面接フィードバックを活用して採用力を向上!成功事例を紹介

ミスマッチ防止や企業イメージの向上を目的に面接後に候補者に対して面接のフィードバックを行う企業が増えつつあります。

自社の採用活動に取り入れたいと思いつつも、面接フィードバックで伝えるべき事項や効果的な伝え方がわからず、導入に至っていない企業も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、採用支援事業に8年間従事してきた筆者が、面接フィードバックが注目される背景や面接フィードバックをする際の注意点、伝える内容などを解説します

面接フィードバックとは

面接フィードバックとは、面接を終えた候補者に対して、選考の結果に関する評価を共有したり、今後の成長につながる具体的なアドバイスなどを伝えたりする取り組みを指します。

フィードバックの内容は様々ですが、面接での言動を例に挙げながら、良かった点はもちろん、課題だと見受けられる点についても伝え、改善のきっかけを提供します。また、面接フィードバックを行うことで、選考における評価の透明性や企業の誠実な姿勢を示すことができる側面もあります。

通常、面接フィードバックは、次のステップに進む候補者に伝えるケースが一般的ですが、中には不合格者に対してフィードバックを伝える場合もあります。合否に関わらず、候補者の今後の成長に寄与する内容であることが大切です。

面接フィードバックが注目される背景

面接フィードバックが注目される背景には、次の要因があると考えられます。

候補者の企業選択意識の高まり

働き方への考え方が変化したり採用競争が激しさを増したりする中、候補者の企業選択意識が高まりつつあります。候補者は、待遇や仕事内容だけでなく、企業のビジョンや価値観、働きがいなど、多角的な視点から企業を選ぶようになりました。

その点、面接フィードバックを実施することで候補者は企業に対する理解が深まります。時には、企業選びの一助になることもあるでしょう。
面接フィードバックがもたらす効果や利点は、企業選択意識の高まりに応対する1つの手段になる可能性が期待できることから、面接フィードバックが注目されるようになったと考えられます。

企業イメージの向上施策として

2つめの要因は、企業イメージの向上施策として取り入れる企業が増えたことが挙げられます。丁寧なフィードバックは、候補者に対して企業が誠意を持って対応しているという印象を与えます。

特に近年においては、候補者がSNSや口コミサイトなどを通じて面接時の感想を発信する事例が増えています。適切な面接フィードバックを真摯に行うことで、企業に対するポジティブな評価が増え、企業イメージの向上にもつながるでしょう。

採用ミスマッチを防止するため

採用活動を効率的に推進するためには、採用ミスマッチの低減が欠かせません。
面接フィードバックでは、企業が候補者に対して求める人物像や仕事内容を具体的に伝えたり、候補者が自身に求められている期待値を正確に把握できたりする1つの機会になります。面接フィードバックを行うことで双方の期待値をすり合わせることができるため、入社後のミスマッチ防止にも寄与するでしょう。

また、面接フィードバックを受けることで候補者はどのような成果や活躍が期待されているかを理解した状態で入社するため、入社直後から高いパフォーマンスを発揮してくれる可能性も期待できます。

面接フィードバックで伝える内容

本章では、面接フィードバックで伝える内容について解説します。

候補者の強み

面接フィードバックで伝える内容として、候補者の強みが挙げられます。
他のビジネスパーソンや候補者と比較して優れている点や評価したポイントを伝えましょう。

下記は、「候補者の強み」を伝える際の一例です。

「論理的思考力が非常に高く、複雑な問題に対しても的確に分析し、解決策を提示できる点に感銘を受けました。」
「チームワークを大切にし、周囲と協力しながら目標達成に貢献する姿勢が素晴らしいです。」

候補者に対して面接時に評価した強みを伝えることで、候補者は自分の市場価値やアピールポイントを再確認でき、自信を持てるようになるでしょう。さらに、自身の強みが企業でどのように活かせるのかを具体的にイメージできるようになるため、入社意欲や入社後の成長意欲が醸成されることもあります。

改善が必要なポイント

面接フィードバックの際は、ポジティブな事項や良かった点だけではなく、改善が必要だと見受けられたポイントについて伝えることも効果的です。

下記は、「改善が必要なポイント」を伝える際の一例です。

例1
「プレゼンテーションの際に、もう少し具体例を交えて説明すると、より説得力が増すと思います。」
例2
「コミュニケーション能力は高いですが、もう少し積極的に意見を言えるようになると、さらに活躍できるはずです。」

