【企業側】カジュアル面談のコツ・進め方を紹介!スカウト経由で志望動機は聞いてはダメ?

※この記事は4分半で読めます。
採用の入り口としてカジュアル面談を取り入れている企業も多いのではないでしょうか。
カジュアル面談は、採用担当者が求職者に対して話しやすい環境を作り、求職者が安心して望める場を提供することが大切です。しかし、採用担当者が「ラフに質問しても大丈夫」と伝えても求職者の緊張は解けません。
求職者は採用担当者が思っている以上に、どこまでカジュアルに話していいのか分かっていないのです。採用担当者は雰囲気作りから気を配る必要があります。
本記事では、採用担当者がカジュアル面談を行う上で、上手に進めるコツをご紹介します。
目次
カジュアル面談とは?面接との違いは何?
カジュアル面談とは、候補者が企業の求人に正式に応募する前に、企業の採用担当や現場部門とお互いの情報交換をする場のことです。
面接との大きな違いは、候補者はまだその企業・求人への応募意思がないということです。すなわち、企業が候補者を評価する場ではありません。
ダイレクトリクルーティングで企業から候補者にスカウトを送った場合は特に企業側から候補者への情報提供、口説く場としての意味合いが強くなります。
また、そもそもカジュアル面談が選考プロセスで活用されるようになったのは、転職市場が候補者有利で、採用が難しい状況だからです。
企業有利な状況であれば、多数の応募者の中から厳しく書類選考を行い、通過した人とのみ面接を行うといったやり方でも採用できます。しかし、現在は応募が集まりにくい状況のため、なるべく多くの候補者と接点を持つためにカジュアル面談等のプロセスを設けている企業が増えているようです。
ファーストコンタクトは、通常面接とカジュアル面談、どちらを選ぶべき?
スカウトを送る際、基本的にはカジュアル面談を案内するケースが一般的ですが、時には通常面接を案内して上手くいくケースもあります。
そのケースというのは、下記2点の場合です。
- 現場側がカジュアル面談というものを理解しきれない
- 転職顕在層寄りの候補者をアプローチする場合
一つ目に関しては、採用に関わってきておらず、カジュアル面談という候補者意向の醸成をメインに面談することに何度もチャレンジするものの、うまくいかず空回りしてしまう現場担当者がいる場合と指しています。
今まで通常面接しかやってこなかった方で、上記のような状況の時には、いっそのこと通常面接にしてしまっても良いでしょう。
しかしながら、良い求人があれば転職を考えても良いかもという転職潜在層をアプローチする場合にはさすがにやめておいた方が賢明ですので、
すぐに転職を考えている候補者に対してアプローチする時に限定した方が良いかと思います。
dodaRecruitersなどのような転職顕在層寄りのメディアであれば、スカウトする段階で即通常面接を案内するのもやり方の一つだと思います。ただし、返信率に関してはやや下がる可能性もありますので、基本的にはカジュアル面談を案内するのがオススメであることは変わりありません。
カジュアル面談のメリット・デメリット
企業の人事の方から見たカジュアル面談のメリット・デメリットについてご説明します。
メリット
多数の候補者、優秀な候補者と会うことができる
カジュアル面談は候補者にとって職務経歴書等を用意する必要がなく、気軽に臨めるため、通常の面接よりも候補者と話せる確率が上がります。また今すぐには転職するつもりがないが情報収集をしている、といった人ともコンタクトを取ることができます。
候補者側の手間が少ないので、書類選考など通常の選考ルートでは応募してくれないような優秀な人材との接点を持てる施策と言えるでしょう。
自社に来てほしい候補者を直接口説くことができる
カジュアル面談の最大のメリットは、企業側からアプローチした候補者に対して、自社の魅力を言葉で伝えられることです。採用サイトや人材エージェント経由の募集要項では仕事の内容や待遇しか伝えられませんが、カジュアル面談では社風やビジョンなどより深い部分まで理解してもらうことができます。
また、候補者の職務経験やキャリアビジョンについても詳しく聞くことで、自社で募集している中でよりフィットするポジションを案内できる場合もあるでしょう。
正式選考がスムーズに進む
役員や、現場のリーダークラスがカジュアル面談に対応する場合もあります。裁量権のある人が「この人は採用したい」と判断した場合は、その後の正式選考を短縮して早く内定を出すことで、内定承諾率を上げることも可能でしょう。
デメリット
面談前の情報が少ないため、ミスマッチで時間の無駄になってしまうケースも
一般的には、カジュアル面談の段階では職務経歴書は提出してもらわないことが多いです。ダイレクトリクルーティングサービスの登録情報から「会って話をしたい」と判断しますが、実際に話してみると志向や経験がミスマッチの場合はどうしてもあります。
ある程度登録内容やレジュメが詳細な方に絞って面談を行えばミスマッチは防げますが、多数の方へのアプローチは難しくなります。どの程度確実さを求めるのかは、会社の状況に応じて判断しましょう。
