採用広報が上手い企業の成功事例を紹介!採用戦略を見直そう
採用競争が激化する中、就活情報サイトや人材紹介などの従来から用いられている“待ちの採用”では、ターゲットとなる人材の採用が難しくなりつつあります。
ダイレクトリクルーティングやソーシャルリクルーティングといった新しい手法が注目される中、候補者への認知度向上や意向醸成を目的に『採用広報』を実施する企業が増えています。
今回は、採用に8年間従事してきた筆者が採用広報の重要性をお伝えすると共に、採用広報が上手い企業の特徴や成功事例を紹介します。
目次
採用広報が重要な理由
まずは「なぜ採用広報が重要視されるようになったのか」その背景や理由を解説します。
幅広い層に対してアプローチが必要になってきたから
採用広報が重要視されるようになった理由の1つとして、自社に興味・関心を抱く人材だけではなく、幅広い層に対してアプローチする必要が生じてきている点が挙げられます。
売り手市場が続く採用市場において候補者の取り合いは避けられません。自社を認知している候補者からしかエントリーが募れない場合、母集団形成に必要なエントリー数を集められないことも十分に起こり得るでしょう。
ウォンテッドリー株式会社が行った『採用広報に関しての実態ヒアリング調査』では、採用広報をスタートした理由として、応募数への課題を挙げた企業が過半数を占めました。
画像引用:ウォンテッドリー株式会社『採用広報に関しての実態ヒアリング調査』
従来の候補者からのエントリーを待つだけの手法では、自社や業界に興味を抱いている人材もしくは、自社を認知している候補者からしかエントリーが期待できません。
まだ業界を絞り切っていない候補者はもちろん、他業界や他社に目を向けている潜在層となる候補者も含め幅広く自社の魅力を訴求していかなければ、採用成功に必要な母集団数を集めることは難しいでしょう。
採用広報を通じて幅広い層に自社の魅力を発信し、自社に興味・関心を抱く候補者を増やしていく取り組みが不可欠になりつつあります。
候補者の企業選びの軸が多様化しているから
候補者の企業選びの軸が多様化している点も採用広報が重視される理由の1つと言えるでしょう。新卒・中途に分けてお伝えします。
新卒採用においては、株式会社マイナビが2024年卒大学生に行った『活動実態調査 (2023年3月)』の企業選択のポイントを問う設問では、次のような結果となりました。
- 社風や働く社員が良い・良さそう:28.7%
- 安定性がある:19.0%
- 待遇面(給与、休日休暇制度含む)が良い:18.3%
入社後に自身の置かれる環境などを先見した上でイメージや理想と合致する企業を選んでいると言えるでしょう。単に「高給与」「ブランド力がある」だけを強みにしている企業は、学生から選ばれなくなりつつある実情も見えてきます。
また「安定性がある」が2位に位置したことから、景気動向の影響を受けにくい会社で安定した生活を送りたいという学生の意向も伺えます。
前年同月調査(「マイナビ2023年卒大学生活動実態調査」:2022年3月1日〜3日実施)では「安定性がある」が最多となり、「社風や働く社員が良い・良さそう」と僅差となっていました。
企業選びの多様化、さらに年度ごとに変化する学生の企業選び軸に合わせ、企業は採用戦略を練る必要があると言えるでしょう。
その戦略の一端として、採用広報を通じて働く社員の様子や社風など学生の求める情報を積極的に発信していくことで、自社に興味・関心を持つ学生を集めやすくなります。
また中途採用においても、株式会社エン・ジャパンが実施した『エン転職 1万人アンケート(2023年2月)新型コロナ後の企業選びの軸調査』によると、コロナ禍を経験し、「企業選びの軸が変わった」と回答した人は約3割にも上りました。
「企業選びの軸で、特に何を重視するように変わりましたか?」という設問では、収入よりも「希望の働き方・条件」「業績」に注目する人が多いという結果になりました。
中途採用においても“収入”をはじめとする待遇面だけが強みでは、候補者から選ばれなくなりつつあるようです。
オリジナル性の高い情報が求められるようになってきたから
多様な情報に囲まれて育ったZ世代は、現場の生の声や働くリアルを映し出した透明性の高い情報に価値を感じているようです。
株式会社No Companyが実施した『Z世代就活生のSNS活用に関する実態調査』内の「企業に対して、どのSNSやメディアで就活情報を発信してほしいですか」という設問に対し、学生は以下の通り回答しています。
