採用におけるスクリーニングの重要性|候補者を効率よく絞り込んでミスマッチを減らす

採用活動では、活動の効率化や求める人材を的確に採用するためにスクリーニングを行うことがあります。しかし、選考プロセスや募集要件に適さない方法でスクリーニングをした場合、求める人材をふるいにかけてしまうリスクもゼロではありません。

そこで本記事では、採用支援事業に8年間従事してきた筆者が、採用活動に用いられるスクリーニングの種類や効果的にスクリーニングを行う方法などを解説します。

採用におけるスクリーニングとは?

採用におけるスクリーニングとは、候補者と採用対象に求める「最低限の基準」を照らし合わせ、採否を判断することを指します

候補者の履歴書や職務経歴書、応募フォームなどの提出物を基に、候補者を絞り込んでいきます。スクリーニングは、候補者が求められる基本的な資格や経験を満たしているかを確認する作業です。

面接選考に入る前に適性検査や応募書類などで必要最低限の条件を満たしているかを見極めれば、採用に直結する人材だけに絞り込めるため、採用活動の効率化を図れます。

採用基準との違いは?

項目 スクリーニング 採用基準
目的 応募者の中から適格な候補者を絞り込む 最終的に採用する人物像を決定する
タイミング 採用プロセスの初期段階 面接や最終評価の段階で重要
方法 履歴書や職務経歴書、応募フォームの内容確認 面接、実技テスト、企業カルチャーとの適合性確認
役割 基本的なフィルタリング、選抜 企業にとって最適な人物を見極めるための基準
評価の範囲 資格や経験に関する要件が主 スキル、適性、人格、企業文化へのフィット感など広範囲
結果 不適格な候補者を除外し、選考候補者を選出 最終的な採用決定に向けて最適な候補者を選定

採用基準は、企業が求める理想的な候補者像を定めた基準のことです。

これには、技術的なスキルや経験だけでなく、性格や文化的適合性、チームワーク能力、リーダーシップ能力など、企業の価値観に合った人材を選ぶための要素が含まれます。

単に履歴書の資格や経験を超えて、候補者の能力や人格、カルチャーとの相性など、広範な視点から評価される点が、採用スクリーニングと異なります

採用におけるスクリーニングの目的・重要性

採用においてスクリーニングを用いる目的は、採用活動のムダをなくすことです。選考プロセスの中でも早期の段階で採用確度の高い候補者だけに絞り込むことで、採用基準を満たさない候補者に割く時間を削減できます。

結果的に、自社が採用したいと考える人材へのフォローに注力できたり、他の採用業務にリソースを割けるようになったりするのです。

採用におけるスクリーニングの方法

企業の採用活動におけるスクリーニングにはさまざまな方法があります。
本章では、採用活動に用いられる代表的なスクリーニング方法を紹介します。

書類選考を用いる方法

書類選考を用いる方法は、候補者に履歴書や職務経歴書、エントリーシートなどを提出してもらい、記載内容をもとにスクリーニングを行う方法です。

経験やスキルが重視されるポジションの採用では、応募書類に記載されている学歴や職歴、実績、保有資格、技術スキルなどをもとに、自社のスクリーニング基準を満たしているかをチェックします

最近では1分程度の自己紹介や自己PRを録画した動画の提出を求める企業も増えつつあります。動画は表情や話し方、雰囲気など、テキスト形式の応募書類よりも多くの情報を得られるとして、スクリーニング時の参考資料として用いられることがあります。

面接選考を用いる方法

面接選考は候補者と直接コミュニケーションを取れるため、応募書類では見極めが難しかった人柄や雰囲気を見定めることができます。また、候補者に直接質問できるため、より詳細な情報を聞き出すこともできるでしょう。

このように面接選考では、候補者の人柄やスキル・経験の詳細を直接確認できるため、書類選考よりも細かな基準やより高い基準でスクリーニングが行われる傾向があります。

ただし、採用基準を厳しくするあまり、求める人材を逃してしまわないよう、候補者の人数や採用の緊急度など、採用状況を加味して基準の緩急を調整することが大切です。

「スクリーニング」の域を超えてしまうこともしばしばあるので、注意しましょう。

適性検査を用いる方法

適性検査も採用活動に用いられるポピュラーなスクリーニング方法です。ただし、一口に適性検査と言っても、さまざまな種類があります。各適性検査の特性やメリット・デメリットを理解した上で、採用対象やスクリーニング目的にマッチする適性検査を用いるようにしましょう。

