不採用メールの書き方や例文を書類選考後と面接後に分けて解説

人事

企業の採用活動において、不合格者は必ず出てしまうもの。

そんなとき「どのような文面であれば失礼がないか?」「そもそも不採用メールは送るべきなの?」と思われる採用担当者の方も多いのではないでしょうか?

今回は、不採用を通知する際のメールの書き方や例文を解説します。

自社への心象を悪くしたくない、候補者にそこまで落ち込んでほしくないと思われている採用担当者の方は、ぜひ最後までお読みください

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不採用メールの目的

そもそも、採用に至らなかった候補者に不採用を通知するメールは必要なのでしょうか?結論から言うと、「必要」です。本章では、不採用メールの目的を3つ紹介します。

選考結果の伝達

そもそも不採用メールは、その名の通り、「不採用を伝えるメール」のことです。

株式会社キャリタスが行った調査※によると、25卒の平均エントリー社数は22.6社。また、マイナビが行った調査によると、転職者の平均応募社数は8.4社です。

引用:平均応募社数や選考通過・内定の確率はどれくらい?|株式会社マイナビ

これらの結果からわかるように、新卒・中途どちらの候補者も複数の企業を受けるのが一般的です。そのため、不採用通知を行えば、候補者は力を入れるべき企業を選別できたり、企業からの合否通知を長い間待つ必要がなくなったりします。

逆に言えば、不採用通知を行わなければ、候補者はやきもきしながら通知を待つこととなり、結果的に不満や不安を抱かせることとなります。

候補者のために、不採用通知を送ることは企業がすべきことの一つと言えるでしょう。

<確報版>25卒学生の4月1日時点の就職活動調査

応募してくれたことへの感謝

現代は、少子高齢化が急激なスピードで進み、労働人口が大幅に減少しています。人手不足は深刻で、帝国データバンクの調査によると、半数以上もの企業が人手不足と回答しています。

引用:人手不足に対する企業の動向調査(2024年10月)|帝国データバンク

企業は今や、「選ぶ立場」ではなく「選ばれる立場」となっているのです。母集団形成は難化し、採用活動も思い通りにいかない企業が増えています。

このような採用市況の中、候補者はわざわざ自社を選んで応募してきてくれているのです。その行動に企業は感謝の意を示さなければいけません。

そのために、不採用であってもしっかり通知を行うことは企業としての礼儀・義務といえるでしょう。

企業イメージの維持・向上

「自社に採用しないなら、不満や不安を抱いてもらっても構わない」「感謝の意を示さないことを失礼だと思っても構わない」と思うのは大間違いです。

なぜなら、もしかするとその候補者が取引先に就職が決まる可能性や、一消費者として自社製品の購入を躊躇われてしまう可能性があるからです。

さらには、近年では転職・就職活動において企業のクチコミを調べることは当たり前になりつつあります。エン・ジャパン株式会社が行った調査によると、「転職活動中に社員クチコミを見る」と答えた候補者は半数にものぼることがわかっています。

引用:社会人4500人に聞いた「転職活動時のクチコミ閲覧」実態調査ー『エン転職』ユーザーアンケートー

さらに、企業のクチコミを知った後で選考や内定を「辞退をしたことがある」と答えたのは約7割にも達しています。

このように、今や企業のクチコミ情報は求職活動には欠かせません。企業からすれば、自社のクチコミが悪くならないようにすることも採用活動の一環といえるでしょう。

そのため、信頼や評判を落とさないために「不採用メールを送る」ことは必要な行為なのです。

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不採用メールを書く時の基本的なルール

ここからは、不採用メールを書く際の基本的なルールを、書類選考後の場合と面接後の場合に分けて説明します。

送信のタイミング

不採用メールは、書類選考後であれば書類が提出された後2~3日以内に送りましょう。システムを通じて応募する形式であれば、自動返信や応募後の画面で「3日以内に合否をお知らせいたします」などとすれば、候補者は先の予定を見通すことができ、他社の求職活動がしやすくなるでしょう。

面接後であれば、遅くとも1週間以内に送ることをおすすめします。

何事も早め早めに対応すると、自社への信頼や志望度が高まる可能性があります。

メールの構成と内容

メールの構成およびそれに付随する内容は下記です。

件名

誰が見ても採用結果の通知であることがわかる件名にする。「書類選考の結果について」や「面接結果について」などとわけても良い。

例:【〇〇株式会社】採用結果の通知
面接結果のご連絡(〇〇株式会社) など

宛名

フルネームで、記載ミスのないようにする。記載ミスがないよう、応募者リストと比較したり、ダブルチェックをしたりする。

挨拶

時候の挨拶は入れず、どこの誰かを明確に述べる。また、応募に対しての謝意もここで述べると良い。

例:お世話になっております。〇〇株式会社採用担当の△△です。
この度は、数ある企業の中から弊社にご応募いただき、誠にありがとうございました。

選考結果

合格・不合格を伝える。不合格の場合は、フォローの文面を入れると良い。

例:社内で慎重に協議をしました結果、誠に残念ではございますが、今回は採用を見合わせることとなりました。

応募書類の取り扱いについて

選考時に提出してもらった履歴書や職務経歴書などは、個人情報が記載されている書類なので、取り扱いについて明記する。大抵の場合、社内にて決められた手順に沿って処分する場合が多い。稀に候補者に返送する場合もある。

