「どのように面接を実施すればよいのかわからない」と、やり方に悩む採用担当者の方も少なくないのでないでしょうか。

面接は自社にマッチした人材を採用するために最も重要な選考フローと言っても過言ではありません。

本記事では面接官の心得や進め方などについて解説します。

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面接官の役割

面接官の役割は大きく分けると2つです。

自社の強みや魅力をアピール

自社の強みや魅力をアピールすることで、応募者の入社意欲の向上が期待できます。

面接では面接官が応募者を評価すると同時に、応募者も自分の希望が叶う企業か判断しています。応募者が複数の企業を受けている場合、自社に魅力を感じてもらえなければ内定を出しても他社を選んでしまうでしょう。

自社を選んでもらうためには「魅力づけ」が重要です。面接官は応募者一人ひとりの興味・関心や転職理由に合わせて自社の強みや魅力を伝える必要があります。

ミスマッチの防止

採用でミスマッチが起こると、企業と応募者の間に軋轢が生じる可能性があります。それが解決しないままだと早期離職や生産性の低下につながり、採用コストや教育コストが無駄になってしまうことも。

面接では履歴書や職務経歴書などの書類だけでは得られない情報を引き出すようにしましょう。面接官は応募者の人柄やコミュニケーション能力などの本質を見極める必要があります。

具体的には以下のようなポイントが判断の一例です。

・企業が求めるレベルの知識・スキルを持っているか
・企業が大事にする価値観と合うか
・自社で長く働いてくれそうか

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面接官のやり方｜心得

ここでは面接官に必要な心得を4つ紹介します。

会社の代表であることを意識

多くの場合、面接官は応募者にとって唯一入社前に接点を持てる会社の関係者です。面接官は会社の代表として見られ、面接官のイメージが企業のイメージに直結すると言っても過言ではありません。

応募者が転職前に企業のリアルな印象を知ることのできる機会は限られています。面接官の振る舞いによってマイナスなイメージを抱かれないよう心がけましょう。

話しやすい雰囲気作り

面接官には話しやすい雰囲気作りが求められます。話しやすい雰囲気を作ることで応募者の本音を引き出しやすくなります。

応募者が話しやすい雰囲気にするためには、まずは面接官が明るい表情で接したり、応募者の長所を引き出せる会話を心がける必要があるでしょう。

最近メジャーになってきたオンライン面接は対面よりも相手の表情や雰囲気を読み取りにくいため、普段よりも相槌や頷きといったリアクションを大きめにしましょう。

面接官は応募者がリラックスして臨めるような雰囲気作りを意識しましょう。

評価される立場でもあることを忘れずに

面接は面接官が応募者から評価される場でもあります。面接官が一方的に応募者を選ぶだけではなく、応募者も「この会社で働きたいか」を判断しているのです。

面接官は、応募者が複数の企業から1社を選んでいることを念頭に置いておかなければなりません。

こちらも選ばれる側であることを意識し、身だしなみや立ち振る舞い、発言などでマイナスな印象を抱かれないように気をつけましょう。

先入観や偏見に囚われない

面接では先入観や偏見に囚われない姿勢が大切です。面接官は客観的な指標に基づいて面接を実施する必要があります。

面接には人事だけではなく他の部署の社員も面接官として参加する場合があり、面接官で評価が分かれるケースも少なくないでしょう。

面接では公平な判断をしなければなりません。そのようなケースを想定して、人事は事前に候補者を客観的に評価する仕組みを作っておく必要があります。

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面接官のやり方｜注意点

面接官が注意すべきことを確認しておきましょう。

アンコンシャス・バイアス

アンコンシャス・バイアスとは、自分自身は気づいていない無意識の思い込みのことです。過去の経験や知識、価値観、信念をもとに無意識に「こうだ！」と決めつけてしまうことを指します。

以下がアンコンシャス・バイアスの一例です。

・この血液型の人は〇〇な性格である
・男性なら定年まで働くのは当たり前
・女性は家事をするのが当然
・やったことがないから新しいことに挑戦するのは無理

面接官は面接で知らず知らずのうちに、アンコンシャス・バイアスをかけて評価してしまうことがあるため、思考が偏らないよう注意しましょう。

ハロー効果

ハロー効果とはイメージに印象が引きずられてしまい、対象の評価が歪んでしまう心理現象です。ハロー効果によって人事評価に影響を及ぼしてしまうことも少なくありません。

例えば、採用したい応募者がいたときに評価を調整してしまう心理が働くのは、ハロー効果が原因です。応募者の人柄の印象と職務のマッチ度は必ずしも合致するわけではありません。面接官は冷静かつ、客観的に応募者の能力を見極めるようにしましょう。

