人事企画とは?仕事内容や向いている人の特徴を紹介
人的資本経営や人材マネジメントに注目が集まる昨今において、企業の人事企画は以前にも増してその重要性を高めています。
しかし目の前の採用に追われる人事担当者も少なくなく、人事企画の正しい意味がわからない、耳にしたことがあるだけ、といった方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、採用支援事業に8年間従事してきた筆者が、企業や組織の中で人事企画がどのような役割を果たすのかを解説すると共に、具体的な業務内容や向いている人の特徴を紹介します。
目次
人事企画とは
人事企画とは、企業が掲げる経営戦略を実現することを目的に、戦略的に人材を採用・配置・育成する仕事です。
人材という資源の可能性を最大化させ、より有効に活用することを目的に活動する点が大きな特徴であり、従業員の働きやすい環境構築や従業員のエンゲージメント向上に寄与する施策の策定なども人事企画の重要な役割となります。
人事企画の仕事内容
続いて、人事企画の具体的な仕事内容を紹介します。
人材管理と配置
人事企画が担う役割の1つに人材の管理と最適な部署・ポジションへの配置が挙げられます。
人はそれぞれ強みと弱みを持っており、能力に合わないポジションへの異動やミスマッチな配置をしてしまうと、本来の能力やこれまで培ってきた経験を活かせなくなってしまう場合があります。
そのため人事企画は、人材管理を通じて個々の持つスキルや強みの把握に努め、従業員1人ひとりが各々のポテンシャルを発揮できるよう適所に人材を配置します。
ビジネスの現場において最適配置は、事業戦略に大きな影響を与える可能性のある重要な工程です。それぞれの人材を適所に配置していくことで、人材と企業は共に成長できるでしょう。
社内研修やスキルアッププログラムの設計
企業の事業運営に貢献できる人材の育成も人事企画の重要な業務です。
社内研修やスキルアッププログラムの設計においては、企業が目指す事業成長の実現に寄与する企画でなければなりません。
ただ単に形式的な研修・プログラムを用意するのではなく、各従業員が自己実現できるようなカリキュラムを策定するのと同時に、従業員の成長によって事業成長を実現できるものにしていく必要があるでしょう。
社内の人員だけで立案や実行が難しければ、外部の教育支援サービスを利用するのも1つです。目指す事業ビジョンや理想とする従業員の能力値などに鑑みながら、外部サービスの担当者と社内研修やスキルアッププログラムを設計していきます。
労働力計画の策定・実行
新規事業の立ち上げやビジネスモデルの転換、さらには退職などに伴い、新しい労働力の確保が求められることもあるでしょう。
過不足なく労働力の確保に努めることも人事企画の仕事です。
労働力計画の策定・実行においては、経営戦略に紐づくものでなければなりません。特に専門性や経験が求められる職種、ポジションにおいては、経営戦略にも大きな影響を与える可能性があるでしょう。ただ単に労働力の確保に務めるだけでは、企業にとってマイナスになる懸念も考えられます。
従業員のパフォーマンス管理
従業員が期待したパフォーマンスを発揮できているか管理するのも人事企画が担う業務の1つ。感情的な評価ではなく、具体的な成果や数字を以て個々のパフォーマンスを管理できる体制を整えます。
また従業員1人ひとりが本来持つポテンシャルを発揮できるよう、求められる福利厚生を定めたり、働きやすい環境を実現するために社内環境や制度を整備したりするのも重要な職務です。
このように従業員のパフォーマンス管理には、社員からの率直な意見に耳を傾けることが大切です。経営戦略の円滑な実行や事業目標の達成を目指しながらも機械的にならない人事企画運営が求められることを理解しておきましょう。
人事企画に向いている人の特徴とは?
