あなたの会社は大丈夫?ダイレクトリクルーティングがうまくいかない会社における失敗例あるある4選

サムネ

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今回は普段と視点を変え、4つの「ダイレクトリクルーティングがうまくいかない会社におけるあるある」を取り上げていきます。

紹介する4つのあるあるに一つも当てはまらない会社であれば、ダイレクトリクルーティングに限らず、採用全般うまくいっているはずです。

また、それぞれ解決策も併せて紹介していますので、自社があるあるに当てはまっていると思う場合は参考にしてみてください。

あるある①(小~中規模の企業において、)一次面接官となった社員が、最終面接官である役員の顔色を気にして、本来通過させるべき人を不合格としてしまう

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解説

小~中規模の企業において、採用面接が2回で、一次面接を現場社員が担当し、最終面接を役員が担当するという体制はよくあると思います。ですが、この選考体制が採用の障害になっているケースがあります。

一次面接を行う現場社員には、忙しい役員の時間を無駄にしないため、しっかりとフィルターとしての役割を果たそうという心理が働く場合があります。

特に、一次面接を行う現場社員と最終面接を行う役員が被評価者と評価者の関係であると、なぜ通過にしたのか問われる可能性を回避しようとします

現場社員と役員の評価基準が完全に一致していれば問題ないですが、そんなことはほとんど有り得ませんし、昨今の採用競争が強まっている中では、「(採用すべきか)悩ましい人材」を面接する機会は増えているはずです。

その状況下で、この選考フローによって機会損出をしてしまっている会社は沢山あるでしょう。

解決方法

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一次面接と最終面接の面接官を入れ替えるのが良いでしょう。役員が一次面接で通過させた候補者であるため、最終面接をする現場社員は、その人と働きたいか、スキルや経験がフィットしているのか等をチェックすることに集中できます。面接する候補者が入社した後の面倒を見るのは役員ではなく現場社員であることがほとんどなので、現場社員が教育責任まで考えて採用可否を決められるのです。

また副次的な効果として、役員の採用マーケットへの理解が深まり、今まで人事だけでは変えられなかった採用体制や方針に変革が起こることがあります。役員陣に昨今の採用状況の難しさが伝われば、採用予算が増えることもあるでしょうし、積極的に面談や面接に臨んでくれるかもしれません。

一方で懸念点は、一次面接から全て役員が対応することを考えると、役員の拘束時間が増えてしまうことです。しかし前述した通り役員と現場社員の選考基準が一致していることはほとんどあり得ませんので、通過率が大きく変わることは少なく、実はトータルの拘束時間はあまり変わらないのではないでしょうか。本来採用すべき人を現場社員が一次面接の段階でお見送りにしてしまうことで採用が長引くよりは、一次面接から役員が対応するといったやり方の方が効率はいいでしょう。

 あるある② 求める人材の要件定義を現場に任せすぎ、転職市場と乖離した高い人材要件になってしまう

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解説

採用できていない会社によくあるのが、転職市場の現状と乖離した人材要件で募集をしてしまっていることです。難しい要件であることを認識した上で採用の長期化、採用コストの増大化を見越しているケースは問題ないですが、認識していないケースは大きな問題です。

高すぎる人材要件になってしまう原因は大きく2つあります。

1つ目は、社内の力関係として現場より人事が弱い場合です。

現場のメンバーは転職市場がどうなっているのかどうかは把握していません。事業を加速させるためにできるだけ優秀な人を採用したくなるのは当然です。そのため、必要に応じて転職市場を理解している人事側から説明をして、適切な要件緩和を行います。

ここで現場が人事の説明に聞く耳を持ってくれないと、高すぎる人材要件のまま採用を続けてしまいます。

困った人事は、人材要件は変えられないということを前提に、採用チャネルを増やしたり、訴求方法を細かく変えたりしますが、結果に結びつくことは稀で、時間がかかるでしょう。