クレーム対応

面接を実施すると、お見送りになった応募者からクレームが来るケースもあります。

クレームでよくあるのは以下の内容です。

・面接官の態度が悪かった
・お見送りの理由を教えて欲しい
・お見送りされたのが納得いかない
・合否連絡が遅い

クレームは事実を確認して企業側に非がある場合は応募者へ丁寧に謝罪しましょう。万が一のときも落ち着いて対処できるように、人事は対策を考えておくことが大切です。

逆質問の想定

面接では応募者からの逆質問の時間を設ける企業も多いでしょう。面接官は応募者の不安や疑問に答えるためにも、質問内容にはしっかり答えられるよう準備しておかなければなりません。

また、逆質問に答えるときは応募者に寄り添った対応をしましょう。例えば求める人物像を聞かれたら「〇〇な人に入社してほしいので、△△さんのこのような点は自社にマッチする」と伝えると応募者の志望度向上が期待できます。

面接官の印象によって入社を決意する応募者もいるため、入社の動機づけテクニックとして覚えておきましょう。

類似性効果

類似性効果とは、出⾝地や学歴、得意分野、性格など自分に似ている⼈を好意的に感じてしまうことです。面接で自分に似ている人材は高く評価をする一方で、そうでない人材を低く評価してしまうケースのことを指します。

似たような人材を採用してばかりでは、優秀な人材を見逃してしまう可能性が高まり、多様性がない組織になってしまうでしょう。

人事は応募者と面接官との相性を逆手にとり、面接の組み合わせを工夫するのもひとつの手段です。⼼理バイアスの影響も考慮して面接を行いましょう。

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面接官のやり方｜NG行為

下記の事例は、面接官としてふさわしくないNG行為にあたるので注意しましょう。

社会人として基本的なNG行為

社会人として当たり前のマナーがなっていなければ面接官どうこう以前の問題です。多くの方が問題ないとは思いますが、下記が守れているか今一度見直してみましょう。

・面接時間に遅刻する
・挨拶ができない
・履歴書や職務経歴書を読まずに面接に参加する
・威圧感のある態度をとる
・口調がくだけすぎている
・相手の発言に反応しない
・質問の回答を誘導する

就職差別になりかねない質問

面接では応募者に聞いてはいけない質問があります。厚生労働省の公正な採用選考の基本によると、本人に責任のない事項の把握や本来自由であるべき事項の質問は就職差別につながる恐れがあるためNGとされています。

・本籍・出生地に関すること
・家族に関すること（職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など）
・住宅状況に関すること（間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など）
・生活環境・家庭環境などに関すること
・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条などに関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合（加入状況や活動歴など）、学生運動などの社会運動に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること

詳細は、厚生労働省が出している「就職差別につながるおそれのある不適切な質問の例」をご覧ください。

面接官のやり方｜見るべきポイント

面接では質問への回答以外にも見るべき点があるので、その中でも特に重要なものを紹介します。

姿勢や挙動

面接官は応募者の姿勢や挙動に注目しましょう。面接開始直後の挨拶や挙動、姿勢で応募者がある程度ビジネスマナーを身につけているかどうかが分かります。

人の表情や姿勢、挙動には心理が反映されていることが多くあります。注意深く観察して応募者に不自然な点がないか確認しましょう。

会話時の視線

面接では、会話の中で応募者がどのような視線の動きをしているかチェックしましょう。面接官が話をするときに目を見て頷いているかなどを確認します。

相手の話を聞く傾聴力があるか、威圧感を与えず好印象を与えられるかなどが判断できます。

声の大きさやトーン

会話する際の声の大きさやトーンが適切かどうかも、応募者の印象を判断するのに重要なポイントです。

発言に自信がないと声の大きさは小さくなります。また、焦っているときは声のトーンが上ずってしまうことがあります。

特に、焦っている＝嘘をついている場合もあるため、面接官は応募者の声の大きさやトーンが不自然に変化していないかを注意深く見るようにしましょう。

相槌や返事

面接官が話しているときにどのような相槌や返事をしているかで、応募者の人柄や志望度も読み解ける場合もあります。

応募者が相槌をしながら話を聞いていれば、相手の話を理解しながら聞いていると考えられます。

また、受け答えに対する返事が適切かどうかで、相手の意図をしっかり汲み取る能力があるのかどうか判断できるでしょう。

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オンライン面接でチェックするポイント

コロナウイルスの流行によりオンラインで面接を実施する企業が増えました。ここでは面接を実施するときのやり方について紹介します。

事前案内

応募者から面接希望日時を聞いたらミーティングスケジュールの作成を行います。スケジュールが作成できたら、事前にミーティングのURLを送りましょう。

ミーティングのURLはできるだけ早めに共有しておくのがおすすめです。応募者の中にはZoomやGoogleMeetの扱いに慣れておらず、アプリのインストールから始める人もいます。