Twitter(当時・現X):63.1%
YouTube:47.5%
Instagram:44.1%
就活情報ナビサイト:34.9%
LINE:32.0%
引用:株式会社No Company『Z世代就活生のSNS活用に関する実態調査』
本データから、学生は就活情報サイトのようなテンプレート的な情報だけではなく、オリジナル性の高い情報を求めている様子が伺えます。
就活情報サイトだけでは学生の興味・関心を喚起することは難しく、オウンドメディア・Twitter(当時・現X)・YouTubeなどを通じて、その企業だけが持っている強みや魅力を発信することが必須になりつつあると言えるでしょう。
関連記事:人事必見!新卒の採用手法の種類を紹介|メリットや選び方を解説
採用広報を怠るとどのようなデメリットが生じるのか
採用広報を怠ると、以下のようなデメリットが発生すると考えられます。
反対に採用広報に取り組むことで、下記課題を解決する糸口になることも期待できるでしょう。
採用後のミスマッチが多発する
採用に関する情報発信が少ないと、採用後にミスマッチが発生する懸念が考えられます。
情報量が少ないほど候補者は少量の情報から企業の風土や業務への取り組みをイメージしなければなりません。乏しい情報源から築き上げた自身のイメージと、入社後の労働環境・業務内容・職場の雰囲気などに差異を感じて早期離職に至るケースもあり得るでしょう。
採用広報は採用にまつわる情報の発信に努める施策です。多角的に自社の魅力や取り組みを発信することで、企業理解を得られやすくなり採用後のミスマッチも防ぐことができるでしょう。
採用コストがかかる可能性がある
採用広報に取り組むことによって「ミスマッチの軽減」「候補者の興味・関心喚起」などの効果が見込めます。
しかし採用広報に取り組まない場合、エントリーにつながった候補者とのミスマッチを引き起こし、選考辞退・内定辞退が続発する可能性も高まります。
再度母集団形成から始めなければならない・早期離職に至ってしまうなど、大きなコストと手間が発生してしまうでしょう。
母集団形成に苦戦する
採用市場は売り手市場であり、自社や同業界に興味・関心を示す候補者だけにアプローチするのでは、求める採用数を満たすほどの母集団を形成できません。
また情報の透明化や社風を重視する候補者にとって、どのような会社なのかが分からなければ、どれだけ待遇が良くてもエントリーにまでは至らないでしょう。
自社の情報や魅力を候補者に届けられていなければ、せっかく自社や業界に興味を抱いている候補者もエントリーを見送るのではないでしょうか。
採用広報は母集団形成施策の1つとも言えます。採用広報を怠ると候補者の興味・関心喚起につながるきっかけがないことが問題となります。
関連記事:学生からのスカウトメールの返信率を上げる方法や返信内容のコツとは
採用広報の戦略に使われる代表的な手法
ここでは、採用広報の戦略に使われる代表的な手法を紹介します。
SNS(X・Facebook・Instagramなど)
XやFacebookといったSNSを用いて企業の採用情報を発信するのも1つの手です。近年は採用に特化したSNS媒体(Wantedly・YOUTRUST など)も多数展開されています。
採用広報にSNSを用いるメリットとして、新卒採用や中途採用であれば20代や第二新卒との親和性の高さが挙げられます。
株式会社テスティーが行ったSNS利用に関する調査によると、大学生のSNS利用率は、97.9%であり、100%に近い割合でSNSを利用している実態が分かりました。
層やターゲットを限定せず情報の発信ができる点に加え、無料で運用できる点もメリットと言えるでしょう。
また各SNSには発信できる情報やユーザー層に特性があります。それぞれの特性を理解した上で情報を発信することで、今まで以上に多くの候補者の興味・関心を惹き付けられるようになるでしょう。
一方で拡散力が強いために炎上などのリスクもあることを理解しておきましょう。
採用サイトの運営
新しくメディアや媒体を開設するには手間と時間がかかります。そこで、既存の採用サイトをメディアとして活用する方法もあります。
既に採用情報が一元管理されているため、社員インタビューや経営者の想いなどのコンテンツを加えるだけでも違った効果が現れてくるでしょう。
候補者も採用情報が集約しているページという認識があるため、アクセス数を稼ぎやすいメリットがあります。
