【セミナーレポート】LinkedInでの採用、本当に効果ある?〜LinkedInビジネス統括直伝 本音トークセッション〜
2025年1月24日、「LinkedInでの採用、本当に効果ある?〜LinkedInビジネス統括直伝 本音トークセッション〜」セミナーが開催されました。
株式会社VOLLECTの代表取締役である中島と、LinkedIn Japanのパートナービジネス統括を務める石坂氏が登壇し、LinkedInの効果的な活用方法や日本における普及状況等の本音トークが繰り広げられました。
本記事では、セミナーの内容をダイジェストでお届けします。
目次
登壇者紹介
株式会社VOLLECT 代表取締役 中島大志
新卒で、現在のパーソルキャリア(旧インテリジェンス)に入社し、人材紹介事業に従事。
その後独立し、約8年前にダイレクトリクルーティングに出会う。
それまで人材紹介が最適な採用手法だと考えていたが、ダイレクトリクルーティングに可能性を感じ、2018年6月に 株式会社VOLLECT を創業。
2023年には 「ダイレクトリクルーティングの教科書」 を出版。
2024年4月時点で、累計700社以上の企業様のダイレクトリクルーティングをご支援。
LinkedIn Japan 石坂 誠氏
LinkedIn Japanにおいて、主に以下の2つの役割を担う。
①パートナービジネス統括:公式パートナーであるVOLLECTをはじめとする企業と連携し、新しいリクルーティングの形を構築・推進
②日本市場におけるLinkedInのエコシステム成長戦略の推進:LinkedInのメンバーシップ拡大、特に若年層の利用促進を目的とした「LinkedIn Student Club」などのプロジェクトを担当
キャリアとしては、日本の大学を卒業後、NECにて法人営業を経験し、その後米国のビジネススクールで組織行動学と人事を学ぶ。
2013年からはMicrosoft本社にて、140カ国に展開するMicrosoft Azureの事業拡大に携わり、クラウド事業の成長を支援。
当時からLinkedInを活用し、その有用性を実感していたが、日本市場においては活用が進んでいない現状を目の当たりにし、LinkedInに転職。
現在、日本市場におけるLinkedInの普及・活用促進をミッションとして活動。
LinkedIn全体概要のご紹介
皆さんはLinkedInについてどれくらいご存知でしょうか?
LinkedInは年間約2.5兆円の売上を誇る企業で、グローバルでは約18,500人、日本には約100人の社員がいます。
2016年にはMicrosoftグループに加わり、それ以降、売上も順調に伸びています。
Microsoftにジョインしたとはいえ、LinkedInのチームは比較的独立性を保っています。
その一方で、Microsoftの強みである高いセキュリティ基準をクリアしており、GDPRなどの国際的な規制にも準拠しています。
また、MicrosoftはOpenAIと強いアライアンスを持っているため、最新の生成AI技術もLinkedInのツールに取り入れられています。
現在、LinkedInの登録者数は11億人を超えています。
日本では約400万人のユーザーが利用しており、これまでにないスピードで成長していますが、他国と比べるとまだまだ伸びしろがあります。
LinkedInが持つデータも非常に豊富です。
- 企業データ
- 求職者数データ(6700万人)
- スキルデータ(4.1万種類以上のスキルをタグ付け可能)
- 教育機関データ
これらのデータは「エコノミックグラフ」と呼ばれ、企業の採用活動や人材戦略に活用されています。
実際、5秒に1人がLinkedIn経由で採用されているというデータもあります。
業界別に見ると、コンサルティング、製造、IT&メディア、金融サービスでの利用が多いです。
また、ユーザーの5割以上が意思決定者である点もLinkedInの大きな特徴です。
LinkedInを活用するメリットはいくつかありますが、大きく分けると以下の3つです。
- 企業ブランディング
- 営業・マーケティング
- 人材戦略・採用・育成
LinkedInにて企業の公式アカウントを作成し、リーダーや社員がアカウントを紐づけて発信することで、企業の存在感を高めることができます。
