採用条件の見直しで採用成功率アップ|最新のトレンド徹底解説

採用

採用条件は、応募者の採否を決定する際の1つの基準です。自社が求める人材を採用するにあたって、適切な採用条件の設定は不可欠ですが、採用条件を設定したとしても「求める人材を採用できない」「採用ミスマッチが多い」と悩む人事ご担当者様は少なくないでしょう。

そこで今回は、採用支援事業に8年間従事してきた筆者が、採用条件が果たす役割や最新のトレンド、採用条件を決める際の注意点などを解説します

採用条件が果たす役割

採用条件とは、求める人材を採用するために、採用ターゲットに即して定めた採否基準や要件のことを指します

採用条件を定めることで、求職者は自身の能力や強みを活かせるポジションなのかを判断しやすくなります。また企業側も応募者の中から、求めるターゲット像により近い人材を絞り込めるようになるでしょう。

さらに、採用条件を設定することで採否を判断する基準が明確になります。その結果、効率的な採用活動が実現する、面接官ごとの判断のブレを低減できるなどの利点も得られます。

採用条件の主な項目

一口に採用条件といっても、重視する項目や求める要素・スキルによって用いる項目や定める基準は変動します。
ここでは、採用条件に用いられる主な項目を、以下3つのカテゴリーに分けて紹介します。

・人柄・仕事に対する価値観・ポテンシャル
・職歴・スキル
・コンピテンシー

人柄・仕事に対する価値観・ポテンシャル

・ビジョンや文化への理解:企業が掲げるビジョンやミッション、バリューに共感し、行動できるか
・成長意欲:自ら学び、成長しようとする意欲があるか
・問題解決能力:困難な状況でも冷静に対処し、解決策を導き出せるか
・コミュニケーション能力:既存社員やクライアントと円滑なコミュニケーションを取ることができるか
・柔軟性:環境の変化に柔軟に対応できるか
・誠実性:誠実な行動を心がけているか
・主体性:自ら考え、自発的に行動できるか
・多様性への理解:多様な価値観を尊重し、協働できるか
・ポテンシャル:入社後の伸びしろがあるか など

職歴・スキル

・専門知識:業務を遂行するにあたって必要な知識やスキルを有しているか
・業務経験:過去の経験が、入社後に担う職務に活かせるか
・実績:過去の仕事でどのような成果を出したか
・資格:業務を遂行するにあたって必要な資格を保有しているか
・語学力:業務を遂行するにあたって必要な語学力を有しているか
・パソコンスキル:業務を遂行するにあたって必要なパソコンスキルを有しているか
・業界経験:業界に関する知識や経験があるか など

コンピテンシー

・リーダーシップ:チームをまとめ、目標達成に導けるか
・課題解決能力:問題の本質を捉え、具体的な解決策を提案できるか
・企画力:新しい企画を立案し、実行できるか
・顧客志向:顧客のニーズを的確に捉え、満足度の高いサービスを提供できるか
・分析力:データを分析し、ビジネス現場において適切な判断を下せるか
・応用力:既存の知識や経験を応用し、新しい状況に対応・適応できるか
・適応力:環境の変化に柔軟に対応し、新しい環境でも成果を創出できるか など

本章で紹介した採用条件に用いられる項目はあくまで一例であり、企業や職種によって採用条件に組み込む項目や重視する度合いは異なります。採用条件を設定する際には、採用ターゲットやペルソナを明確にした上で適切な項目を用い、過不足のない基準を策定することが大切です。

採用条件を明確にするメリット

採用条件を明確にするメリットは、次の通りです。

求める人材からの応募割合が増加

採用条件を明確にすることで、自社が求めている人材を明文化でき対外的に示せるようになります。その結果、採用ターゲットに近い人材に求人情報が届きやすくなるでしょう。

応募者にとっても、自身のスキルや経験が合致するかを判断しやすくなり、応募の段階でミスマッチを招く可能性の有無を見極められるようになります。その結果、条件に見合う人材の応募に限定され、ミスマッチを招く懸念のある人材からの応募は自然と減少するでしょう。