改善が必要なポイントを伝えることで、入社後に発生する懸念のあるギャップを事前に埋められる場合があります。また、改善点を知れることで候補者は今後のスキルアップや自己成長に役立つアクションを取りやすくなるでしょう。不採用の場合でも、次の機会に向けた有益なフィードバックとなり、企業への信頼感が高まります。

求めるスキルや人材層とのギャップ

面接フィードバックにおいては、求めるスキルや人材層とのギャップを伝えることも大切です。

下記は、「求めるスキルや人材層とのギャップ」を伝える際の一例です。

例1:専門知識の不足
「今回のポジションでは、〇〇に関する専門知識が不可欠です。〇〇さんには、分野における知見は十分ですが、今回のポジションをお任せするには経験が浅いと感じました。」
例2:企業文化とのミスマッチ
「当社は、スピード感を持って仕事を進める風土です。〇〇さんの丁寧な仕事ぶりは評価しますが、よりスピーディーな対応を求められる場面も多いため、今回のポジションには少し合わないかもしれません。」

企業が求める具体的なスキルや経験と候補者の実際の経歴や能力の間にどのような差があったのかを伝えることで、採否の結果に納得感が生まれるでしょう。

合否を判断した根拠

合否を判断した根拠を示すことで候補者は企業がどのような基準で判断したのかを理解でき、不満を抱きにくくなります。また、透明性の高い選考だと捉えてもらうこともできるでしょう。

下記は、「合否を判断した根拠」を伝える際の一例です。

例1:合格の場合
「〇〇さんの当社に対する熱意と、今後の成長を期待できるポテンシャルの高さを評価し、今回の採用を決定しました。」
例2:不合格の場合
「今回のポジションでは、〇〇の経験が求められます。〇〇さんのこれまでの経験を考慮すると、即戦力として活躍いただくのは難しいと判断しました。」

合格の場合は、どの点が決め手となったのかを、一方不採用の場合は、採用に至らなかった要因や判断基準を明示しましょう。

面接フィードバックの効果的な方法

面接フィードバックの効果的な方法としては、次のような方法があります。

ポジティブフィードバック

ポジティブフィードバックとは、候補者の強みや良かった点を共有し、入社後どのように活かせるのかを説明する方法です。

ポジティブフィードバックを行う際は、まず面接中の候補者の発言や行動から、具体的な強みや良かった点を抽出しましょう。その上で、企業の仕事内容や求める人物像に関連付けて説明できるようフィードバックの内容を固めます。
なお、フィードバックの際は、候補者の今後の成長につながるような伝え方を意識することがポイントです。

ポジティブフィードバックを受けることで、候補者は自分の強みを認められ、自信につながったり、企業への好感度が高まったりする効果が期待できます。ただし、過度にポジティブに寄ったフィードバックは、信頼性が損なわれる懸念があるため、事実に基づいた内容を伝えることが大切です。

例1
「今回の面接では、〇〇さんの明るく前向きな姿勢が印象的でした。ぜひ、一緒に働けることを楽しみにしています。」
例2
「〇〇という業務に取り組んだエピソードが印象的でした。
〇〇さんのご経験は、入社後にお任せする業務でも活かせると思います。」

ネガティブフィードバック

ネガティブフィードバックとは、改善が必要だと感じたポイントを伝え、どのように改善するべきかをアドバイスする方法です。

まずは、面接中の候補者の発言や行動から、改善が必要だと感じたポイントを抽出します。続いて、抽出した改善ポイントを候補者に伝えると共に、今後の成長につながる取り組みや方法、学ぶべきスキルも同時に提案しましょう。

ネガティブフィードバックは、入社後のミスマッチ防止に寄与する可能性が期待できます。また、建設的なフィードバックは、企業の期待に応えたいという意欲を高めることにもつながるでしょう。ただし、ネガティブフィードバックをする際は、厳しい指摘に終始しないよう留意しましょう。また、候補者の人格を否定するような言動は厳禁です。改善点と同時に評価した点もバランスよく伝えることがポイントです。