しかし知名度の低い企業の場合、そもそも採用サイトにアクセスしてもらえないという課題も考えられます。
採用動画
採用動画には、文章だけでは伝わりにくい企業のリアルな雰囲気を伝えられる利点があります。
YouTubeなど動画系SNSを用いるのも1つですが、継続的に配信が難しい場合は、採用サイトに掲載しておくだけでも、多くの候補者に情報を届けることができます。企業理解に寄与したり応募数が増加するなど、大きな効果が期待できるでしょう。
また一度制作すれば、説明会などさまざまな場で繰り返し活用できるのも嬉しいポイントです。
ミートアップの実施
採用広報はメディアを通じて情報を発信するだけではありません。直接候補者と顔を合わせて自社の魅力を発信することも重要な施策の1つです。
ミートアップとは、自社に興味を持ってもらうためのカジュアルなスタイルの交流会です。候補者との直接的な交流を通じて自社の情報をダイレクトに伝えられるため、会社の雰囲気を肌で感じてもらうことができるでしょう。
就職観・転職軸が多様化する中でもミートアップを通じて直接自社の情報を届けることで、ミスマッチを減らすことも期待できます。結果的に選考や内定辞退、早期離職を防ぐことにもつながるでしょう。
採用ピッチ資料の公開
採用ピッチ資料とは、企業の説明資料のことを指します。
従来から用いられている会社紹介資料との違いは、組織の事業・組織課題などのリアルな情報も包み隠さず記載している点。これらをWeb上に公開することで認知度の向上を狙うことができます。
クラウド人事労務ソフトを提供する株式会社SmartHRでは、採用ピッチ資料をWeb公開したことで応募数が5.3倍にも増加したそうです。株式会社SmartHR代表取締役 宮田氏からは「オープンな社風を体現でき、それが伝わった」というコメントもあります。
繰り返しにはなりますが、採用ピッチ資料は自社の課題も包み隠さず伝える資料です。
候補者も採用ピッチ資料を通じて企業の現状や課題を理解し、自分に合うかどうかを判断した上でエントリーすることができます。そのため事前スクリーニングの役割も果たすと考えられます。
企業の理念やビジョンに共感した上でエントリーするため、意向度の高さも期待できるでしょう。
ご紹介の通り採用広報には様々な手法があります。
手法によって継続のしやすさ・予算・運営にかかる労力は大きく異なります。採用広報に用いる手法を選ぶ際は、自社の採用課題や戦略に合った手法を選びましょう。
もし「どの手法が自社にマッチするのか分からない」「ノウハウがなくスムーズな運営が難しい」と感じる企業は、知見を有した外部のサービスを活用するのもおすすめです。
採用支援や採用コンサルティングを提供している企業の力を借りることで、目指す採用広報を実現できるでしょう。
関連記事:新卒採用におけるダイレクトリクルーティング 6つのメリット | 導入に適した企業の特徴と運用成功のコツ
採用広報を成功させた企業が行っている6つの取り組み
多くの企業が採用広報に取り組んでいますが、残念ながら全ての企業において目に見える効果が現れているわけではありません。
では採用広報を成功させた企業は、どのような取り組みを行っているのか。
本項目では、採用広報を成功させた企業が行っている取り組みを6つ紹介します。
候補者視点の情報を届けられている
採用広報を成功させるためには、“候補者視点”を意識することがポイントです。
「入社後の働く様子」「仕事のやりがい」など、多くの企業が自社の魅力を発信していることでしょう。しかし、せっかく発信した情報も企業視点になってしまっては、候補者も具体的なイメージが湧きません。
様々な属性の社員インタビューなどを紹介することで、候補者も興味・関心を抱きやすくなります。また取り繕った社内風景ではなく、ありのままの日常・様子を発信することも大切です。
「候補者が入社後のイメージを描けるような情報」であることを意識し、情報の発信に取り組みましょう。
ビジネスの本質を伝えられている
事業・商品などの紹介はもちろん、「社会にどのような価値を提供しているのか」「どのような社会貢献・課題解決に取り組んでいるのか」といったビジネスの本質に触れた情報を発信できている企業は、候補者からの共感を得られている傾向にあります。
待遇面よりも“やりがい”や“自分らしく働ける環境”を求める候補者が増える中で、ビジョンやミッションに絡めたストーリー性のある情報は、候補者が求める情報そのものと言えるでしょう。