採用担当者の念入りな準備が必要となる
カジュアル面談は一般的な面接の前に取り入れるため、時間や準備などのコストが増えてしまいます。ですが、カジュアル面談を行うことによって、求職者がより企業の理解度を深めたり、志望度を高めたりすることができます。
ミスマッチが起こることはどの企業においても採用課題の1つです。ミスマッチによって退職することは、求職者、企業にとっても大きな損失になります。
しかし、採用担当者が考えるべきは求職者ファーストです。カジュアル面談はコストが増えますが、採用活動においてミスマッチを防ぐためにも、必要不可欠なコストと考えられるでしょう。
カジュアル面談の進め方マニュアル
誰がカジュアル面談に対応するかを決める
カジュアル面談は候補者を口説くための場です。そのため、仕事内容や技術に詳しい現場サイドの担当者、責任者に対応してもらった方が良いでしょう。(もちろん、会社の情報を全体的に知りたいといったニーズであれば、採用担当の方が対応しても構いません。)
しかし、新卒一括採用や終身雇用が主流の会社では、中途採用やカジュアル面談への理解がない場合もあります。正式応募する前の面談は頼みづらい場合もあるでしょう。
この場合も、エージェントからの推薦数の推移やエージェントとダイレクトリクルーティングのコストの比較、面談担当者ごとの正式応募率等を管理して周知することで、カジュアル面談の重要性を浸透させることが重要です。
どのように実施するかを決める
ZoomなどのWeb会議ツールで行われることが多いです。一方で電話での面談も、場所と時間を気にせずに設定できるというメリットがあります。
返信からの正式応募率を計算し、最も応募率が高い方法を選択すれば良いでしょう。
カジュアル面談当日の進め方
候補者に応募してもらうまでに必要なプロセスは、営業で商品を購入してもらうために必要なプロセスと似ています。
セールスのプロセスは、(1)自己紹介(2)顧客の課題をヒアリング、(3)課題に合わせた商品説明、(4)検討期間を含めた今後のスケジュールの確認、となっていますよね。
カジュアル面談のプロセスもこれに似ており、(1)会社紹介(2)候補者のキャリアに関する現状や希望をヒアリング、(3)現状や理想に合わせて、自社もしくは募集ポジションで提供(改善)できることを説明、(4)応募検討のスケジュールの確認といった流れになります。
(1)会社紹介
エージェント推薦や広告とは異なり、スカウトをした候補者なので、どこまで自社のことを知ってくれているかはわかりません。10分程度で、主な事業やメンバー構成などの基礎的な情報を説明しましょう。
ただし、この会社紹介の時間は後述する「採用ピッチ資料」を事前に送付しておくことで短縮することが可能です。一方的な説明ではなく会話に時間を割けるよう、準備しておくことをおすすめします。
(2)候補者のキャリアに関する現状や理想をヒアリング
候補者自身、キャリアに関する希望が明確になっていない場合もあります。特にスカウト経由だとすぐには転職考えていないという方も多いので、「なぜ転職を考え始めたのか」といった質問は適していません。
しかし、カジュアル面談に応じてくれた時点で「いいところがあれば時期を見て転職したい」という気持ちは持っているはずです。情報交換だけしたいという言葉を鵜呑みにせず、「今回なぜスカウトに返信し、面談に参加してもらえたのか?」という質問を切り口に、候補者の現状と理想を探っていくのが良いでしょう。
(3)現状や理想に合わせて、自社もしくは募集ポジションで提供(改善)できることを説明
最初は難しいですが、何回も面談対応をすることで候補者の理想はパターン化できると思います。
大きく分けると、「会社のビジョン・カルチャー」「仕事内容」「一緒に働く人」「働き方・福利厚生」の4つです。
この4つのパターン別に、自社の魅力として打ち出せる点を整理しておきましょう。面談慣れしている会社の人事であれば、併願されることが多い競合企業を認識し、競合と自社の差別化ポイントを認識した上で面談に臨むことも珍しくありません。
(4)応募検討のスケジュールの確認
スケジュールを確認する際は、今すぐ応募した方が良い理由を用意して伝えるべきです。どうしてもしばらく検討したいという候補者に対しては、「いつ頃までには転職をしたいのか?」と確認し、スケジュールを握っておくのが良いでしょう。
カジュアル面談の効果を高めるコツ
採用ピッチ資料を作成する
候補者に自社の魅力を余すところなく説明するための資料が「採用ピッチ資料」です。企業のビジョンや仕事内容などHPに掲載している内容はもちろん、メンバーへのアンケートなどHPでは知ることのできない内容なども盛り込むと良いでしょう。
どのように作ればいいかわからないという方は、すでに採用ピッチ資料を公開している企業が多くありますので、参考にしましょう。SmartHR社やミラティブ社の資料はHR業界ではとても有名です。
志望動機を聞かない
候補者(求職者)がスカウトサービスに登録する際は、「転職はすぐには考えていないけど、良い案件があれば転職を考えたい」という考えのことが多いです。