ここでは、人事企画に向いている人の特徴を紹介します。
好奇心が旺盛
人事企画は、現状を分析しボトルネックになっている部分を可視化した上で、課題解決や現状改善にあたる仕事です。そのため常に「なぜ?」「どうして?」と自問自答しながら問題発見や課題改善に努められる人材が向いていると言えるでしょう。
流行に敏感
企業の人事制度は、社会や時代の変化によって様々な変遷を遂げてきました。
また求職者や働き手の意向も変化しており、時代に合った施策の実行や制度の策定が求められつつあります。そのため、トレンドに対して広くアンテナを張り今の世情に合った情報をキャッチできる人は、現場でも重宝されるでしょう。
しかし、ただ最新の情報を人事企画に落とし込むだけでは理想組織にならないのも事実。トレンドでありながらも再現性や有効性の高い情報を選別し、より自社にマッチした形で施策に落とし込むスキルが求められることも覚えておきましょう。
変化を楽しめる人
“変化を楽しめる”特性も人事企画で必要視される素養の1つ。
企業内の人材は常に流動と変化を繰り返し続けています。また企業という大きな組織の成長においては、目先のことだけではなく中長期的な変化を視野に入れた人事企画が不可欠です。
反対に変化を嫌い、現状維持を好む人は、人事企画には向いていないかもしれません。
常に先を見据え新しい変化を望む人は、組織に良い影響や変革をもたらしてくれるでしょう。
マーケティングに興味がある
人事企画は、人材という資源をいかに効率的かつ有効に活用できるかが求められる仕事です。一方で、機械的な戦略では従業員のモチベーションを高められず、逆効果になってしまうこともあるでしょう。
従業員の感情やニーズを尊重しつつ、より人材を効果的に活用するためには、環境作りや適切な施策の実行も必要です。ただし適切な環境を用意したり、事業戦略に寄与する人材の活躍を実現したりするためには、緻密なデータ分析や従業員の要望に耳を傾ける行動も不可欠。このようなマーケティング要素の強い業務も多々あることから、マーケティングに興味がある人は人事企画で重宝されるでしょう。
人事企画に必要なスキルとは
人事企画に携わるためには、次のようなスキルが求められます。
データ分析能力
先述の通り、人事企画は、人材という資源の効率的かつ効果的な活用が求められる仕事です。経験や肌感覚に依ることなく、データを以て定量的に施策を考案・実行することが求められることから、データ分析能力は不可欠であると言えるでしょう。
コミュニケーションスキル
また人事企画は、ただデータに則って定量的な施策を実施することだけが仕事ではありません。時には従業員の声にも耳を傾け、現場からの本質的な要望も人事企画に落とし込んでいく必要があるでしょう。
現場の声を祖語なく網羅的に拾うためには、高いコミュニケーションスキルも求められます。「誰とでも分け隔てなくフランクに話せる人」「悩みを相談しやすい人」は、人事企画で重宝されるでしょう。
戦略的思考力
人事企画は、人材戦略の中でも根幹的な部分を担う業務が多く、活動のスタンスや在り方1つで事業戦略にも大きな影響を与える可能性があります。
感覚的に仕事に取り組む人よりもデータや数値に基づき、戦略的に理論立てて施策や制度を企画できる人のほうが理にかなった成果を創出できるでしょう。
リーダーシップ
人事企画では、時に経営層も巻き込んだ業務推進が求められます。経営層からの納得・信頼を得るためには、相応のリーダーシップ力が求められるでしょう。さらに施策や企画によっては、従業員を巻き込むこともあるでしょう。そのため、組織を変えられる統率力や率先力も必須。
このように経営層を納得させ新しい施策を取り入れたり、他の従業員と一丸となって抜本的な改革に取り組んだりすることもしばしばあるため、人事企画においてリーダーシップ力は重視される素養と言えるでしょう。
マーケティングスキル
人事企画は、経験や肌感覚だけで務まる仕事ではありません。
自社の事業や採用市場、業界事情などあらゆる情報から今必要な戦略や施策を考えることも多く、人事部署のブレインと言っても過言ではありません。
そのため人事企画に携わる人材は、人材課題や事業戦略と紐づけ、今後の動向を予想し、適切な対策・施策を打ち出せるようなマーケティングスキルも不可欠であると考えられます。
人事企画の魅力とやりがい
ここでは、人事企画の魅力や仕事に携わることで得られるやりがいを紹介します。
ポータブルスキルを身に付けられる
先述の通り人事企画は、人材管理からデータの分析、従業員のコミュニケーションまでありとあらゆるスキルを駆使する仕事です。これらの能力は、ビジネス現場において非常に重宝されるもの。
求められる能力が高い分、時には大変さを感じることもあるかもしれません。しかし人事企画の仕事に携わることで、市場価値が高まる能力を多角的に身に付けられるでしょう。
社員の満足度に貢献できる
人事企画は、社員のエンゲージメント向上に寄与する仕事でもあります。
従業員の声に耳を傾けながら制度や社内環境を変革することで、社員から感謝や喜びの声をもらうこともあるでしょう。
このように、自分の働きが従業員の満足度に直結する点は、人事企画だからこそ得られる“やりがい”と言えるでしょう。
会社の成長に寄与できる
人事企画の活動は、企業の事業戦略や成長にも大きく影響を与えます。
最適な人材配置は事業成長において欠かせない戦略であり、優秀な人材獲得も将来的な企業の成長に大きく寄与することでしょう。
活動の成果は、すぐには現れないかもしれません。しかし自分の取り組みが実を結び、具体的な成果となって目に見えて現れた時、企業の成長を実現する土台作りに貢献できたことを大いに実感できるでしょう。
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人事企画についてのまとめ
労働人口不足を背景に人材の活用に注目が集まる中、人事企画が担う役割は、より一層重視されるようになりました。
しかし一方で人事企画と一口に言っても、採用・人材管理・評価制度の設計など、その業務は多岐に渡ります。1人人事や兼任人事といった人事体制、さらには人事部署のリソース不足などもあり、思うように人事企画を遂行できないと悩む企業様も多いかと思います。
そのような企業様は、外部サービスを利用するのも1つ。外部サービスを取り入れることで第三者からの新しい意見を見聞できたり、人手不足を解消できたりするため、より自社に合った戦略的な人事企画を遂行できるようになります。
人事企画の質を高める取り組みは、自社の従業員満足度の向上にも直結します。改めて人事企画の重要性を理解し、自社の人的資本をより効果的に活用できる体制を確立しましょう。
投稿者プロフィール
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採用系コンサルタントとして企業の採用サポート・採用戦略構築・採用ノウハウの提供を行いながらライターとしても活動中。
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。
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