採用広報に取り組んでいるものの、思うような反応・成果が得られていない企業は、今一度発信している情報を見直してみましょう。
社風や雰囲気が伝わる工夫が凝らされている
社風や雰囲気が伝わる工夫も採用広報を成功させるためには欠かせません。
先述の通り候補者は求人情報サイトに掲載されにくい、働く社員の様子や1日の仕事の流れといったソフト情報を求めています。このことから採用広報に取り組む際は、社風や雰囲気が伝わるよう工夫を凝らすことが必須と言えます。
事業や商品の情報、ビジョンや経営方針などの情報も大切ですが、採用広報の情報を求めているのは候補者です。「どのような会社なのか」「どのようなメンバーが働いているのか」を多角的に繰り返し発信していくことがポイントです。
社員インタビューも様々なポジション・部署のメンバーの取材を発信することで、より社風や雰囲気が伝わるはずです。こうすることで興味喚起につなげられるだけではなく、自社の雰囲気に合った候補者からの応募も増えていくことでしょう。
透明性の高い情報の発信に努めている
採用広報を行う際は、組織の現状や実情と、発信した情報に齟齬や乖離が無いよう努めなければなりません。
採用広報の取り組みで発信した情報に関心を示しエントリーにつながった候補者が増えたとしても、相対した社員がイメージと異なる場合、入社意欲を減退させてしまうでしょう。
また入社に至ったとしても採用広報で発信した雰囲気や社風と実際が異なる場合、早期離職に至ることも懸念されます。
さらにSNSや口コミサイトを用いて企業情報を収集している候補者も多く、組織の実情と異なる情報を発信しているとすぐにその旨が拡散されてしまうリスクもあります。信用が失われてしまうばかりか、自社のブランディングにも傷がつく可能性もあるでしょう。
採用広報を成功させている企業は、ありのままの企業の様子を発信しています。“良いことだけ”を発信するのではなく、“透明性の高い情報”を発信することがポイントです。透明性の高い情報の発信を通じ、候補者からの信頼を蓄積していくことが採用広報成功のカギなのです。
透明性の高い情報の発信するためには、現場の社員に協力してもらうのも1つの手。従業員全員でコンテンツを創り上げることで、人事担当者だけでは取り上げることのできない自社の魅力や強みもリアルな情報として発信できるようになるでしょう。
KPIを設定している
採用広報で具体的な成果が得られていない企業の多くは、ただ何となく情報を発信している実態が散見されます。その点、採用広報で一定の成果・効果を感じている企業はKPIを設定し、客観的な数値を用いて最終目標と現状の差を管理・比較しています。
採用広報を成功させるためには、「応募者のコンテンツ既読率」「オウンドメディアやコンテンツの流入数」など、自社の採用課題に合わせたKPIを設定することがポイントです。
関連記事:スカウト型新卒採用のおすすめ10選!メリットや料金プランを紹介
採用広報の成功事例
ここでは、採用広報の成功事例を2社紹介します。
パナソニックグループ
画像引用:パナソニックグループ新卒採用
パナソニックグループは、日本を代表する大手老舗企業です。
多岐にわたる事業領域を展開し、売上構成はBtoBが大半を占めています。しかし候補者からは、BtoCの白物家電販売のイメージが強く、認知度やブランド力がありながらも、エントリー・就職先として選択されにくいという課題を抱えていました。
そんな課題に対し、同社は17年1月に専門の採用マーケティング室(現・採用ブランディング課)を設立。候補者が知りたい情報を発信し、効果測定・修正を繰り返すことで、パナソニックの採用ホームページの閲覧数を急増させました。
また「“私は”何を大切にして働いているのか」「“私は”どんな時に幸せややりがいを感じるのか」という働く社員の個人視点に立った情報の発信にも注力。
アクセスが集中するページも、募集要項と採用プロセスから生き生きと働く社員のインタビューや採用責任者メッセージのページへと変化しました。
その結果、採用コンテンツのエンゲージメント数は以前の約5倍に増加したとのこと。さらに認知からエントリーへの遷移も従来の2倍に達したそうです。
パナソニックが提供する採用コンテンツが、以前より候補者の興味・関心喚起に寄与している様子が伺えます。
株式会社博報堂・博報堂DYメディアパートナーズ
画像引用:株式会社博報堂『新卒採用』
株式会社博報堂の新卒採用サイトは、働く自分の姿を想像しながら考えを深めてもらえる双方向なコミュニケーションにしたい。そんな想いのもと「答えは、きみの中にある。」というキャッチコピーを掲げています。