合否基準が明確化される

採用条件を明確にすることで、面接官の能力や感性に影響されることなく客観的な基準で応募者を正当に評価できるようになります。

例えば、「求めるスキルや経験」「どのような人柄の人材を採用したいのか」「求める素養」などを具体的に定めることで、合否基準が明確化するため、面接官同士の評価のばらつきを低減できます。

応募者に対しても、なぜ合否が決まったのかを具体的に説明できるようになるため、より透明性の高い採用活動が実現します。

採用活動の効率化につながる

採用活動を効率化できる点も、採用条件を明確にすることで得られるメリットの1つです。

採用条件を明確にすると、応募者の採否を判断する基準や要項も定まるため、採否の判断に要する時間が短縮されるでしょう。
また、採用条件に則って採否を判断すれば、ミスマッチを発生させる恐れのある応募者を次のステップに進ませてしまうリスクも低減できます。採用したい人材だけを残すことができるため、無駄な選考の数も減るでしょう。

このように、採用条件を明確にすると、採否の判断に要する時間を短縮できたり、採否判断の精度が高まったりするため、自ずと採用活動の効率も高まる可能性が期待できます。

近年の採用条件のトレンド

人材採用は、時代や採用市場の変化に合わせて最新のトレンドを柔軟に取り入れていく姿勢も不可欠です。

本章では、最新のトレンドとして挙げられる採用条件の項目や傾向を紹介します。

デジタルスキルを重視

インターネットの普及に伴い、デジタルスキルは業界や職種問わず業務を推進するにあたって不可欠なスキルになりつつあります。また、近年デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が加速していることもあり、企業の採用活動においてもデジタルスキルを重視する傾向がみられるようになりました。

なお、採用条件におけるデジタルスキルとは、単にパソコン操作に関する能力だけでなく、多様なデジタルツールを使いこなす知見や、デジタル技術をビジネスに活用するスキルも包含されることを理解しておきましょう。

デジタルスキルに該当する具体的な採用条件の項目例は次の通りです。

・PCスキル:WordやExcel、PowerPointなどのOfficeソフトを使いこなせる能力
・インターネットスキル:必要な情報をインターネットを活用して検索する能力やメールなどのオンラインツールを使いこなすスキル
・プログラミングスキル:プログラミング言語に関する知見やスキル
・データ分析スキル:データを分析し、ビジネスにおける意思決定に活用できる能力
・新しいデジタル技術を習得する意欲:AIやIoT、ブロックチェーンなど、新しいデジタル技術に対して興味を持ち、自ら学びビジネスに活かす力
・デジタルツールを活用する能力:業務効率化などのために、デジタルツールを積極的かつ有効に活用する能力 など

多様性を認める動きの広まり

従来の採用活動では、既存社員と類似した傾向・人間性を持つ人材を採用することが一般的でした。しかし近年、市場における企業の競争力を高めることを目的に、多様な人材の採用に取り組む企業が増加しつつあります。

企業に所属する人材が多様化すると、新しいアイデアが生まれやすくなったり、人材の最適配置が可能になったりします。その結果、時代の変化にも耐えられる持続可能な強固な組織が形成されることから、人材採用の際に用いる採用条件にも多様性を重視した項目が盛り込まれるようになりました。

多様性を重視する企業が採用条件に盛り込む具体的な項目例は、次の通りです。

・さまざまな国籍やバックグラウンドを持つ人材が集まるチームをマネジメントした経験
・異業界・異業界の職歴の有無 など

ただし、多様性を求める場合、形だけの多様性にならないようにしましょう。多様性を活かすための仕組作りや環境整備も必要であることを理解しておきましょう。

未経験者の積極採用

採用競争が激化する中途採用市場では、未経験者を積極的に採用する企業も増えてきました。

業界や業種未経験でも高いポータブルスキルを有していれば、即戦力として活躍する可能性が期待できます。また未経験採用を実施することで、人手不足解消の一助となる場合もあるでしょう。

