことです。
無料の求人サイトで代表的なのは「ハローワーク」です。行政機関が運営しており、一定のユーザー数がいます。
また、民間企業が運営しているものもあります。
採用支援ツール
採用支援ツールは、採用活動全般をサポートするためのツールのことです。
具体的には、企業のブログなどを掲載できるサービスや、採用HP作成機能が付いた採用管理システムを備えたものがあります。
採用支援ツールで有名なのは「engage」や「Airワーク採用管理」で、こちらは無料で求人ページを作成することができます。
また、「note」は無料でブログ記事を作成でき、採用ブランディングとして運営している企業も少なくありません。
サービスによって特徴が違うので、自社に合ったサービスを探しましょう。
SNS
求人機能がついている「LinkedIn」や「YOUTRUST」などのSNSを指します。
SNSは拡散力が高いため、母集団形成や転職潜在層へのアプローチ実施が期待できるでしょう。
求人媒体の選定の見直し
求人媒体の見直しも採用コストを削減する一つの手法です。
求人媒体とは、「人を採用したい企業」と「仕事先を見つけたい候補者求職者」の間をつなぐ媒体(メディア)のこと。
第6章で詳しく説明しますが、求人媒体によって特徴があるので、自社に合った媒体を選定することが重要です。
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選考プロセス自体の見直し
採用活動は、内部コストである採用担当者や役員などの人件費もかかります。そのため、度重なる面談設定などは人件費の無駄遣いになっている可能性があります。
また、性格検査や学力検査などを実施している場合も自社に本当に必要か見直しましょう。
職種によっては必要ないと判断できるかもしれません。
離職率の低減に取り組む
せっかく採用コストをかけて採用に成功したのに離職率が高ければ、かけた時間とコストが無駄になってしまいます。
離職の理由は、「人間関係に悩んでいた」「休暇や労働時間が適切ではなかった」「給与が少なかった」などさまざまです。
社員満足度調査や定期的な1 on 1を行うことによって社員の不満や不安を把握し、改善に務めましょう。
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中途採用手法の比較
近年、中途採用では新たな採用手法が次々に出てきています。
本章では代表的な中途採用手法を6つ紹介、比較します。
転職サイト
転職サイトは、いわゆる求人広告のことで、企業が求人情報を掲載し、それに対して候補者がエントリーする形で運営されています。
転職サイトには「掲載課金型」と「成果報酬型」2つの料金形態があります。
掲載課金型は、決められた費用を払えば一定期間求人を掲載することが可能です。ですので、期間中に何人採用しても料金は変わらず、複数人採用したい場合に向いています。
成果報酬型は、応募があった段階または採用決定した場合で費用が発生する仕組みです。成果が出なければ費用は発生しないので、リスクは低いでしょう。しかし、複数人採用する場合は割高になる可能性もあります。
また、転職サイトには、「総合型求人サイト」と「特化型求人サイト」の2種類があります。
総合型求人サイト
総合型求人サイトは、さまざまな業種や職種の求人を掲載しています。そのため登録者の年齢、職種、業種も幅広いです。
代表的な総合求人サイトには、「マイナビ転職」「リクナビNEXT」「doda」などがあります。
特化型求人サイト
特化型求人サイトは、業種や職種、地域などに特化した求人を掲載しています。総合型求人サイトに比べると、登録人数は少ないですが、ターゲットを絞った採用活動には向いているでしょう。
代表的な特化型求人サイトには、「女の転職」(女性に特化)、「保育Fine」(保育士求人に特化)、「マイナビ看護師」(看護師求人に特化)などがあります。
ソーシャルリクルーティング
ソーシャルリクルーティングとは、facebookやX(旧Twitter)などのSNSを利用して情報を発信し、採用を行う手法です。
多くの人の目に触れるSNSで自社の魅力などを発信することで、転職潜在層の目に止まる可能性もあり、幅広くアプローチできるのが特徴です。
しかし、継続的な更新が必要であり、投稿内容などの考案のため採用担当者の工数は増えるでしょう。また、炎上のリスクヘッジも必要です。
リファラル採用
リファラル採用は、自社の社員の知人を紹介してもらい、採用する方法です。
転職潜在層にアプローチできたり、ミスマッチが少なく離職率が低いのが特徴です。また、自社の社員が自社の魅力を語ることにより、エンゲージメント向上を図れます。
一方で、紹介されても不採用になる場合もあったり、入社した知人のパフォーマンスがよくないと、紹介した社員との関係性が悪化する可能性もあります。このようなことから、運用には十分な配慮が必要です。
ヘッドハンティング
ヘッドハンティングは、企業が求める人材をあらゆるネットワークを利用して探し出し、採用をサポートする手法です。
転職市場にいない経営者層などを採用できるメリットがあります。その一方で、希少価値の高い人材採用のため探す手間がかかり、費用は高額です。
スカウト型採用(ダイレクトリクルーティング)
スカウト型採用は、企業から候補者へ直接アプローチする採用手法です。
具体的には、ビズリーチなどのダイレクトリクルーティングプラットフォームで、登録している候補者へメッセージを送ります。
自社が求める人材を見極め、欲しい人材のみにアプローチできたり、転職潜在層にアプローチできるのがメリットです。
しかし一方で、候補者の見極めやメッセージのやり取りに採用担当者の工数がかかるデメリットもあります。
また、返信率の高いメッセージ送付文の作成など、自社の経験やノウハウに左右される点も注意が必要です。
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【まとめ】コストを見直して効率的な中途採用を
今回は、中途採用コストの減少、コスト削減方法、さまざまな採用手法の比較を解説しました。
今後ますます採用難が加速すると言われている今、コストを抑えながらも優秀な人材を獲得したいですよね。
今回紹介した採用手法を比較検討し、ぜひ自社に合った方法を確立してください。
投稿者プロフィール
- SIerにて中途エンジニア採用を経験。また、リファラル採用支援サービスを提供する企業での従事経験もあり、リファラル採用領域の知見を持つ。
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