ポップでカラフルな色使いをしているメッセージ性のあるアイキャッチ画像が印象的です。候補者がそのまま見ても想いが伝わる表現になっている点も特徴と言えるでしょう。
また博報堂の採用広報においては、候補者の満足度・納得感・動きやすさを最優先に考えた設計を心がけています。
その代表的な例として「選考ステップの公開」が挙げられます。これは、書類・一次・二次・三次のそれぞれの選考段階で“何を重視しているか”“各選考で何人通過するか”などすべてオープンにするというもの。
さらに各選考の間ではオンラインミートアップを開催し、これらの情報が採用担当者から候補者に直接伝えられています。「次の選考には何人参加するのか」「どのような形式・内容でディスカッションをするのか」など、誠意をもって納得感のある情報を伝えていくことで、途中辞退が格段に減ったなど目に見える成果が表れているそうです。
伊藤忠商事株式会社
画像引用:伊藤忠商事株式会社 採用サイト
2025年卒就職人気企業ランキング1位に輝いた伊藤忠商事株式会社は、学生が日常から触れるInstagramを通じた情報発信に注力しています。
なおInstagramでは、「内定者の就活秘話」「選考対策や就活アドバイス」など、伊藤忠商事に関する情報の発信はもちろん、就職活動のための情報を集めるソースとしても活用できるようなコンテンツに仕上げている点が特徴です。
「伊藤忠商事」ではなく「就職活動」という間口を設けることで、より多くの学生の興味を喚起している様子が伺えます。
また夜遅くまで残業をしている、体育会系、といった業界イメージを払しょくするべく、先輩社員の仕事紹介やキャリアストーリーの発信にも精力的に取り組んでいます。
その結果、学生にも正しい認知が伝わり、約2割の応募者数増加を実現しています。
ユニ・チャーム株式会社
画像引用:ユニ・チャーム株式会社 採用サイト
ユニ・チャーム株式会社が注力している採用広報は、マイページ登録者向けた定期的なコンテンツの配信です。
「ユニ・チャームのマイページを訪問すると、就職活動に関する新しいヒントが得られるのではないか」と思ってもらえるような視点でコンテンツ制作に取り組んでいるとのこと。
学生の就職活動スケジュールに合わせた「次の投稿も必ずチェックしたい」と思うような役立つ情報発信に取り組むことで、適宜登録者を獲得しつつ、既存登録者を休眠させない仕組みを創り上げています。
また同じ系統・ジャンルの情報に偏らないよう「就職活動ノウハウ」「ユニ・チャームに関する情報発信」など戦略的にコンテンツ内容をコントロールし、情報の量と質を充足させている点も注目したいポイント。
常にエントリー者のマインドシェアを取れている状態を作ることにより、エントリー者の流出を防ぎ選考移行率や内定承諾率を高めています。
株式会社メルカリ
画像引用:メルカン
メルカリは、採用広報を担う「People Branding」と呼ばれるチームを軸に自社の情報発信に努めています。
中でも採用オウンドメディア「メルカン」は、“素の自分”を出す自分たちのメディアとして2016年5月に運用をスタートしました。
メルカンの運営において徹底して大切にしているポイントは、社歴・年齢・ポジションに関係なく、様々なメンバーのインタビューを掲載している点。またメルカリの日常を伝えるライトコンテンツを毎日更新し、リアルなメルカリの周知に努めています。
さらに実際に社員と会って話ができるミートアップの実施やSNSによる発信など、多角的に透明性の高い情報を発信し続けることに徹している点も特徴の1つ。その結果、ビジョンやバリューに共感しエントリーに至る状態をつくることができ、入社後のミスマッチを防ぎ、早期離職の低減を実現しています。
freee株式会社
画像引用:freee株式会社 採用ブログ
freee株式会社は、採用広報の一環として、社員インタビュー等を掲載する採用ブログを運営しています。
採用ブログは、候補者がfreeeについての解像度を深めるために設置されたコンテンツ。そのため本ブログに目を通すことで「どんな仕事をしているのか」「何をやりがいに感じているのか」など、働く上で必要となる本質的な情報を発信している点が特徴です。
また、インタビューの際は、ポジション・キャリア問わず様々な社員を取り上げ、freeeの強みとなる多様な働き方についての認知訴求にも繋げています。