下記は、企業の採用活動で利用されている主な適性検査の種類と特徴をまとめた表です。

適性検査の種類 特徴
SPI(Synthetic Personality Inventory) 「言語分野」「非言語分野」の2種の設問を通じてコミュニケーションや性格、行動特性などを測定します。
玉手箱 自宅受検型の適性検査であり、言語や数理、性格などに関する能力を測定します。
CAB(Computer Aptitude Battery) 主にIT系技術職向けに開発された適性検査であり、数的処理能力や論理的思考力、バイタリティ、ストレス耐性などを測定します。
GAB(General Aptitude Battery) 主に新卒採用に用いられる適性検査であり、「知的能力適正」と「性格適性検査」の両面から総合的に適性を診断します。
CUBIC 性格や行動特性のほか、リーダーシップやストレス耐性など、幅広い能力を測定できます。
HOGAN(ホーガン) 主にリーダーシップが求められるポジションや管理職採用に用いられる適性検査であり、リーダーシップ力や職務適応力、価値観などを総合的に分析します。

バックグラウンドチェックを用いる方法

海外では、外部の専門機関に候補者のバックグラウンドや人柄などの調査を依頼し、調査結果をスクリーニングに用いるケースもあります。日本ではまだ馴染みが少ないものの、外資系企業を中心に浸透しつつあります。

バックグラウンドチェックでは、候補者の家族や元同僚・上司などへのヒアリングを通じて、応募書類との整合性や性格、過去の勤務態度などについて事実を確認したり、応募書類や面接選考では得られにくい情報の収集が行われたりします。

自社に迎え入れるにあたってふさわしい人材かを見極める際に用いられることが多く、エグゼクティブ職採用や最終選考前に実施される傾向があります。

効果的な採用スクリーニングを行うためには

効果的な採用スクリーニングを行うためには、同一基準による公正な判定が不可欠です。しかし人がスクリーニングを実施した場合、担当者の主観が入ってしまったり、担当者によって評価にブレが生じたりする可能性があります。

そのため、近年はスクリーニングにAI技術を活用するケースも増えてきました。スクリーニングにAI技術を用いることで、担当者の主観に依ることなく公正なスクリーニングが行えるようになります

本章では、AI技術を用いるほかに効果的な採用スクリーニングを行うために意識したい3種の取り組みを紹介します。

評価基準を明確に設定する

効果的な採用スクリーニングを行うためには、評価の基準を明確に設定することが大切です。スキルや経験、データなどスクリーニングの方法や目的に合わせて最低限の基準を定めましょう

ただし、スクリーニング基準と採用基準は、必ずしも同一になるわけではありません。スクリーニングに適性検査を用いた際、適性検査の評価が高かったとしても、面接で実際に会ってみると期待するような結果ではないケースもあります。反対に、スクリーニング基準をギリギリで通過したものの、面接で高い評価を得る候補者もいます。
スクリーニング基準と採用基準は混同することないよう、どのような時にどちらの基準に照らし合わせて候補者の採否を判断するのかも明確にしておきましょう。

主観の影響を極力減らす

人がスクリーニングをする場合、担当者の主観がスクリーニングの精度に影響することがあります。採用活動でスクリーニングの効果を高めるためには、極力主観による影響を減らす工夫が不可欠です。

AIを導入する、複数人で採否を判断する、複数の項目から評価するなど、個人の主観によって採否が判断されることがないよう留意しましょう。

スクリーニングの特性を理解し、使い分ける

先述の通り、スクリーニングの方法は多岐に渡り、それぞれ特徴や強みが異なります。効果的な採用スクリーニングを行うためには、スクリーニングの種類や方法、各スクリーニングの特性を理解しておくことが大切です。

例えば、職務への適性を見極めたい場合は適性検査、スキルや経験を見極めたい場合は書類選考が有効だと考えられます。
スクリーニングの目的に応じて種類や方法を使い分けましょう。

スクリーニングの結果を必ず分析する

スクリーニングを行う場合は、必ず結果を分析し、正しいスクリーニングが行われているのかを検証しましょう。

スクリーニング後に残った候補者の内定率が高かったり、社内で活躍している人材が多かったりする場合、スクリーニングが適切にできていると考えられます。

一方で、選考辞退や早期離職が多い、期待するほど活躍が見られないなどの場合は、スクリーニング基準や方法を改善する必要があるかもしれません
どの基準がボトルネックになっているのか分析し、改善に努めましょう。