面接用アプリのインストール方法も案内しておくことで、応募者に良い印象を与えられるでしょう。

回線のチェック

面接を実施する前に回線のチェックをしておきましょう。いざ面接を実施する際に繋がらないといったトラブルを避けられます。

オンライン面接は通信環境が悪い場所で行うと映像や音声が乱れてしまうため、応募者とのコミュニケーションに支障が出てしまいます。

機密性の保持といった観点からも、回線が安定しており外部の人間がいない会社や自宅での実施が望ましいです。事前に公式サイトで推奨インターネット環境をチェックしておきましょう。

また、万が一途切れてしまった場合の対処方法も決めておくと、面接官も応募者も慌てずに面接を再開できます。具体的には、同じURLに入室してもらうのか再度ミーティングURLを発行するのか決めておくと良いでしょう。

カメラ・マイクのチェック

オンライン面接を行う際、カメラやマイクが正しく動作するか設定を確認しておきましょう。

面接は可能であればパソコンから参加しましょう。パソコンの方が画面が大きく、音声や画像が安定しやすいです。応募者の様子も分かりやすいので、より対面面接に近い状況で面接を行えます。

もしスマートフォンやタブレットを使用する場合は、途中でズレないように位置を固定しておきましょう。スマートフォンの場合は画面の左右に黒いスペースがはいってしまう可能性があるため、横向きにしておくのがおすすめです。

また、面接ではマイク機能がついたイヤホンを使用しましょう。特にノイズキャンセル機能のあるイヤホンを使うことで外部の音を遮断でき、応募者の声を聞き取りやすくなります。