ただし、未経験者の場合はポテンシャルなど、スキルや経験のように定量的に評価しにくい側面があります。未経験者採用における採用条件を定める際は、定性的な採用条件項目を明文化し、面接官同士で評価がブレないようにしておきましょう

採用条件を決める際の注意点

本章では、採用条件を決める際の注意点について、解説します。

現場の意見を取り入れる

採用条件は、採用活動に直接関わるメンバーだけに限らず、新たに採用した社員と一緒に働くことになる現場社員の意見も反映させることが大切です。
現場の社員は、日々の業務を通じて、どのようなスキルや経験が必要なのかを深く理解しています。

そのため、現場の意見を取り入れることでより企業に対して高い貢献が期待できる人材を採用できたり、ミスマッチを防ぐことにもつながったりするでしょう。

コンプライアンスに配慮する

採用活動を推進する際は、コンプライアンスを順守した姿勢が求められます。コンプライアンスへの配慮にあたっては、採用条件に年齢や性別、国籍、宗教など、個人の能力や適性とは関係のない条件で採否を判断してはならないとされています。

思想や信条、応募者の家族や本籍など、本来自由である事項や応募者の適性や能力に関係のない事項を採用条件に盛り込むと、不当な採用差別とみなされる可能性があります。企業のイメージダウンなどにつながる恐れがあるため、注意しましょう。

参考:厚生労働省「公正な採用選考をめざして」

自社オリジナルの条件を設定する

他の企業の採用条件を、そのまま自社の採用活動に用いる行為は避けましょう。企業の状況や求める人材は、企業ごとに異なります。自社の状況や求める人材像に合わせて、オリジナルの採用条件を設定しましょう。

自社オリジナルの条件を設定することで、求める人物像により近い人材を採用できる可能性が高まります

定期的に更新する

社会情勢や企業の状況は常に変化しています。そのため、採用条件も一度設定した条件に固執せず、定期的に見直すようにしましょう。

例えば、新しい技術の登場や働き方の変化に対応するため、求められるスキルや経験が変わることがあります。また、企業が成長するにつれて、組織の規模や構造が変化し、伴い求める人材像も変化するケースもあるでしょう。
定期的な見直しを行うことで、常にその時の自社の状況や時代の流れに即した最適な人材を採用できるようになります。

採用条件を明確にして採用の成功につながった事例

続いてPRO SCOUTが支援した、採用条件を明確にして採用の成功につながった事例を紹介します。実際の事例を知ることで、採用条件を設定する際のイメージを描くことができるでしょう。

株式会社アサンテ様(新卒採用)

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シロアリ対策シェアNo.1企業として知られる、株式会社アサンテでは、ナビ媒体を活用した採用が中心でしたが、採用手法の幅を広げるべくダイレクトリクルーティングを導入いたしました。

PRO SCOUT新卒を利用した際の印象として、採用条件の精度を挙げていました。
自社だけでダイレクトリクルーティングを実施していた時は、「営業職希望」程度でしかターゲティングを行っていなかったものの、PRO SCOUT新卒では、学部や学生1人ひとりの志向性を見ながらターゲティングする点に驚いたとのことです。
単一の採用条件ではなく、さまざまな条件も加味することで、ターゲットに近い学生との出会いのきっかけを創出できたと考えられます。

参考:株式会社アサンテ様 成功事例インタビュー

株式会社エーアイネット・テクノロジ様(新卒採用)

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システム開発を主軸に事業を展開する、株式会社エーアイネット・テクノロジでは、毎年14〜16名ほどのソフトウェア技術者の採用に取り組んでいます。
採用活動では、ナビ媒体をメインにしつつ、就活イベントやダイレクトリクルーティングを組み合わせながら母集団を形成していたとのこと。ダイレクトリクルーティングにおいては自社運営でも一定成果を創出できており、成果を期待できる手法と認識していた一方、工数に課題を感じていました。

PRO SCOUT 新卒を導入した背景は、元エンジニアの採用コンサルタントが在籍していたから。実際の導入においては、月1回の振り返りMTGで、数字的な共有だけでなく、ターゲットの提案やスカウト文章の改善提案などを受けられた点や、MTG以外にも日常的に改善提案を受けられた点が成果につながったと評価しています。

