コロナショックによる各社の採用状況

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現在、新型コロナウィルスの影響で、2020年2月末時点で1.45倍と、2ヶ月前の1.6倍から比較すると求人倍率は大きく減少しています。更に一部の産業では解雇や休業の動きが出始めています。
ただ、弊社のクライアントであるSIer企業ではスカウトの返信率が10%を超える等、追い風とも言える状況も散見されます。

この状況下で、企業の採用方法は現状どうなっているのか。

今回は、VOLLECT代表中島が、実際の企業の採用状況を基に、不景気中の企業の採用について解説します。

現在の各社採用状況

弊社はダイレクトリクルーティングの支援を行っていますが、現在の弊社のクライアントの状況を踏まえると、
大手電機メーカーや大手人材サービス企業、大手コンサルティングファームなど大手企業を中心に採用をストップしている企業は少しづつ増えています。

採用ストップしている理由としては、コロナの影響を受け、会社の売上が減少傾向にある事で、採用計画を見直さなければいけなくなったというのが一般的ですが、それ以外だと、「オンライン面接だけでは最終的な採用判断ができない」、「この状況下で採用活動する事がイメージ低下に繋がりかねない」「入社日からリモートになってしまうと早期退職に繋がってしまう」などという多くの懸念を耳にします。

一方で、採用継続している企業も、まだまだ多くあります。弊社のクライアントの8割は採用を継続しています。特にスタートアップやベンチャー企業、大手でもSIerやインターネット系の企業は継続している印象です。

これらの企業では、軒並みスカウトの返信率が高くなっており、平時では応募がなかった人材からの応募も来るようになっています。特に3月後半からの返信率の伸びは、一律どこの会社も伸びているのが現状です。

それでは、なぜスカウトの返信率は、これほど伸びているのでしょうか。

不景気中の採用計画はどうなるのか

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リーマンショックを参考にすると、不景気になると、企業は厳選した母集団形成を始めます。
もちろん、母集団形成以外の面接や日程調整などのプロセスにも影響はあるかと思いますが、最も影響がでるのは母集団形成の方法(=採用手法)です。

前提として、好景気の状況では、候補者数<求人数となり、企業は人材要件を緩和し、非効率とわかっていても、少しでも多くの候補者を集められる方法を取るようになります。

一方で、不景気の状況では、候補者数>求人数となるので、企業は、厳選してより優秀な候補者を選べる方法を利用します。更に、候補者からの応募が集まりやすい為、出来るだけ効率的に求める候補者を見つけられる方法を活用するでしょう。

つまり、下記のようになります。

▽好景気:

  • 出来るだけ大きな網を広げる
  • 効率性は重視しない

▽不景気;

  • 出来るだけピンポイントで網を広げる
  • 効率性を重視

不景気中の採用は何が起こるか

現在の採用手法では大きく下記4つに分類されます。

◆人材紹介
◆求人広告
◆リファラル
◆ダイレクトリクルーティング

不景気の場合、企業は厳選して候補者を選ぶ方法を取るので、いわゆる未経験大量採用が得意な求人広告や、専門性のない紹介量勝負の人材紹介会社は、不利な状況です。

人材紹介の場合

人材紹介会社は大きく2パターンあると思います。

①転職者担当と法人担当が分かれており、紹介数は多いが、紹介する人材の質が低い会社
②法人と転職者を一気通貫で担当し、紹介数は少ないが、紹介する人材の質が高い会社

不景気になると、厳選した候補者のみを企業が求めている為、①の紹介会社は企業から嫌煙されてしまいます。候補者の質を高めようと色々な施策をしても、法人担当と転職者担当が分かれてしまっている以上、②のようにはいきません。特に①の紹介会社は大手が多く、システムなども導入されているので、小回りは効きません。

大手人材紹介会社の場合は、AIなどで精度を高めているといいますが、現時点ではまだ精度が低いマッチングをしているので、すぐに不景気に対応する事はできません。

一方で②の紹介会社の場合は、重宝される可能性があります。②の紹介会社の多くは、小規模事業者である事が多く、自社の人材データベースだけではなく、大手が保有する人材データベースにスカウトして候補者を探していますが、求職者数>求人数となるので返信率が高まるので、企業がピンポイントで欲しい人材を紹介する事もできるでしょう。