海外では「LinkedInにアカウントがない=ビジネス界に住民票がない」と言われるほど、重要性が高まっています。
ハーバード・ビジネス・レビューでも、社員の人脈がビジネスのパフォーマンスに影響を与えることが証明されています。
また、実名・顔出しが原則のSNSなので、炎上しづらいというのもLinkedInの特徴のひとつです。
日経新聞の調査でも、LinkedInは全般的な満足度が高いSNSとして評価されています。
LinkedInは、社外だけでなくインナーコミュニケーションでも効果を発揮します。
例えば、日産のCEOがLinkedInで情報発信したことで、社内の人が「こんな活動をしているんだ」と誇りを持つようになった、という事例もあります。
LinkedInは採用活動にも非常に有効です。
特にタレントインサイトを活用すれば、競合他社の採用動向や人材トレンドを分析しながら、戦略的な採用活動を行うことができます。
さらに、LinkedInは入社後の育成にも活用できます。
- LinkedIn Learning(24,000以上のオンラインコースを提供)
- 社内異動の促進(AIがキャリアパスをレコメンド)
- アルムナイ(退職者)との関係構築
アルムナイネットワークは、欧米ではすでに一般的になっています。
実際、フォーチュン500企業の98%が、何らかのアルムナイプログラムを導入しています。
例えば、LinkedIn上にアルムナイ専用グループを作り、退職後も緩くつながりを持つことで、将来的に「ブーメラン採用」(再入社)が増えます。
このブーメラン採用者は、他の転職者に比べて3年間の定着率が44%高いというデータもあります。
LinkedInは単なる転職・採用ツールではなく、企業のブランディング・営業・マーケティング・人材戦略を一貫して支えるプラットフォームです。
また、社内外の人材をつなぎ、人的資本経営を強化することができるマーケットプレイスでもあります。
今後もLinkedInの機能を活用し、皆さんの企業・キャリアの成長に貢献できればと思います。
パネルディスカッション
①世界と比べて、日本ではLinkedInがあまり流行っていない印象ですが、 なぜでしょうか?今後、LinkedInユーザーは増えていくのでしょうか?
確かに、日本におけるLinkedInの普及率は、G7の中でも比較的低い状況にあります。これは、以下の3つの理由によるものと考えられます。
①初期のUIが英語中心だった
LinkedInが日本市場に参入した当初、ユーザーインターフェース(UI)が英語ベースで設計されていました。
これにより、日本のビジネスパーソンの間で「使いづらい」という印象を持たれてしまったことが、普及の障壁になったと考えられます。
②「転職ツール」のイメージが定着した
日本では、LinkedInの登場時に「転職支援のツール」として認知されたため、企業内での利用が広がりにくかった背景があります。
特に、登録すると「転職を考えているのでは?」と誤解される文化があったため、慎重になる方が多かったようです。
当時は、今ほど転職市場が活発ではなかったため、この点がネックになりました。
③Facebookがビジネスネットワークの役割を担っていた
日本では、Facebookが「実名制のビジネスネットワーク」として広く利用されました。
特に、OBOG訪問やビジネスの人脈形成に活用されたため、LinkedInの役割が相対的に薄まった側面があります。
海外ではビジネス向けSNSとしてLinkedInが主流ですが、日本ではFacebookがそのポジションを先に確立してしまったのです。
LinkedInを使って採用できるイメージが持てません。 LinkedInで採用できる企業とそうでない企業の特徴を教えてください
LinkedInで採用できる企業は、採用スキルを蓄え自社の魅力を徹底的に理解した上で相手の価値観に合わせてお伝えすることができる企業や、採用ブランディングの価値を理解し、中長期的に取り組める企業です。
特に採用ブランディングのデータ分析まで行っている企業は、採用に強い傾向にあります。
LinkedInは転職潜在層が豊富なプラットフォームです。