例1:
「面接の冒頭で、自己アピールと志望動機をお聞かせいただきましたが、もう少しあなたらしさをアピールできる内容を伝えられると、より印象に残ると思います。」
例2:
「質問に対して、回答に詰まってしまう印象を受けました。事前準備を入念にしておくと、よりスムーズな受け答えができたかもしれません。」

ブリッジング

ブリッジングとは、フィードバック内容を自社の求めるスキルやポジションと関連づけて伝える方法です。
具体的には、候補者の強みを活かせるシーンを実例を用いて伝える、企業文化や価値観と候補者の価値観が合致しているポイントを挙げるなどがあります。

候補者は面接フィードバックを通じて、自身の強みを活かせる、自身の価値観とのマッチ度が高い、などがわかると企業への入社意欲が高まることがあります。ただし、ブリッジングを行う際は、自然な形で関連づけることがポイントです。無理に関連づけをしてしまうと、候補者に誤解や不信感を与えてしまうリスクがあるため、注意しましょう。

例1
「過去の経験で〇〇という課題を解決されたエピソードは、まさに当社が今抱えている課題解決にも活かせるのではないかと期待しています。」
例2
「過去の経験で培われた〇〇分野のスキルは、今回募集しているポジションでも十分に発揮できるでしょう。また、当社では、〇〇分野に関する研修も用意しているため、〇〇さんも今より一層成長できると思います。」

面接評価シートの活用

面接フィードバックをする際は、面接時に使用した面接評価シートを活用する方法もあります。
面接評価シートを活用すれば、1からフィードバックの内容を考える手間を省けます。また評価基準が明確に記されているため、フィードバックの精度が向上します。

社内で面接評価シートが整備されていない場合は、厚生労働省から職業能力評価シートの例が出されているので、こちらを利用すると良いでしょう。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000093991_00001.html

面接フィードバックで気をつけること

面接フィードバックを行う際は、次のポイントに留意しましょう。

候補者のタイプに応じたフィードバック

候補者には、自信に満ちているタイプもいれば、自己評価が低く、自分の強みに気づけていないタイプもいます。そのため、面接フィードバックを行う際は候補者のタイプに合わせてフィードバックの内容や伝え方を調整することがポイントです。

たとえば、自己評価が低い候補者にはポジティブフィードバックを中心に伝え、自信を持たせるようなアプローチを意識しましょう。一方、自己評価が高い候補者に対しては、客観的なデータや事例を提示しながら、改善点の必要性を説明し、成長への意欲を引き出すようにします。
候補者の個性を尊重し、適切な対応を心掛けることで、双方にとって有益なフィードバックとなるでしょう。

例1:応募者が内向的な性格の場合
【NG例】
「積極性に欠ける上に、話がまとまっていない印象を受けます。」
【GOOD例】
「じっくりと自分の考えをまとめる姿勢は素晴らしいですね。もう少し経験談を具体的に話せるようにしておくと、〇〇さんの魅力的がより伝わると思います。」
例2:応募者の経験が浅い場合
【NG例】
「経験が浅く、今回のポジションでは能力不足が懸念視されます。」
【GOOD例】
「学ぶ意欲にあふれており、今後の成長が楽しみです。〇〇のような研修を受けたり、〇〇の経験を積んだりすることで、今よりも活躍の幅が広がるでしょう。」

ポジティブな言い回しを意識する

「ここがダメ」といった否定的な表現は、候補者のモチベーションを低下させ、反発心を持たせてしまう懸念があります。同じ意味合いでも「こうすればさらに良くなる」といった肯定的な表現を用いることで、候補者は改善点を受け入れやすくなるでしょう。

例1
【NG例】
「〇〇という点で、他の候補者と比べて劣っていると感じました。」
【GOOD例】
「〇〇という点に強みを持つ候補者は他にもいますが、〇〇さんの場合は他の候補者にはない〇〇という強みが魅力的だと感じました。」
例2
【NG例】
「練習不足なのか、回答に自信が感じられません。」
【GOOD例】
「〇〇さんの〇〇という強みは、とても素晴らしいと感じました。この強みをもう少し自信を持って話せるようになると、〇〇さんの魅力がより伝わるでしょう。」