2つ目は、現場の仕事内容や現場求める専門技術を人事側が理解していない場合です。特にエンジニアのような専門職を採用する場合、人事側が現場の求める人材要件と転職市場を正しく理解できずに現場から上がってきた要望をただ求人票に落とし込むだけになっていることがあります。

 解決方法

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1つ目の原因である、現場が強く聞く耳を持ってくれない問題に対しては、初めの打ち合わせで下記の2点を伝えることが重要です。

(1)採用の7割は人材の要件定義で決まる
(2)転職活動をしている人は全体は就業人口の12%しかない

(1)に関して

採用とは、「(候補者が)この会社に入社すれば今よりもメリット(転職する価値)がある」という状態を作ってあげることです。言い換えると、採用とは、自社が提供できるメリットと、それをメリットとして感じてもらえる人は誰なのかを見つける業務です。

ただ、自社が提供できるメリットというのは、その都度変えられるものではありません。もちろん、給与レンジやポジション毎の仕事内容などは変えられる部分も一部ありますが、所属する市場環境や事業内容やサービス内容、組織体制やメンバーなどは変えられません。情報量が限定される求人票やスカウト文面などにおいては訴求内容を微調整することに意味がありますが、複数回の面接を経て内定承諾というプロセスを経ることを考えると、打ち出し方が採用可否に与える影響は限られます。

一方で採用する人材要件を変えることは大きな効果を見込めます。「自社サービスに携われる」というメリットは現在Webサービスの企業で働いている人には響きませんが、現在受託案件が中心で、自社サービスに携わってみたいと思っている人はメリットに感じるでしょう。また、より技術を深めたいエンジニアに「上流に携われる」とアピールしても響きませんが、開発よりもプロジェクトマネジメントにキャリアを移していきたい人にとっては魅力的です。

上記の例を見てもわかるように、既に同じ分野のスペシャリストを引き抜くというのは、転職する価値を提供するのが難しいのです。入社後活躍してもらうために絶対に譲れない要件を変えてはいけませんが、必須としているスキルは入社後一定期間で身に着けられるものではないか、活躍にその条件が必須なのかは精査が必要です。

自社が提供できるメリットをメリットとして捉えてくれるターゲット層を見極めた上で、絶対に譲れない条件のみを人材要件に設定すれば採用の7割は決まったようなものと考えても良いでしょう。

(2)に関して

日本の就業人口は6,000〜7,000万人存在すると言われていますが、転職活動をしているのは全体の12%に過ぎません。現場の人間からすると、同じような経験やスキルを持った人で構成される組織の中にいるので、同等のスキルや経験を持つ人間を採用できるだろうと錯覚してしまいます。12%ということを伝えれば、要件を緩和しないと採用できないかもしれないと考え直してくれるかもしれません。

2つ目の原因である、専門職など人事側が専門用語を理解できない問題については、人事側が勉強することで解決できますが、勉強のゴール設定が大切です。

適切なゴールは、「現場が求める人材に課すミッションと、そのミッションをクリアするためには最低限どのような経験・スキルが必要なのかを考えられるようになる」ことです。エンジニア採用であれば、システム全体の構成やシステム開発工程などの理解も必要になってくるでしょう。

なお、ITエンジニア採用に必要な知識については、採用担当者に必要な内容に絞って解説したこちらの資料を参考にして頂ければと思います。

 あるある③ ダイレクトリクルーティング経由の候補者に対して、人材紹介経由の候補者と同じアプローチをしてしまう

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 解説

人材紹介エージェント経由と、ダイレクトリクルーティング経由でアプローチする候補者の属性を理解せずに採用活動を行うと、大きな落とし穴があります。

この2つの採用チャネル毎の候補者属性の違いは、転職意欲の高さです。エージェント経由でアプローチする候補者は「転職顕在層」であり、今の環境に不満があり次の職場を探している人です。一方、ダイレクトリクルーティング経由の候補者は転職潜在層であり、現状には満足しているものの今より良い環境があれば転職をしようと考えている人たちなのです。