例(企業にて破棄する場合):応募時にお預かりした履歴書等の選考書類につきましては、弊社にて責任を持って破棄いたします。
(返却する場合):応募時にお預かりした履歴書等の選考書類につきましては、履歴書に記載されておりますご住所に郵送させていただきます。

結びの挨拶

候補者を気遣う、鼓舞するような言葉を述べて結ぶ。

例:末筆になりますが、○○様のこれからのご活躍を心よりお祈り申し上げます。

企業情報と担当者の署名

企業情報と担当者の署名を記載する。差出人に企業名しか入っていないと、どことなく冷たい印象を受ける。そのため、担当者の名前も入れるようにすると好印象。ただし、担当者名の明記は各企業の方針によるため、必ず入れなくてはいけないわけではない。

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書類選考後の不採用メールに記載する内容と例文

ここからは、書類選考後の不採用メールの例文を紹介します。コピペOKですので、ぜひ活用してみてくださいね。

件名:【●●株式会社】書類選考結果のご案内

〇〇 〇〇様(フルネーム)

●●株式会社の採用担当△△と申します。
このたびは、数ある企業の中から弊社の求人にご応募いただき、
誠にありがとうございました。

ご提出いただきました応募書類をもとに厳正な選考をいたしました結果、
誠に残念ではございますが、今回はご期待に添えない結果となりました。

何卒ご了承いただけますと幸いです。

なお、応募時にお預かりした履歴書等の選考書類につきましては、
履歴書に記載されておりますご住所に郵送させていただきます。
(返却しない場合:なお、応募時にお預かりした履歴書等の選考書類につきましては、
弊社にて責任を持って破棄いたします。)

ご応募いただいたことに御礼申し上げると共に、
略儀ながらメールにて通知させていただきます。

末筆とはなりますが、○○様のこれからのご活躍を心よりお祈り申し上げます。

株式会社●●●●
採用担当 △△ △△
住所
電話番号
メールアドレス

 

面接後の不採用メールに記載する内容と例文

次に、面接後の不採用メールの例文を、新卒と中途にわけて紹介します。とくに、最終面接のあとの不採用メールの場合、良かった点などを書き、候補者の自信を損なわない内容にすると良いでしょう。

そうすることで、候補者のその先のやる気の向上や、「やはり受けなければよかった」と思わせないようにするためです。

件名:【選考結果のご連絡】株式会社●●●●

○○ ○○様(フルネーム)

株式会社●●●●の採用担当△△と申します。
この度は、数ある企業の中から弊社にご応募いただき、誠にありがとうございました。
また、度重なる面接にもご足労いただき、重ねて御礼申し上げます。

○○様との最終面談の内容を踏まえ、弊社内にて慎重に協議を重ねた結果、
誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせて頂くことになりました。

選考に際し多くのお時間を割いていただいたにも関わらず、
このようなご連絡となり大変心苦しくはありますが、何卒ご理解いただけますと幸いです。

ただ弊社といたしましては、○○様は下記の通りさまざまなお力を備えた
人材として高く評価しております。

・共感力
・論理的な分析力
・エンジニアとしての高度な知識
・業界理解(競合理解や業界分布など)

今回の選考で不採用となったことは、単に弊社と合わなかったと
受け止めていただけますと幸いに存じます。

今後も上記の強みを活かし、活躍されることを願っております。

応募に際しいただきました書類については、履歴書に記載されておりますご住所に
郵送させていただきます。
(返却しない場合:応募に際しいただきました書類については、
弊社にて責任を持って破棄させていただきます。)

末筆ではございますが、○○様のさらなるご活躍、ご健勝をお祈り申し上げます。
略儀ではございますが、メールにてご通知申し上げます。

株式会社●●●●
採用担当 △△ △△
住所
電話
メールアドレス

件名:【選考結果のご連絡】株式会社●●●●

○○ ○○様(フルネーム)

株式会社●●●●の採用担当△△と申します。
この度は、幾多の企業の中から弊社にご応募いただき、
誠にありがとうございました。
また、度重なる面接にもご足労いただき、重ねて御礼申し上げます。