面接官自身の視点で伝える

面接フィードバックを行う際は、企業の立場から一方的に伝えるのではなく、面接官個人の視点から伝える姿勢を意識しましょう。

「会社がこう評価した」と伝えるのではなく、「私の経験や視点ではこう見えた」と言い換えることで、候補者はフィードバックを受け入れやすくなったり、企業や採用担当者に対する信頼が高まったりします。
反対に、「企業-候補者」のように形式的なフィードバックに終始してしまうと、候補者は冷たい印象や反発心を抱く懸念があるため、注意しましょう。

例1
【NG例】
「会社として、〇〇の経験を評価しました。」
【GOOD例】
「今回の採用では、〇〇分野に関するスキルを特に重視しています。私の経験からも〇〇さんの経験やスキルは当社で活かせると感じています。」
例2
【NG例】
「先ほどお話し頂きましたプロジェクトについて、詳細を教えてください。」
【GOOD例】
「〇〇プロジェクトの経験談は、非常に関心深いと感じ、個人的にも興味惹かれました。今回応募してくださった〇〇ポジションとも親和性が高いと感じておりますが、プロジェクトの概要をもう少し詳しくお聞かせいただけますか。」

面接フィードバックを導入して採用を成功させた事例

続いてVOLLECT社が支援した企業様の中で、面接フィードバックを導入して採用を成功させた事例を紹介します。実際の事例を知ることで、面接フィードバックを導入する際のイメージを描くことができるでしょう。

パーソルキャリア株式会社様

大手人材総合企業パーソルキャリアでは、エージェントやリファラル採用をメインに採用活動を推進していました。ダイレクトリクルーティングも導入していたものの、工数対効果の観点で継続が難しかったとのこと。そのような状況の中、リーダークラス以上のエンジニアが必要になったことや採用チャネルの多様化を目的に、PRO SCOUTを導入しダイレクトリクルーティングの強化を図りました。

ダイレクトリクルーティングを行うにあたっては、「候補者にアンケートを実施し、常に採用活動を改善できるように努める」など複数の取り組みを実施。さらにリクルーター制度を導入し、候補者に対しては面接時の所感から次の選考に向けたアドバイスを提供するなど、フォローや関係構築、相互理解に取り組んでいるとのことでした。

現在においては、ダイレクトリクルーティング経由のエンジニアの内定受諾率は高い数値を維持し、主要な採用手法になりつつあるとのこと。候補者にピンポイントでアプローチできるダイレクトリクルーティングの特性を理解し、リクルーターを介したフィードバックや関係構築に努めた点が成功の要因になったと考えられます。

参考:パーソルキャリア株式会社様 成功事例インタビュー

採用でお困りなら「PRO SCOUT」

面接フィードバックは、採用ミスマッチの低減や企業イメージの向上など様々な効果が期待できる施策です。しかし、工数を割くことができない、効果的な施策に昇華できないと悩む採用ご担当者様も多いかと思います。

面接フィードバックをはじめ、採用活動に悩みや課題を抱えているのであれば、採用活動に関する知見に長けた採用支援サービスを用いるのも1つの方法です。
PRO SCOUTでは、700社以上の採用活動を支援してきた実績をもとに、適切な採用条件を策定するところから内定・入社までのプロセスを伴走サポートいたします。

採用にお悩みの企業・人事ご担当者様は、ぜひ採用支援のプロからのサポートを受けられるPRO SCOUTの利用もご検討ください。

まとめ

面接フィードバックを適切に運用・実施できれば、採用活動の精度や効率が高まる可能性が期待できます。しかし、一口に面接フィードバックと言っても効果的な運用方法は企業によって異なります。
効果的な面接フィードバックを実施するためには、PRO SCOUTをはじめとする採用支援サービスを活用するのも1つの方法です。客観的な視点からアドバイスや改善を提案してくれるでしょう。

ぜひ、本記事を参考に効果的な面接フィードバックを実施し、求める人材の採用を成功させましょう。

投稿者プロフィール

日向 妃香
日向 妃香
採用系コンサルタントとして企業の採用サポート・採用戦略構築・採用ノウハウの提供を行いながらライターとしても活動中。
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。