故に、エージェント経由での転職顕在層の場合は、転職するメリットが大して無くても、併願している内定企業との比較にさえ勝てれば、内定承諾してもらえます。

一方で、ダイレクトリクルーティングの場合は、転職潜在層であるため、明確な転職メリットを提供できなければ振り向いてくれません

中途採用の多くでは、採用したいポジションですぐに活躍できる即戦力を求めています。しかし候補者からすると、今までと似た仕事をすることになるため、会社の格が上がる、年収が明確に上がるなどのメリットがなければ簡単には動きません。

同職種・同業種の経験者に提供できるメリットを考えずに転職潜在層にアプローチしている会社はたくさんあります。意識していなくても結果的に候補者側がメリットを見つけてくれて、採用になるケースがありますが、継続的に採用につなげることは難しいでしょう。

解決方法

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「自社のどんなメリットを提供できるのか」「そのメリットはアプローチする候補者が転職するに本当に値にするのか」の2つを整理しましょう。

採用支援に関わる中で、後者が弱い会社が非常に多いです。特に、人事担当の転職回数が多い場合だと、メリットが弱くても転職してくれるだろうと考えてしまいがちです。

新卒で大企業に入社した人を動かすには、どんなメリットを提供すべきなのかというレベル感で考えておけば、採用もうまくいくはずです。

あるある④  会社ホームページや採用ページが古すぎる・更新されていない会社

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解説

マスメディア時代におけるユーザーの購買決定プロセスを説明するための有名なフレームワークとして

「AIDMA(アイドマ)-Attention(認知)・Interest(関心)・Desire(欲求)・Memory(記憶)・Action(行動)」というものがありますが、現在のインターネット社会になってからは「AISAS(アイサス)-Attention(認知)・Interest(関心)・Search(検索)・Action(行動)・Share(共有)」というものが主流となっています。大きく変化した点としては、“Search”と“Share”という2つのSが加わったことです。つまり、物を買うプロセスに、インターネットで“Search”してから購入し、購入してから”Share”するというアクションが追加されたのです。

このAISASプロセスは採用活動にも当てはまります。求人広告や人材紹介、そしてダイレクトリクルーティングでスカウトを送ることは、求職者への認知・関心を促す施策です。その後候補者は会社に応募するかを判断するために、“Search”を行うのです。その際に会社のホームページや採用ページが古すぎる、もしくは随分更新されていない状況では、そこで候補者は離脱してしまいます。

大企業やメガベンチャーなどすでに広報機能が整っている企業は心配ないですが、中小企業やベンチャー企業で「採用ページをいつ更新したか覚えていない」といった場合は改めてコストと時間を投資するべきでしょう。

 解決方法

最低でも3か月に1度は採用ページを更新しましょう。ホームページの更新頻度を上げるのが難しい場合は、Wantedlyのリンクを貼るのもよいでしょう。

採用ページを作成する場合は、頻繁に更新することができる人員体制を整えてから公開するか、採用管理ツールと同期される形のページにして、常にアップデートされているような仕組みにすることをお勧めします。

体制や仕組みが整えられない場合は、Wantedlyを活用するのもおすすめです。Wantedlyにはブログのようなコンテンツ作成の機能があり、簡易的な採用ページとして活用することができます。

ダイレクトリクルーティング運用に困ったら

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弊社、株式会社VOLLECTはダイレクトリクルーティングに特化した採用支援「PRO SCOUT」を行っています。
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投稿者プロフィール

中島 大志
中島 大志株式会社VOLLECT CEO
「ダイレクトリクルーティングの教科書」著者。日経トレンディや東洋経済への寄稿も果たす。新卒でパーソルキャリア株式会社にてクライアントに対して採用コンサルティングに従事。その後、外資系コンサル企業の採用支援をする中でダイレクトリクルーティングの魅力に気づき株式会社VOLLECTを創業。スカウト採用支援実績は500社超。