採用におけるスクリーニングの課題と注意点

本章では、採用におけるスクリーニングの課題と注意点について解説します。

採用したい人材をふるいに落としてしまう懸念がある

スクリーニングは、採用活動の効率化を図る上で有効な手段ですが、基準が厳しすぎたり、適切な基準を設定できていなかったりする場合、採用したい人材をふるいに落としてしまうリスクがあります

「スクリーニング基準には満たなかったけれども、入社意欲が高い」「職種経験はないけれども、○○の経験は活かせるかもしれない」など、少しでも活躍が見込める可能性を持つ候補者がいた場合は、柔軟な対応を取ることも必要です。

人材の多様性が失われてしまうリスクがある

スクリーニングは事前に定めた基準をベースに機械的に採否を判断します。自社が求める人材を抽出しやすい側面がある一方で、同一基準を満たす人材だけが残るため、既存メンバーとは異なるアイデアを持つ人材を取り逃す懸念があります。

結果的に人材の多様性が失われてしまい、社会の変化に対応できない組織になるリスクも考えられます。

採用のスクリーニングに有効なツール

ここでは、採用のスクリーニングに有効なツールを3種紹介します。

back check


画像引用:back check公式サイト

back checkは、過去候補者と共に働いたことのある第三者から提供された情報をもとに、面接だけではわからない候補者の働く姿を可視化するツールです。

主な調査対象は、過去に一緒に働いたことのある上司や同僚になるため、業務遂行に必要な能力やスキルの有無、人柄など、リアルな声をもとに候補者を見極めることができるでしょう。

PraiO


画像引用:PraiO公式サイト

PraiOは、株式会社マイナビと株式会社三菱総合研究所との共同開発によって誕生した採用支援ツールです。AIが学習したデータをもとに応募書類から優先度の高い人材や採用基準に近い人材を選定してくれます。

「優先度診断」「単語や記述量などを可視化する機能」「コピー&ペースト検知」などの機能が備わっており、書類選考にかける時間の削減や採否判断の均一化、見極め精度の向上が期待できます。

AI面接官


引用:AI面接官公式サイト

AI面接官は、候補者が提出するエントリーシートの内容をベースに、応募書類の評価から1次面接の実施・評価までを、AIが一貫して対応するサービスです。エントリーシートに記載されている内容と候補者からの返答をもとに、AIが新たな質疑を展開するため、人が行う面接よりも多角的かつ公正にスクリーニングできます。

また、AI面接後も採用状況やポジションに応じて柔軟にスクリーニング基準を変更できるため、より精度の高いスクリーニングが実現するでしょう。

採用でお困りなら「PRO SCOUT」

スクリーニングの精度は、採用活動に大きな影響を及ぼすこともあります。適切なスクリーニングを実施するためには、外部の知見を借りるのも1つの方法です。

PRO SCOUTであれば、700社以上の採用活動を支援してきた実績をもとに、業界のトレンドを加味しながら、最適なスクリーニング戦略を提示するため、質の高いスクリーニングのもと求める人材の採用を実現できるでしょう。

採用にお悩みの企業・人事ご担当者様は、ぜひ採用支援のプロからのサポートを受けられるPRO SCOUTの利用もご検討ください。

まとめ

精度の高いスクリーニングを効果的に実施できれば、採用業務の効率化やマッチ度の向上を実現できるでしょう。

しかし一口にスクリーニングと言ってもさまざまな方法があり、スクリーニングを行うタイミングも採用状況や採用ターゲットによって異なります。さらに、スクリーニングの基準やタイミングが適切でなければ、求める人材を取り逃してしまうリスクもあります。

スクリーニングの効果を高めるためには、PRO SCOUTをはじめとする採用支援サービスを用いるのも1つの方法です。客観的な視点から最適なスクリーニング基準をアドバイスしてくれるだけではなく、より効果的なスクリーニング方法も提案してくれるでしょう。

本記事を参考にスクリーニングを効果的に実施し、採用活動の効率化を図りながら自社にマッチする人材の採用を成功させましょう。

投稿者プロフィール

日向 妃香
日向 妃香
採用系コンサルタントとして企業の採用サポート・採用戦略構築・採用ノウハウの提供を行いながらライターとしても活動中。
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。