さらにエンジニアに向けた「freeeの開発情報ポータルサイト」も運用しており、社内技術に関する情報の発信にも努めています。発信する情報を絞ることで、採用難度の高いエンジニアとの接点創出、ファン化にも取り組んでいます。
株式会社ディー・エヌ・エー
DeNAは、2017年10月にオウンドメディア「フルスイング」を開設。
本メディアを通じてDeNAで働く社員のインタビューやカルチャー、人事制度、環境・風土などを発信しています。
DeNAの採用広報の特徴は、DeNAにまだ興味・関心を抱いていない潜在層だけではなく「応募を検討している顕在層」にもターゲットを広げている点。
その理由は、ロジカルでドライな人が多いというイメージを持つ候補者が多いことから、イメージ乖離・人柄におけるミスマッチが多発している点にありました。
フルスイングを通じてDeNAの核である人とカルチャーについての情報発信に努めることで、ミスマッチから生まれる早期離職を低減を実現しています。
さらに同社では、フルスイングの運営だけではなく、フルスイングの認知にも注力しています。
メールの署名に「フルスイング」のURLを入れる、名刺サイズの「フルスイング」紹介カードやチラシを作成し面接参加者に手渡すなど、地道な努力を続けた結果、入社者のオウンドメディア認知率を30%から100%へと向上させました。
DMM.com Group
画像引用:DMMグループ採用広報 公式チャンネル
DMM.com Groupは、50以上もの事業を展開しているだけあり、多様な業種・職種が存在します。そのため、採用担当者だけでは各部署や職種の細かい情報を伝えられないといった課題がありました。
そこでYouTubeを活用し、DMM.com Groupに興味を持った候補者のファースト理解を深める場を提供しています。動画の内容は、計13部署の業務内容や1日のスケジュール、キャリアパスの解説など。
動画制作をする手間とコストはかかるものの、候補者の求める情報をリアルタイムに供給することで、エントリーへのアクションを促しています。
他にもオウンドメディア「DMM inside」を通じて社内文化をカジュアルに発信。「DMMがどんな会社か」「どんな人がどんな働き方をしているのか」を掴める内容になっています。
画像引用:DMM.com Group「DMM inside」
実際に採用面接では、「DMM insideを読んでいます」と話す応募者もいるとのこと。
DMM inside閲覧者はDMM.com Groupの企業文化を理解してから入社するため、カルチャーギャップが少なくフィットが早いという意見もあり、オウンドメディアを通じた情報発信が採用活動の成果に寄与している様子が伺えます。
サイボウズ株式会社
画像引用:サイボウズ株式会社「サイボウズ式」
サイボウズ株式会社はオウンドメディア「サイボウズ式」を運営しています。
2012年と他社と比較して早いタイミングから運用を開始しており、運用開始後は、「働き方・生き方」「家族と仕事」など、様々な切り口で社内のリアルな情報を発信しています。
また、サイボウズ式は、採用広報としてだけではなく、サイボウズにまつわる様々な情報を発信しています。ただ、サイボウズの中途採用では、理念を「最上位概念」に置いています。そのため、サイボウズ式では、採用関連以外のコンテンツ配信の際も企業理念をベースにした一貫性のある発信を心がけています。
そのため長年運用しているものの、“サイボウズ”という会社についてブレなく理解を深められるコンテンツになっており、サイボウズに興味を持つ候補者、応募者にとっては読み応えのあるメディアと高い評価を受けています。
株式会社サイバーエージェント
画像引用:株式会社サイバーエージェント「CyberAgent Way」
株式会社サイバーエージェントは、自社の採用ページの中にオウンドメディア「CyberAgent Way」を設置しています。
CyberAgent Wayの特徴は、ターゲットを採用候補者だけに絞っていない点。幅広い層にアプローチできるよう、採用だけでなくサービスやIR、技術に関するコンテンツ・情報の発信にも積極的に取り組んでいます。
なお、CyberAgent Wayの運営は、特に新卒学生のイメージギャップ防止になっているとのこと。
サイバーエージェントは、メディアやインターネット広告、ゲーム等のエンターテイメント関連の事業を主軸とする企業ですが、「華やか」「トレンド」などのイメージが先行してしまう点が課題でした。しかし実務には、日々愚直に業務に取り組むことが多く、そんなイメージギャップが新卒には多々生まれていました。