つまりスカウトメールが来て、話を聞かせて貰えるのであれば、と面談に参加します。そのような候補者に志望動機を訪ねると、「スカウトされたのに何故志望理由を聞かれるの?」と不信感を抱かれてしまいます。
極端に言えば、ナンパされてついて行ったら、「俺のどこか好き?」と聞かれるようなものです。会社(仕事)に求めるもの等は聞いた方が良いですが、個別の志望動機は絶対に聞かないようにしましょう。
ただし、志望理由と転職理由は全くの別物です。カジュアル面談で志望理由を聞くのはタブーですが、転職理由を聞くのは問題ありません。どのようなことがきっかけで転職を考えるようになったのか、その点はしっかりとヒアリングすることをオススメします。今すぐに転職を考えていない候補者に対しては、「今回面談にお時間頂いたのには、何かキャリアに対して不安に思われていることはありますか?」といった内容で浅めに聞いてみても良いかもしれません。
正式に求人応募してもらうこと
企業側のカジュアル面談のゴールとは「候補者から正式に応募してもらうこと」です。
カジュアル面談で候補者の見極めをすることは間違ってはいません。しかし、候補者から正式に応募してもらえないと意味がありませんし、応募後には好きなだけ候補者を見極める機会があるので、カジュアル面談時では必要がありません。
またカジュアル面談は、候補者との一番最初のタッチポイントです。ここでの印象=会社の印象の全てとなります。このカジュアル面談を担当するのは、「インパクター」となる人が相応しいとされています。
「インパクターとは、インパクト(=気づき)を与え、自社を印象づける役割です。インパクトとは、候補者がまだ知らない、自社に関する新たな視点を与え、「この人と一緒に働きたい」と思わせるような強い動機づけを行うこと。そのため、インパクターは社内で最も活躍している人や優秀な人に担ってもらうと効果的で、現場のトッププレーヤーやトップエンジニア、部長・役員クラスが適任です。
引用元:https://bizreach.biz/media/8562/
また、出来るだけ「その場」で正式応募してもらうことを心掛けるべきです。「前向きに検討します」という言葉を真に受けて終了するのではなく、次のフローの調整をしてしまうのです。
「すぐには転職を考えていない」と言いつつ、カジュアル面談に応じてくれるということは転職への意識は少なからずある方が多いでしょう。もし転職時期がしばらく先なことが決まっていても、選考して内定を出してから調整することも可能です。
面談実施後1〜2ヶ月後に正式応募する方は少ないので、「その場」で正式に応募してもらうことが重要です。
もちろんその場で応募を取り付けられなかったときは、長期的な関係作りへとシフトし、一定期間をおいてこまめに接触を図るようにしましょう。
より詳しいカジュアル面談の進め方は、無料のお役立ち資料「面接官にも共有できる!カジュアル面談攻略マニュアル」に掲載しております。是非ダウンロードしてください。
求職者の意見や質問を引き出す
採用担当者が思う以上に求職者はカジュアル面談でも緊張しています。採用担当者から意見や質問を引き出すことや、質問しやすい雰囲気作りをすることが重要です。
カジュアル面談は求職者もどこまで聞いていいのか不安になるため、質問されやすい内容を例として挙げると求職者の不安を取り除ける可能性があります。
また、面談官が自己紹介等でぶっちゃけた内容を伝えることで、「何でも聞いて大丈夫なんだ」と心理的に楽に思わせることができます。そうすることで、企業としての印象も良くなり、志望度が高くなるのです。
求職者にカジュアル面談での質問内容をあらかじめ教えておく
カジュアル面談は本選考ではありません。しかし、求職者の方は本選考に関わるのではないかと思う方も多いです。
また、求職者には選考に関わらないことを伝えることで、スムーズに話すことが可能です。面接担当者は当日の雰囲気だけでなく、当日になるまでの雰囲気作りを意識しましょう。
自社の強みと弱みを明確にし、今後のビジョンを伝える
求職者は自分の将来を考えた上で就職・転職活動を行います。求職者が求めている知識やスキルが企業にはあるのか、求職者に対して自社の強みと弱みを伝えることでどのように成長できるかイメージをしてもらうことが大切です。企業として何を目指しているのか明確に伝えることで、企業と求職者の間にギャップがない状態で本選考へと進めます。
企業と求職者の間にギャップを作らないためにも、自社の強みや弱み、今後のビジョンを伝えましょう。
最後に
主にスカウト経由を想定して、カジュアル面談を成功させるために必要な内容を紹介してきました。人事向けの方の記事ですが、面接官となる方にも是非シェアしてみてくださいね。
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投稿者プロフィール

- PRO SCOUT事業責任者
- 株式会社マイナビにて、人材紹介やスカウトサービスのプロダクト責任者を経験。現在は株式会社VOLLECTで、ダイレクトリクルーティング支援サービス「PRO SCOUT」の事業責任者を担う。