Amazonでも活用されるSTAR面接とは?質問例や実施方法を紹介
自社の求める人材を採用するためには、質・量共に充足する母集団を形成するだけではなく、自社の採用ターゲットにマッチする人材か面接を通じて見極めることも大切です。
しかし、候補者の見極めに課題を感じる採用ご担当者様も少なくないでしょう。
そこで今回は、採用支援事業に8年間従事してきた筆者が、大手企業でもとり入れられている、STAR面接について質問例や実施方法を紹介します。
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目次
STAR面接とは?
STAR面接とは、候補者の過去の行動をSituation(状況)→Task(課題)→ Action(行動)→Result(結果)のフレームワークの順に質問を通じて掘り下げていく面接手法のことを指します。
1. Situation(状況)
2. Task(課題)
3. Action(行動)
4. Result(結果)
「行動面接」と呼ばれることもあり、候補者の思考傾向や価値観、行動特性を見極められるとして、Amazon社やGoogle社をはじめ、多くの企業で取り入れられています。
STAR面接のメリット
STAR面接を実施するメリットは次の通りです。
候補者の本音・内面を引き出せる
STAR面接を実施するメリットとして、候補者の本音・内面を引き出せる点が挙げられます。
面接の場でよく聞かれるような質問は、候補者も事前に面接官受けの良い回答を考えてきていることが多く、“人材を見極める”という観点においては機能しないこともあります。
その点、STAR面接では、候補者の過去を深掘りしたり、1つの行動に対して質問を重ねたりするため、候補者から本音やリアルな感情を交えた回答を引き出しやすくなります。
テンプレート的な質問では見極めが難しい内面や考え方も評価できるようになるため、自社の社風や風土に合わない人材を採用してしまう事態も防げるでしょう。
面接官ごとの基準のバラつきを防げる
先述の通り、STAR面接は、候補者の過去の行動に対して、「Situation(状況)」「Task(課題)」「Action(行動)」「Result(結果)」の順に質問を重ねていきます。
既に質問する型が決まっているため、面接官としての経験が浅い人や深掘りするポイントを即座に定められない人でも候補者の人柄や考え方、価値観などを深掘りできます。
面接官は、形式に沿って質問すれば良いため、評価基準をしっかり定めておけば、面接官ごとに採否の評価や基準がバラついてしまうこともないでしょう。
採用のマッチング率を高められる
さらにSTAR面接は、採用のマッチング率を高められることも期待できます。
過去の行動に対して質問を重ねることで、行動特性や価値観などを可視化できる他、質問をカスタマイズすることで、より自社にマッチする人材かを見極められるようになります。
例えば、主体性を持った人物を採用したい場合、業務に対する積極性を評価・判断するフレームワークを設計しておくことで、各候補者の主体性を見定められるようになるでしょう。結果的に、選考において採否を判断する際は、自発的に業務に取り組むような人材に絞り込むことができるでしょう。
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STAR面接の実施方法
ここでは、STAR面接の実施方法を3つの手順に沿って解説します。
ターゲットの明確化
まずは、どのような人材を採用したいのか明確にしましょう。
職種や保有スキル、経験はもちろん、年齢層や性別、価値観、仕事への考え方など、パーソナルな部分にまで焦点を当てて自社の求める人物を具体的に設定していきます。
求める人物像の詳細を設定することで、次に設定するフレームワークも何を軸に質問を重ねていけば良いのか明瞭になるでしょう。
STARフレームワークに基づく質問の準備
続いて、STARフレームワークに基づき質問の準備を進めます。
設定したターゲットに合わせて、下記4つのSTARフレームワークごとに質問を用意しましょう。
・Situation(状況)
・Task(課題)
・Action(行動)
・Result(結果)
具体的な質問例は、『STAR面接で使われる質問例』の章で紹介します。
面接の実施
STAR面接を実施する際は、一問一答で終わらないケースもあります。見極めたい特性について、知りたい回答が得られない時は、質問を重ねていきましょう。
ただし、STAR面接は面接官からの質問が多くなりやすい傾向があります。そのため、状況や候補者によっては圧迫面接に感じられてしまうこともあるかもしれません。候補者が委縮してしまい、本音を引き出せなくなってしまっては本末転倒です。
質問を重ねる時は「親しみやすい応対を心掛ける」「候補者の意見や回答を否定しない」など、面接態度や雰囲気作りに注意しましょう。
STAR面接で使われる質問例
ここでは、STAR面接で使われる質問例を紹介します。
S(Situation)
Situation(状況)では、深掘りする行動について、なぜその行動に至ったのか、背景や周囲・環境の状況を尋ねます。
この時、行動だけに焦点を当てた質問では、候補者の深層にまで迫る回答は得られないでしょう。その行動を取った理由やきっかけ、行動に至った背景などを尋ねることで、候補者の置かれた状況を具体的にイメージできるようになるでしょう。
- 「今までにもっとも困難と感じた状況を教えてください」
- 「過去にチームで取り組んだプロジェクトについて、その背景を説明してください」
- 「仕事で直面した大きなチャレンジの状況を詳しく教えてください」
T(Task)
続いて、「Situation(状況)」で尋ねた状況下のもと、どのような「Task(課題)」に直面したのかを質問します。本質問の目的は、次の質問である「Action(行動)」を深掘りするためです。
どのような事態に対して課題と感じたのか、なぜ大変だと感じたのかをヒアリングすることで、候補者の価値観や思考特性、行動する際の判断基準などが見えてくるでしょう。
- 「その状況で直面した具体的な課題は何でしたか?」
- 「そのプロジェクトであなたが担った役割や責任は何でしたか?」
- 「困難な状況で達成しなければならなかった目標は何でしたか?」
A(Action)