求人広告の場合

求人広告は年齢や性別、国籍など求める人材要件に記載できない事も多く、候補者数>求人数の不景気では、企業が求めない候補者からの応募が殺到してしまい無駄な工数が多く発生してしまい効率が非常に悪くなります。
また求人広告はどうしても未経験大量採用している求人が多いイメージも強く、経験者が求人広告を使う事も減り、結果的に企業が求人広告を掲載しても、求めていない候補者からの応募ばかりで、採用につながらない事態に繋がります。
※また大々的に採用している事を公言してしまう為、ブランドイメージにも影響する可能性もあります。

リファラルの場合

リファラルに関しても、厳選採用にはあまり向いていないと思われます。自分の会社が求める人材の要件が狭くなると、それに即した知り合いに声をかけるのは非常に難易度が高くなります。さらに、企業が不景気だと、知人を自社に紹介する事で発生するインセンティブも下がるため、モチベーション低下に繋がります。

ダイレクトリクルーティングは不景気中に効果のある採用手法の一つ

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厳選した候補者をピンポイントでアプローチできるダイレクトリクルーティングは増えていくと考えられます。

昨今、ダイレクトリクルーティングを取り入れている会社は少なくないため、どうしても返信率に課題が残ります。しかし不景気になれば、候補者が受け取るスカウトメール数は減るため、企業からするとスカウト返信率が高くなり、効率的に厳選採用をする事ができます。

当然、上述した、専門性があり、紹介する候補者の質が高い人材紹介会社も、厳選した候補者を紹介する事ができるという意味で不景気に強いと思われます。しかし、問題は料金です。

専門性のある人材紹介会社の多くは、両手型のヘッドハンティング型のコンサルタントで構成されており、Feeはかなり重要です。多くの会社が、そのFeeの何%かがインセンティブとなっている会社も多く、Feeの設定の設定次第で、紹介数なども変化します。
その結果、Feeを高く設定して貰えた企業を中心に注力するという構図ができる為、企業側としてはFeeを高く設定しなければいけない状況を生み、結果的に企業側のコストが嵩んでしまいますデメリットも想定しなければいけません。

ダイレクトリクルーティングも、スカウトサービスによっては、成功報酬型のものが多く存在します。成功報酬型以外だと、スカウト通数に対して課金する料金体系のものが主流です。
成功報酬が一概に悪いとは言えませんが、不景気になり返信率が高くなる事を考えると、使うスカウト通数を少なく済ませるので、スカウト通数に対する課金制の方のものが最もコストパフォーマンスを高める事ができます。

おわりに

リーマンショック時点では、現在のダイレクトリクルーティングという採用手法は、ほぼ存在しなかったに近い状況でした。ダイレクトリクルーティングが本当に、この現況に使えるのかどうか、試される所かと思います。

弊社では企業のダイレクトリクルーティングの運用代行を行っておりますが、実際に、直近の返信率が良くなっている企業が非常に増えています。

冒頭に記載したように、採用に特に困っていたSIer業界のスカウト配信で、10%を超える事例も生まれてきています。

採用を継続できない理由も多く存在しているかと思いますので、そこは各社の考え方次第になるかと思います。
もし継続するのであれば、ダイレクトリクルーティングはオススメかと思います。

ダイレクトリクルーティング運用に困ったら

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弊社、株式会社VOLLECTはダイレクトリクルーティングに特化した採用支援「PRO SCOUT」を行っています。
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「マンパワーが足りない」「媒体を上手く活用できていない」といったお悩みをお持ちでしたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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投稿者プロフィール

中島 大志
中島 大志株式会社VOLLECT CEO
「ダイレクトリクルーティングの教科書」著者。日経トレンディや東洋経済への寄稿も果たす。新卒でパーソルキャリア株式会社にてクライアントに対して採用コンサルティングに従事。その後、外資系コンサル企業の採用支援をする中でダイレクトリクルーティングの魅力に気づき株式会社VOLLECTを創業。スカウト採用支援実績は500社超。