そんな課題に対しても、CyberAgent Wayを読んだ学生からは「サイバーエージェントの印象が変わった」という声が挙がっており、採用広報として確かな成果を創出している実態が伺えます。
アローグループ
SNSを用いた採用広報に取り組むのは、アローグループです。
アローグループの人財開発部に所属し新卒採用に従事する「ざっきーとゆってぃー」は、現在TikTokフォロワー65万人、YouTube登録者数7万人を誇るインフルエンサー。
就職活動に取り組むZ世代向けにTikTok, YouTube, Instagram, XなどのSNSを通じて、採用情報や企業の魅力をライトな形で発信しています。
同社には、モバイル事業部を展開する部署がありますが、モバイル販売独自のネガティブイメージから学生が集まらないという課題を長年抱えていました。
しかしSNSを通じた採用広報に取り組むことで、学生のファン化に成功。
就職ナビサイト上では知れないメンバーの思いや普段の様子が垣間見られる動画がZ世代の共感を呼び、説明会には、SNSの発信からアローグループを知った学生が多く集まります。
採用広報でKPIの設定が必要な理由
採用広報に取り組む際は、闇雲に情報の発信に努めるだけでは目に見える成果は得られません。KPIを設定し、客観的な数値で進捗や成果を確認することが肝要です。
他にも採用広報でKPIの設定が必要な理由は、いくつか挙げられます。
採用広報のボトルネックを可視化できる
採用広報でKPIを設定する理由の1つにボトルネックを可視化できる点が挙げられます。
「コンテンツ既読率」や「UU数やPV数」など、KPIに置いている数字が芳しくない場合、何らかの課題があると考えられるでしょう。
目標の数値との乖離を可視化できるようになれば、これらの数値を改善していくことで目に見える成果が表れてくるでしょう。
定量的な施策管理ができるようになる
KPI設定することで、定量的に採用広報の取り組みを管理できるようになります。
定量的な数値管理ができるようになると、メンバー間での認識の違いも生じにくくなります。また目標に対し、現状を把握できるようにもなるでしょう。
目標に対する達成度合いが可視化されるため、今後どのように取り組んでいくべきか自ずと方向性も定まってくるでしょう。
戦略的な採用広報の取り組みが実現する
KPI設定には、戦略的な採用広報の取り組みの実現にも寄与することが期待できます。
数値で評価できるようになるため、数値が芳しくない施策に対して新しい案を打ち出したり、課題改善にスピード感を持って取り組めるようになります。
さらに数値で管理することで、効果が現れている施策に対して無意味に改善を加えてしまったり、課題が改善されずそのままになってしまうこともないでしょう。
KPIを設定することで、ただ情報を発信する感覚的な採用広報から戦略的な施策の実行へとシフトチェンジできるでしょう。
採用広報の最終的なゴールはエントリー数や内定率の向上です。しかし採用広報は中長期的な施策でもあるため継続することが大切です。
長期的に継続できる体制を整えるためにも、「コンテンツ既読率」「早期離職ゼロ」「流入数」など細かくKPIを設定するようにしましょう。
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採用広報が上手い企業の特徴や重要性 まとめ
今回は、採用戦略の1つでもある採用広報について様々な視点から解説しました。
人材獲得競争が激化する採用市場において、採用広報はもはや欠かすことのできない戦略の1つになりつつあります。
採用広報は中長期的な施策であり、すぐに成果が現れるわけではありません。
しかしKPIを設定し、1つずつ課題をクリアしていけば、必ず採用成果につながってくるでしょう。時には外部の採用支援や採用コンサルティングを利用することも検討してみましょう。
実りある採用活動になるよう、ぜひ本記事で紹介した取り組みや事例を参考に採用広報に取り組んでみてください。
投稿者プロフィール
-
採用系コンサルタントとして企業の採用サポート・採用戦略構築・採用ノウハウの提供を行いながらライターとしても活動中。
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。
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