○○様との最終面談の内容を踏まえ、慎重に社内にて協議を重ねた結果、
○○様の期待に添いかねる結果となりました。

お時間を割いて弊社の選考を受けていただいたにもかかわらず、
このようなご連絡となり大変心苦しいのですが、ご理解いただけますと幸いです。

私事ではございますが、
私△△も新卒の際に当社への入社を目指しておりましたが、
ご縁がなく他企業に入社いたしました。
しかし、他社にて経験を積んだことで、
より自分のやりたいことや、当社で実現したい事項が明確となり、
5年の歳月を経て中途採用という形で当社に入社しました。

当社では通年中途採用も積極的に行っております。
今回はこのような不本意な結果となってしまいましたが、
もしまた歳月を経て当社に興味をお持ちいただけましたら、
ぜひとも応募をお待ちしております。

ご応募いただいたことに深謝し、略儀ながらメールにて通知申し上げます。

なお、いただいた書類に関しましては、
履歴書に記載されておりますご住所に
郵送させていただきます。
(返却しない場合:なお、いただいた書類に関しましては、
弊社にて責任を持って破棄させていただきます。)

末筆ではございますが、○○様のさらなるご活躍、ご健勝をお祈り申し上げます。

株式会社●●●●
採用担当 △△ △△
住所
電話番号
メールアドレス

 

不採用メールを送る際の注意点

不採用メールを送る際は、不採用理由は記載しない、誤送信には十分注意するなどの注意事項があります。それぞれ解説していきます。

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不採用理由は記載しない

不採用理由は、記載しないようにしましょう。なぜなら、トラブルの原因になる可能性があるからです。

企業には、応募者に対し不採用の理由を通達する義務はありません。

「どうしても理由を教えてほしい」という候補者がいる場合には、言葉選びを慎重に、やんわりと伝えるようにしましょう。

例えば、「限られた採用枠に対し、多数のご応募をいただいたため」や、「相対評価として結果を出した」などが適切です

逆に、人間性を否定するような下記の内容は伝えないようにしましょう。

◆不採用理由として伝えてはいけないもの
・コミュニケーション能力が低い
・人として信頼できない、失礼である
・社会人としての基礎がなっていない など

誤送信には十分注意する

誤送信にも気をつけましょう。

理由は2つあります。1つ目は、個人情報を守る観点からです。名前や採用結果は、個人情報にあたります。そのため、それが違う相手に届いてしまうと、個人情報流出になります。個人情報の流出は企業の信頼性を損ないかねません。

2つ目は、候補者のためです。前述したように、多くの候補者は複数の企業に応募しています。仮に自社が第一志望である場合、選考結果を待ってから他の企業の内定承諾をするかしないか決める場合があるのです。他者への誤送信により、いつまで経っても第一志望である自社の合否通知が来ないと、他の企業の内定の機会まで失う可能性があるのです。

以上の理由から、誤送信には十分注意しましょう。送付前にアドレスと名前を再度チェックする、ダブルチェックを行うなどの工夫が必要です

企業のイメージを損なわない内容にする

相手に失礼のない内容か、企業のイメージを損なわない内容かなどのチェックも行いましょう。

こちらの理由も2つあります。1つ目は、企業の信頼やイメージを損なわないようにするためです。先述したように、近年は企業のクチコミを調べる候補者は多いです。逆に言えば、クチコミを書き込む人々も増えていることを意味します。悪い出来事は、すぐにSNSや掲示板に書きこまれ、瞬く間に拡散されてしまいます。そのため、不採用メールに記載する内容については社内で検討を重ね、十分に精査しましょう

2つ目は、タレントプールの観点からです。タレントプールとは、一度不採用とした候補者とつながりを持ち続け、自社に人材情報を蓄積させる考え方です。

一度は不採用にしたものの、年月が経ち候補者のスキルもアップし、自社のポストにも空きが出た場合などに、再度声をかけるチャンスが生まれます。そのためには、良好な関係性を築いていく必要があるのです。その第一歩となるのが、不採用通知時の印象です。その際の印象が悪ければ、今後その企業とつながりを持ちたいとは思いません。しかし、内容が自分を思いやったり評価したりするものであれば、つながりを保ち、再びチャンスが巡ってくれば応募したいと思う可能性があるのです。

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まとめ

今回は、不採用メールについて、送る目的や注意事項、メール文面などを紹介しました。

不採用メールは、企業の信頼性向上はもちろんのこと、候補者の求職活動のためにも送るべきものです。

わかりやすい件名や丁寧な挨拶、選考結果を明確に伝えるなどのポイントをおさえて送りましょう。

ただし、採用理由は基本的には伝えない、誤送信に注意する、企業のイメージを損なう内容は送らないようにするなどの注意も必要です。

ぜひ貴社も、今回紹介したメール文面を使い、候補者に「受けて良かった」「もし空きが出れば受けたい」と思われる企業を目指してくださいね。

投稿者プロフィール

大久保 さやか
大久保 さやか
SIerにて中途エンジニア採用を経験。また、リファラル採用支援サービスを提供する企業での従事経験もあり、リファラル採用領域の知見を持つ。