市場や学生の動向に合わせた採用条件の細やかな改善が採用につながった事例です。

参考:株式会社エーアイネット・テクノロジ様 成功事例インタビュー

株式会社ユカリア様(中途採用)

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医療現場のDX化推進を支援する事業を展開する、株式会社ユカリアでは、PRO SCOUT導入後、採用難易度の高いエンジニア2名の採用が決定しました。

同社が掲げるターゲット像は、現場ニーズを把握しながら開発に落とし込める、ビジネス視点を持ったエンジニア。
自社だけでダイレクトリクルーティングを実施していた時は、実際に現場が求める人材なのかわからず、スカウトを送って良いか戸惑うことも多かったとのこと。

その点、PRO SCOUTでは、これまでの採用支援実績で培ったエンジニア採用の知見を活かした支援を提供している点が強みです。難易度の高いエンジニア採用を成功に導いた要因は、エンジニア採用に精通した採用支援サービスを利用することで、精度の高いダイレクトリクルーティングの運営が実現したことにあると考えられます。
また、エンジニア採用に長けたサービスだからこそ、的確な採用条件を設定できた点も採用成功の一助になったと言えるでしょう。

参考:株式会社ユカリア様 成功事例インタビュー

株式会社プレイド様(中途採用)

株式会社プレイドは、データを活用した新規事業創出や既存事業の変革をサポートするSaaS企業です。
これまではエージェントを中心とした採用活動でしたが、自社の採用力を強化することを目的にダイレクトリクルーティングの運用を本格的に開始しました。

PRO SCOUTの利用においては、人材要件に定性的な表現を用いることが多かった中、ヒアリングを通して人材要件を汲み取り、候補者のピックアップ精度の向上を図りました。
また、「幅広くターゲットを設定し、実際にお会いしてからスクリーニングをかけるのがベストではないか」と提案を受け、採用条件を幅広く設定した上で狭めていく施策を取りました。実際に施策を実行してみると、「この要件は必須」「実は不要な要件だった」など多くの気づきがあったとのこと。

同社では、応募者と実際に相対した上で、採用条件を絞り込んでいったことで、本当に求める人材と出会える機会を創出できました。母集団形成や採用までの期間を加味し、採用条件を広く設定してから狭めていくのも有効な方法だと示す事例です。

参考:株式会社プレイド様 成功事例インタビュー

採用でお困りなら「PRO SCOUT」

採用条件は、求める人材を採用する上で不可欠な基準の1つです。
そのため、不適切な採用条件を定めてしまった場合、ミスマッチの発生や選考辞退に至る要因になってしまう懸念も十分あり得ます。

採用ターゲットごとに適切な採用条件を定めるためには、採用活動に関する知見に長けた採用支援サービスを用いるのも1つの方法です。

PRO SCOUTでは、700社以上の採用活動を支援してきた実績をもとに、適切な採用条件を策定するところから内定・入社までのプロセスを伴走サポートいたします。採用にお悩みの企業・人事ご担当者様は、ぜひ採用支援のプロからのサポートを受けられるPRO SCOUTの利用もご検討ください。

まとめ

採用ターゲットごとに的確な採用条件を設定できれば、採用活動の精度や効率が高まる可能性が期待できます。しかし、一口に採用条件と言っても多様な項目があるため、適切な採用条件を設定するには、一定の知見やノウハウが必要になるでしょう。

採用ターゲットに即した採用条件を定めるためには、PRO SCOUTをはじめとする採用支援サービスを活用するのも1つの方法です。客観的な視点からアドバイスや改善を提案してくれるでしょう。

ぜひ、本記事を参考に自社のニーズにマッチする採用条件を設定し、求める人材の採用を成功させましょう。

投稿者プロフィール

日向 妃香
日向 妃香
採用系コンサルタントとして企業の採用サポート・採用戦略構築・採用ノウハウの提供を行いながらライターとしても活動中。
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。