そのため、すぐに結果を求めるのではなく、タレントプールを形成し、関係構築をしていくことが重要です。
ただ、以上を全て行うのは難しいため、最初はVOLLECTのようなRPOのサービスに伴走してもらうのがおすすめです。
「ターゲット人材を採用したい」「スカウト返信率が悪い」等にお悩みの方は
ソニーや博報堂など700社以上が導入した「PRO SCOUT」がおすすめです。
まずは資料をご覧ください。
LinkedInでスカウトを送った候補者と面談ができても、なかなか本選考に進んでくれる方に出会えません。何か選考に進んでもらえるような工夫があれば教えてください。
前提、面談後に本選考に進んでもらえなかったとしても、「タレントプールに入った」 と捉えるようにしましょう。
選考に進んでもらう工夫は、始めからポジションを確定させず、候補者との面談を踏まえて他のポジションを提案できる柔軟性を持つことです。
また、採用担当者だけではなく、事業部の責任者や現場のメンバーを巻き込めている企業が成功につながっている印象です。
リクルーターLiteを使った方がコスパが良い印象があるのですが、法人プランを導入するメリットを教えてください
採用予定が年間1〜2名程度で、単純にスカウトメッセージを送ることが目的であれば、リクルーターLiteでも対応可能です。
しかし、法人プランは、中長期的な採用戦略を実行する上で大きなメリットがあります。
法人プランは、繋がりに関係なくすべての候補者のプロフィールを閲覧できるため、より精度の高いターゲティングが可能になります。
また、法人プランでは企業の採用ブランディングを強化する機能も備わっており、カルチャーサイトやジョブスロット、広告機能を活用することで、候補者への訴求力を高めることができます。
結論として、年間1〜2名の採用であればリクルーターLiteで十分ですが、5名以上の採用を計画している場合は、法人プランを導入するのがおすすめです。
弊社は中小企業で採用コストをそこまでかけられず、 他のスカウト媒体と比較して、LinkedInの導入費用が高い印象で、 なかなか社内決裁を取ることができません。 中小企業の人事の方は、どう社内を説得されているのでしょうか? ディスカウントなどはあるのでしょうか?
多くの企業では、新卒・中途採用のために人材紹介エージェントへ多額の成功報酬を支払っていますよね。例えば年収500万円の人材を3名採用するだけで約450万円(30%の成功報酬として)のコストが発生します。この点を考慮すると、LinkedInの年間費用は、長期的な採用戦略として見れば決して高くない投資といえます。
また、LinkedInは「待ちの採用」が限界に近づいている現状において、「攻めの採用」を実現するための有力なツールです。単なる採用コストの比較だけでなく、企業の採用力を強化し、長期的に競争優位を築くための投資として捉えるとコストパフォーマンスは高まります。
社員がLinkedInのアカウントを作ることで、社員が他社からヘッドハンティングされてしまう可能性があると思います。避けられる方法はあるのでしょうか?
確かに、社員がLinkedInのアカウントを作成すると、他社からスカウトを受ける可能性はあります。
この懸念に対する解決策は、企業側が取り組むべきことは会社の魅力を向上させ、社員の定着率を高めることです。
仮にヘッドハンティングのオファーがあったとしても、社員が現在の会社に魅力を感じていれば、転職を考える可能性は低くなります。したがって、LinkedInを制限するのではなく、むしろ積極的に活用し、会社のブランド力を高め、社員が誇りを持って働ける環境を整えることが重要です。
また、社員が発信することで、企業文化や働く環境が外部に伝わり、「こんな面白い人がいるなら入ってみよう」と思う求職者が増える効果も期待できます。
LinkedInを「社員が抜けるリスク」と捉えるのではなく、企業の採用力やブランド力を高めるチャンスと考え、攻めのタレントマネジメントを行うことが重要です。
投稿者プロフィール
- 株式会社VOLLECTにて採用コンサルタントとして従事。大手広告代理店のDXコンサルタント職や、大手IT企業でのエンジニア採用など、多数の採用支援実績を持つ。