雑音が入らない環境を整える

デバイスの設定が確認できたら、周囲の雑音が入らない環境で面接に参加しましょう。オンライン面接はインターネット環境さえあれば基本的にどこでも実施できます。

しかし、雑音が入ってしまう環境では応募者の声が聞こえづらく、面接官自身の言葉も相手に伝わりづらくなってしまいます。

お互いの時間を有効活用するためにも、快適に面接を行える環境を整えるようにしましょう。

面接の基本的な流れ

面接に慣れていない面接官は当日の流れを理解することで、やり方のイメージが湧きやすくなるでしょう。面接の基本的な流れは以下の通りです。

1.挨拶・アイスブレイク
2.自己紹介・企業説明
3.面接官から応募者への質疑応答
4.応募者から面接官への逆質問
5.事務連絡

企業によって時間配分や内容は異なりますが、一般的に面接の時間は30分〜1時間です。それぞれどのような内容を実施するか解説します。

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挨拶・アイスブレイク

まず、面接では応募者にいきなり志望動機を聞くのではなく、挨拶やアイスブレイクから入るのが基本です。

アイスブレイクの目的は応募者の緊張を和らげることです。応募者にリラックスして面接を受けてもらうことで、本音を引き出しやすくなります。

どのような内容を話せばよいかわからない場合は、季節や天候、当日の交通手段などのありきたりな話題でも問題ありません。

また、オンライン面接の場合は対面での面接よりも応募者の緊張を和らげるのが難しいため、アイスブレイクの時間を多く取るのもひとつの手段です。

挨拶やアイスブレイクでは応募者も面接官を観察しているため、笑顔や声色を意識して接することで、より良い印象を与えられるでしょう。

自己紹介・企業説明

アイスブレイクのあとは自己紹介や企業説明をしましょう。面接官が自己紹介を行う際は名前や役職、担当業務などの内容を伝えましょう。

企業説明では主な事業や設立年月、沿革などを簡単に紹介します。事前に企業説明用の資料も準備しておくとスムーズに説明しやすくなります。

応募者に対して今回募集をかけた背景について説明するのも良いでしょう。

面接官から応募者への質疑応答

面接官の紹介や企業説明を終えて話しやすい雰囲気を作ったら、面接官から応募者への質疑応答に移りましょう。

会社が求める人材か判断するためには応募者への質疑応答が重要です。面接では主に以下の質問をします。

・自己紹介
・職務経歴の深堀り
・退職理由
・自社への志望動機

職務経歴を聞くときは、書かれている内容に沿って深掘りします。業務内容を深掘りすることによって、応募者の専門的な知識やスキルのレベル感を把握しましょう。

応募者が過去に転職経験がある場合は、転職に至った背景や理由も聞きましょう。応募者の価値観やストレス耐性をチェックできます。

また、退職理由と志望動機に一貫性があるか確認しましょう。応募者が入社後にやりたいことや将来のキャリアビジョン、自社への理解度が見えてきます。

面接官が複数人の場合は「誰がどの質問をどの順番でするのか」を事前に確認しておくのが基本です。

職務経歴や退職理由、志望動機の確認は人事の採用担当者、業務に関する専門的な内容は配属部署の社員と分担しておくとスムーズに面接を進められます。

応募者から面接官への逆質問

面接官からの質問が終わったら、応募者から企業側へ質問がないか確認します。自社への疑問点や不安な点を打ち明けてもらい、解消することが目的です。

応募者からの質疑応答で想定される内容として、以下一例を紹介します。

・募集ポジションの部署の雰囲気を教えてください
・入社後はどのような研修を受けてから実際の業務に携わりますか
・御社で活躍している人材の共通点はありますか

入社後の双方のミスマッチを防ぐためにも、企業は現状を正直かつ誠実に答えましょう。応募者から質問された内容はまとめておくのがおすすめです。今後面接する際の解答集になり、自社のノウハウとして蓄積されます。

事務連絡

双方の質疑応答が済んだら、最後に事務連絡を忘れないようにしましょう。事務連絡は応募者に不安が残らないよう真摯に対応しましょう。事務連絡では主に以下の内容を伝えます。

・合否が出るまでの日数
・合否の通知方法
・通過した場合の今後の選考スケジュール
・その他必要な連絡事項
・（対面の場合）オフィスからの帰宅方法

応募者は複数の会社で選考を受けているケースがあるため、合否連絡の目安や選考に要する日数は明確に伝えるようにしましょう。

 

面接で使える質問集

面接をスムーズに進めるためには質問をあらかじめ用意しておく必要があるでしょう。募集職種やポジションによって、面接で使う質問は異なります。

面接で重要なのは評価基準になる回答を得られるかどうかです。人事は採用基準に即した人材を見極める質問を作る必要があり、それに該当する人材を見極めるためには、応募者の経験やスキル、志向などの情報をバランスよく収集しなければなりません。

採用基準に即した人材を見極める質問は、以下の手順に沿って作成します。

1.求める人材像を可視化する
2.求める人材に合わせて評価項目を決める
3.評価項目の合否ラインとなる評価基準を決める
4.質問の優先順位を決める
5.それぞれの選考フローに落とし込む

以下は採用基準をもとに作った質問の一例ですので、自社の状況に応じてカスタマイズして質問しましょう。

・〇〇の経験はどれくらいありますか
・〇〇の知識をどれくらい持っていますか
・業務のどこまでが責任範囲でしたか

数値を確認する質問は指標となりやすいので、数字的にアピールできるものがないか聞くようにしましょう。

面接時間は限られているため、どの質問で深掘りするのかも決めておくとスムーズに面接を進められます。

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面接で使える評価シート

人事は事前に面接で使う評価シートを作成し、面接官に共有しておきましょう。評価シートとは、面接時に確認が必要な評価項目や評価基準を可視化したチェックシートです。

評価シートを使用すれば、面接官ごとの評価のばらつきを最小限に抑えられ、応募者を客観的に評価しやすくなります。

評価シートの項目は、どのような人材を優先して採用するかで内容が変わってきます。以下は面接評価シートに入れたい項目や基準の一例です。

・マナー・身だしなみ
・視線・最も
・話し方や声の大きさ
・応募者情報
・志望動機
・経験・スキル
・ビジョン
・論理的思考力
・コミュニケーション力
・課題解決力

各項目で必須条件や歓迎条件などを分けておきましょう。評価の付け方は加点・減点方式や段階評価など、さまざまな方法があります。

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まとめ

面接官は、やり方をおさえることで応募者に好印象を与えられ、有意義な面接を実施できます。有意義な面接を実施するためにも、面接官は念入りな事前準備が欠かせません。

また、人事は面接官の教育も必要です。面接のやり方は「面接攻略マニュアル」でも詳しく解説しています。採用トレンドを抑えながら、面接の具体的な流れやNG事項、見極め時の注意点等などがまとめてあります。

採用市場を踏まえて面接を実施したい方や、応募者を見極める心理バイアスについて詳しく知りたい方はぜひ活用してみてください。