続いて、「Task(課題)」に直面した際、どのような「Action(行動)」を起こしたのかを質問します。STAR面接の中でもっとも核になる質問であり、最初に定めた自社のペルソナと合致しているか見極めるポイントとなる質問でもあります。
また、実際にとった「Action(行動)」を確認することで、これまでの質疑における一貫性や整合性も見極められるでしょう。
この時、チームが行ったことではなく、候補者本人の行動になっているか注意しましょう。
- 「その課題を解決するために具体的にどのような行動を取りましたか?」
- 「プロジェクト成功のためにあなたが実行した戦略や手法について教えてください」
- 「困難な状況でどのように問題を解決しましたか?」
R(Result)
最後に、「Action(行動)」によってどのような「Result(どんな結果・成果を導き出したか)」がもたらされたのかを確認します。ただ単に「YES」or「NO」で回答できる質問ではなく、「学んだことや得られたことはありますか」「その時の状況を振り返り改善すべき点はありますか」などのように、これまでの一連の行動から学びを得られているか、また学びから次に活かす行動を取れているかを見定められるような質問をしましょう。
「Result(どんな結果・成果を導き出したか)」についてしっかり自分の考えや意見を述べられる候補者は、一連の行動から新しい課題を見つけ出し、自分や企業の成長に寄与するための新たな行動を起こせる人材であると考えられるでしょう。
- 「その行動の結果、どのような成果を得ましたか?」
- 「プロジェクトの成功をどのように評価しますか?」
- 「その経験から何を学びましたか?」
STAR面接を実施するうえでの注意点
本章では、STAR面接を実施する上での注意点を紹介します。
深掘りしすぎない
STAR面接は、質問を通じて候補者の過去を掘り下げる面接方法です。
しかし、必要以上に深掘りしないことも大切です。
特に、候補者のプライベートやプライバシーに関わる内容にまで言及する質問は控えましょう。また事実から逸れる質問も適切ではありません。例えば、候補者の意見を掘り下げるような質問は、候補者の行動が伴っていない可能性があるため、STAR面接の本質からズレてしまう懸念があります。
STAR面接に固執しない
また、STAR法に固執しないことも大切です。
STAR面接は、候補者の本質や本音を見定められる面接手法と言われています。しかし、数回の面接で候補者の全てを理解・把握することはなかなかできないでしょう。
STAR面接に固執するあまり、業務に必要な最低限の経験やスキルがチェックされていなかったり、社風や風土に合わない人材を採用してしまったりすることもあるかもしれません。
下記は、人材採用で取り入れられることの多い面接手法や採否を判断する施策です。
・適性検査
・グループワーク
・リファレンスチェック
・集団面接
・ポートフォリオの提出
採用ターゲットや採用要件によっては、STAR面接と他の手法を併用することも検討してみましょう。
候補者の多様な背景を考慮する
STAR面接を実施する時は、候補者の多様な背景にも考慮しましょう。
例えば、就業経験が大企業に限られる候補者とスタートアップ企業に限られる候補者とでは、同じ質問をしたとしても回答の内容が大きく異なる場合があります。それぞれの背景に基づく視点やスキルを認識し、評価するよう意識しましょう。
また、候補者の出身地や性別、年齢、学歴、職歴などに対して、先入観を持たないことも大切です。
STAR面接を実施する目的は、あくまでも応募書類では把握できない候補者の内面や人柄への理解を深めることです。応募書類に記載された事前情報がバイアスとなり、適切な採否が判断できなくならないよう、十分に留意しましょう。
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Amazonでも活用されるSTAR面接
STAR面接が注目を集めるようになった理由として、Amazon社が導入している面接であることが要因の1つだと考えられます。
Amazon社では、STAR面接について、候補者がAmazonという新しい環境に身を置いた時、前職と同じ成功や採用時に期待した成果を達成できるのかを見極めるための重要な選考プロセスと位置付けています。
STAR面接を通じて候補者の内面や考え方、行動パターンを把握することで、候補書類に記載されている過去の成果に関してもAmazonに入社してからも再現できるのかを判断しています。
なお、Amazon社の採用ホームページには、面接対策の一環としてSTAR面接への回答例が記載されています。
求める回答などについても明記されているため、ぜひ参考にしてみてください。
- 過去に問題に直面し、数多くのソリューションを見い出した経験について教えてください。
どのような問題で、どのように行動方針を決めましたか?
その際にとった行動により、どのような成果が現れましたか? - どのようにデータを使い、戦略を立てましたか?
- 過去に、同じグループのメンバーのモチベーションを上げたり、特定のプロジェクトで共同作業を推進したりしなければならないときには、あなたはどのようにしましたか?
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まとめ
STAR面接は、4つのフレームワークに沿って質問を重ねていくことで候補者の思考パターンや行動特性を見極めていく面接手法です。応募者の考えを深く理解できる他、面接官の技量や経験に左右されず応募者を適切に評価できる利点があります。
「応募者の本質を見極められているか不安」「面接で期待したほどの活躍が見られない」など、面接に課題を抱えている企業は、STAR面接の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
投稿者プロフィール
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採用系コンサルタントとして企業の採用サポート・採用戦略構築・採用ノウハウの提供を行いながらライターとしても活動中。
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。
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